IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

メコンにまかせ Vol.004

みなさま、今年の夏はいかがお過ごしでしたか。シアムリアップから、メイルニュースの第4号、お届けいたします。読んでいただければ、幸いです

<今年は、豊作>
研究所の前を流れる、シアムリアップ川。ここ数日、水位が上昇、あと10センチも上がれば、川が氾濫するのではと思えるほどに。

今年は、メコンの水位も高く、雨季の増水は10メートルは超えている。雨季と乾季でこれほど水位が異なる川は、この東南アジアのなかでもそんなに多くはない。しかし、この増水も、昨年は少なく、約8メートルほど。そのため、増水で氾濫した湖で毎年産卵する魚の量も少なかった。逆に、ことしは大漁が期待できるのではないだろうか。この、増水の周期は5年か6年で繰り返されてきた。自然のリズム。

自然がもたらす、恵の雨。魚も米も自然がもたらしてくれる恵。伝統的な村での養蚕を進めながら、そんな季節の変化を、強く感じられるようになってきた。そして、それは自然の恵を色にする、染色もおなじ。バナナの葉は雨季のさかんな雨が、みずみずしい鮮やかな黄色をくれ、乾季にはその鮮やかさは消える。逆にアーモンドの葉は乾季のその激しい暑さのなか、深みある金茶の色がますます濃縮されていく。

<東南アジアの織物セミナーから>
そんな、熱帯モンスーンの人々が集まり、タイのバンコクで織物セミナーがありました。
昨年は、ジムトンプソン財団が主催者となり、世界から東南アジアの織物専門家がバンコクに集まった。そのなかの関心のひとつが、カンボジアの絣。そしてこの1年、香港やオーストラリア、アメリカ、フランスと多くの研究者や専門家が平和になった、このカンボジアを訪れるようになってきた。

今年は、アセアン各国の博物館や文化省の担当者や研究者を中心にしたセミナー。参加者の報告が続くうちにあきらかになったことは、それぞれの国に暮らす、先住かもしくは山の人たちの伝統の織物とその共通性だった。たとえば、ミャンマー、ラオス、タイ、そしてベトナムではおなじモン族の人たちが暮らし、共通した織物文化を持っている。そのことを、現在の国家という枠組みでだけで考えられない、この地域の人々の在りようとして見ていかなくてはならないことを、逆に教えてくれた。

わたしは、このセミナーで16世紀までベトナムにあったチャンパ王国の末裔のチャム人たちが、カンボジアに暮らし伝統の織物を織っている、その報告をさせていただいた。現在では、国を持たない民族のひとつであり、この東南アジアのなかにそれぞれ暮らしている。

わたしにとって、楽しかったのはこのセミナーで仲良くなったマレイシアの大学の先生が、色の黒いわたしにおまえの国籍が日本人だというのはわかる、でもほんとうはなに人なのだ、と真剣に聞いてきたことだった。チャムの織物については、近いうちにホームぺ-ジに掲載予定。

<自然染料の掘り起こし>
このセミナーのなかでも話題になった、自然染料。しかし、実際に、自然染料を使いつづけている地域はそんなに多くはない。たとえば、インドネシアやマレイシアのバティックでは皆無に等しいようだ。

さいきん、いろんな資料をひっくり返していて、ある本に出会った。その本には、第二次大戦以前の南洋材の解説が材木屋さんのために記されている。そのなかに、ところどころ、利用の項目のなかに、当時の染色に、もちろん自然染色に利用されていたことが、わずか1行ほどだが書かれていることを見つけた。

ここ18年ほど、タイ、カンボジアで自然の染めにかかわり、村のおばちゃんたちから、昔の染について話を聞きながら、伝統的な自然染色には必ずその秘訣のようなものが、あることを教えられてきた。化学染料の歴史は村レベルでは、100年に満たないだろう。しかし、多くのそんな昔の知恵が消えてしまったことも事実である。

しかし、自然の染めの歴史は数千年。昔の知恵の掘り起しを、できればこれからすこしずつでも取り組んでいきたいと、さいきん思い始めた。自然染色の深みにはまっていきます。乞う、ご期待。

<自然の染色体験ツアー>
そんな研究所で、自然染色の体験を日本の皆さんにしていただこうと、ツアーを計画しました。さいきん、研究所でカンボジアの若い人への研修をされていますが、日本から参加できないのですかという問い合わせをいただくようになりました。短い日数ですが、その秘伝はお教えいたします。ぜひ、ご参加ください、簡単なカンボジアの絣の実習も予定。

日本出発は10月24日、帰国は30日です。6泊7日。
詳しくは、NPOのような、大阪の旅行会社。マイチケットへ
お問い合わせください。Tel 06-6304-7800
              Fax 06-6304-7989です。

<日本での展示会>
恒例にさせていただいてます、秋の京都、法然院での展示会が今年も法然院様のご好意で実施されます。11月24日-26日。お近くにおいでの方は、ぜひお立ち寄りください研究所のあたらしい仕事も展示いたします。11月3日‐5日、沖縄の南風原にて「絣ロード展」が実施されます研究所からは、織機を持ちこみ実演も予定しております。詳しくきまりましたら、またご案内させていただきます。

<研究所のホームページ>
7月7日から、研究所のあたらしいホームページがオープンしました。徐々に内容も充実させていきたいと思っておりますので、ご期待ください。いまの目標は、絣の出来あがるまで、などもふくめ布の写真を増やしていきたいと思っております。
www.esprit-libre.org./iktt

<桑の木基金へのご協力のお願い>
クメール伝統織物研究所は、カンボジアの民間の非営利団体です。カンボジアの伝統織物の復興とともに、伝統的な村での養蚕に「桑の木基金」を設立。力を入れてきました。これは、ちいさな「村おこし」でもあります。カンボジアの貧しい村の人たちが、養蚕により僅かでも現金収入が得られていくことを目標に活動いたしております。みなさまのご支援を、ここにあらためてお願い申し上げます。

桑の木基金 一口 3000円
振込先:郵便振替口座 名称:アジア太平洋農耕文化の会
番号:00920-6-145894


最後までお読みいただきありがとうございます

更新日時 : 2000年9月 9日 13:42

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