縁起のいい家
ご存知だろうか。トッケー、という爬虫類の仲間。タイやカンボジア、このあたりでは、あたりまえにいる。サイズは約20センチから30センチ。夜中に、突如、トッケーと大きな声で鳴く。カメレオンとおなじで、いる場所により身体の色を変えることができる。ふつう、昼間は屋根裏や家具の後などに隠れておとなしくし、夜と共に、姿をあらわす。
ところが、我が研究所のトッケーは昼間も姿をあらわす。いつもおなじところで、明るいうちから柱にしがみついている。まあ、わたしもあまり爬虫類は好きになれないほうだから、かわいいとはいいづらいが、サイズは約30センチはある。夜になると、もう一匹姿をあらわし、こちらは一回り小さく25センチほど、二匹で仲良く、柱にしがみついている。
家の裏手に、もう一匹、残念ながらこちらは声だけで、まだ姿は未確認。地元の人は、このトッケーのいる家は縁起が良いという。わたしも、この縁起を担ぐことにしている。その分、ときたま姿が見えないと心配してしまう。
プノンペンの近く、タクマオに研究所の事務所があったころ。わたしの机の中に、トッケーがいたことがあった。ある日、引出しをあけたら、とつぜん顔をあわした。わたしは、一瞬叫びたくなった。研究所にいた、年配の男性スタッフが、平気な顔であっというまに
捕まえてしまった。そのときの、牙をむいた顔が忘れられない。でも、シアムリアップで毎日顔をあわしている分には、そんな獰猛な感じはしない。シアムリアップに来てから、よく地元の人はトッケーの話をするとき、必ず、ベトナム時代(1979-1989)
には、やってきたベトナム人が好んでトッケーを捕まえ、食べていた事を話す。商売で、トッケー捕りが成り立っていたらしい。
更新日時 : 2000年09月11日 13:59