IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

豊かなメコンデルタ

翌朝早く、ロンスエンの市場に出かけてみる。並ぶ品物は豊富だ。日常食となったフランスパンを売る屋台もある。すげ笠姿のベトナムの女達に混じって、カンボジアでクロ-マと呼ばれる布(万能タオル)を頭にまいたチャムの女達が市場にしゃがんでいる。ベトナムの女達の服装は、ほとんどが上下揃いの無地のモクマオ(もしくはモクヌッド)と呼ばれる、私達から見れば一見パジャマのような民族衣装である。モクマオはベトナム語で「単一の色」という意味なのだが、それでも良く見ると若い女性の場合は上着に折り返しや、レ-スをアクセントにしたデザインの物を着ていたりする。

アンザン省の省都ロンスエンから国境の町チャウドックに向かうにつれて、周囲には地面に直接建てられたベトナム式の家に混じって、高床式の家屋が目につくようになった。高床式といっても高さ1メ-トル程の物だが、それは少なくともこの地域に、他のベトナムとは違う文化的背景が残されている事を物語っている。家々の床下には、小さな川船が格納されている。川沿いの船着き場に、赤いレンガが野積みされている村があった。道路から少し奥に入ると、日干しレンガを焼くための、窯が並んでいる。7メ-トル程の高さで、方形にせり出したレンガ作りの窯はくさび形に開いたその開口部とともに、中に入るとチャムの遺跡の祠の中にいるような錯覚に陥る作りの物である。

更新日時 : 1995年05月16日 09:16

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