ベトナムに残るクメ-ルの織物(メコンデルタのチャム族ムスリム)
時計の針は 5 時を指していた。目的地、カンボジア国境の町アンザン省チャウドックまで、あと約 50 キロはある。不慣れな土地で暗くなっての到着を避けるために今夜はメコンデルタの北西の省都ロンスエンに宿を取ることにした。
通されたのは少し大きめの清潔そうな部屋、壁には大きな写真が掛けられていた。小高い丘の上に立つレンガ作りのチャンパの遺跡、その丘をめざして進む数千の人々の列。祭礼の日のものだろうか、中には旗ザシ物も見える。ベトナム中部の海岸沿いに点在するチャンパの遺跡の中でもその王国の衰亡期に属する、14 世紀に建立されたポー・クロン・ガライ遺跡である。この遺跡は、ホーチミン市から海岸沿いに北へ約 330 キロ、ニントゥアン省ファンランの街の近くにある。遺跡と呼ばれているが、今日でも地元の人々の信仰は厚く、毎年秋には盛大な祭りが催されているという。
その写真を前にして、ホーチミンから何回かフェリーを乗り継ぎながら、メコンデルタの中を走り抜け突如チャム世界に迷い込んだ、そんな気分にさせられた。
更新日時 : 1995年5月16日 09:10



