IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
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最速のカンプチアエアー(前編)

たそがれどきのプノンペン、ポチェットン国際空港。出発の定刻19:00はすでにすぎている。肝心の飛行機の姿が見えない。うわさで、遅れやフライトキャンセルがよくあると聞いていた。それでも、今日に限って。でもいやな予感がしてきた。

19:10、カンプチアエアーの搭乗カウンターにいた地上勤務の女性スタッフが待合室に一人姿をみせた。なにか、こそこそと乗客の一部に、声をかけ始めている。あやしい。待っている、乗客全員へのアナウンス、なんてゆうものはもちろんなし。私のところには、こそこそしに来てくれなかった。

こそこそされた一人のヨーロッパ系の男性に、確かめる。エエーうそー。飛行機の到着が2時間遅れるらしい、だと。200人はゆうに乗れるジェット便。でも出発ロビーに待っている乗客はわずか31名。みんなの反応は、冷ややかで慣れているのか、「あっ、またか」という感じ。その反応に,胸をなでおろす風にスタッフはそくそくと、搭乗カウンターのほうへ、帰りはじめた。

それを追って。イギリス人と韓国人、そして私、三人の男が動いた。こんな所で、2時間もほっておかれたらたまらない。案の定、先のイギリス人が、スタッフを呼びとめクレームをつけはじめている。なになに、「ホテルカンボジアーナのレストランで乗客全員に食事を出すべきだ」すごい。Mr.コーリヤン、そして私も負けじと、仲間入り。盛り上がる。スタッフは、自分はただの雇とわれの身でそんな権限はないと、ゼスチャー一杯に強調。私たちの、飛行機の遅延にたいする乗客へのリフレッシュメントの提供という当然の要求に、応じる気配はまったくない。ほっとかないでほしいな。

「カンボジアーナのレストランがだめなら、ここでビール3本」と先のイギリス紳士。現実的に、早々と要求ダウン。私は、航空会社の国際機関IATAにクレームを出すよ、などと軽くいやみをいってみる。コーリアン氏は、この近くのレストランでもいいとくいさがる。

あきらめたかのように、彼女はやっと無線機でマネージャーと連絡を取りはじめた。私たちも、引かずにがんばる。その間約10分。待ち合いロビーにあるショップのソフトドリンクなら、とスタッフが提案してきた。やったぜ。言わなければ、何もなしで待たされるだけ。搭乗待合室に戻った私たち、無料のコーラを飲みながら、ウィンク。

後編につづく

更新日時 : 1998年06月10日 14:29

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