生糸と草木染め
最近、日本ではタイシルクがずいぶん知られるようになってきた。しかし、30年以上前にはカンボジアのシルクが、この東南アジアのなかでその中心地であったことはあまり知られていない。フランスの植民地時代には、カンボジアからヨーロッパに向け、シルクが輸出されていた記録もある。
しかし、現在村で織られている布は、そのほとんどがベトナムからの輸入生糸を使っている。25年以前には、まだ残っていた黄色いカンボウジュ種の繭による養蚕も、現在ではほぼ壊滅状態にある。過去の伝統的な絹織物が、光沢のある伝統的な黄色の生糸で織られていた事を考えるととても残念な気がする。
草木染めについても、同様で、黄色はクメール語でブロフ-と呼ばれるガンボジの樹皮からとり、赤色も-カンボジアでも生産されていたラック介殻虫の巣をもちいて染められてきた。藍色、そして黒は(茶)ラックの赤と藍の重ね染め、緑色は黄色と藍の重ね染めによる。しかし現在では、これらの伝統的な5色の絣の色も、黄色の下染め用に、ほんの一部の村人によってガンボジの樹皮が利用されているのみである。
むかし、カンボジアの村にも日本などと同じように藍染め屋があったようだ。しかし、マメ科の木藍により沖縄の泥藍とおなじ建て方で作られていた藍染めも、ラックによる赤色も今は、過去の物となってしまった。
世界の著名な博物館や個人のコレクションに残されている、伝統的なカンボジアの精緻な絣の絹織物が、再びこのカンボジアの地で復興し、カンボジアの人々の誇りとなる事を願いう。
更新日時 : 1996年03月04日 09:33
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