2000年10月アーカイブ

みなさまごぶさたいたしております、いかがおすごしでしょうか。メイルニュースもなんとか5号に辿りつきました。さいごまで、読んでいただければ幸いです。

<自然の痛み>

今年の雨季は例年になく水位が増加、各地で洪水が。そして、雨季明けの11月というのに、夜になると激しい雨が、いまだやまないでいる。さいきん、カンポット県への国道3号線を走ってきた。途中数カ所で洪水のために、道路が川になっていた。四号線から横に、村への道は四輪駆動車フル活用状態。この地域は、後背部に山脈が走っている。しかしここ数年、山の姿は樹木が切られ無残な姿をさらしている、そして保水力のない禿山、禿山。堰からふきだす濁流をみながら、そんな自然の痛みの雄叫びのように聞こえてしまった。洪水は、その痛みへの人と自然の共有なのかも。しかし、その濁流の脇では家族そろって網で魚を取る村人。そんな姿を、今年は多くみかけた。これも、洪水の中で、たくましく生きる村人の姿とでもいえるのだろうか。

<タコ-村の養蚕プロジェクト>
カンポット県の伝統養蚕プロジェクトは今年で5年目。年7回ほどの生糸の生産も順調に進んでいる。1回の生産量は、10キロから15キロのあいだ。多くはない。しかし、それでも村人にとっては大切な、副収入。これまでは、ほぼ生産された生糸を全量買い取り、そのことで、村人の生産意欲とプロジェクトは継続されてきた。先日、村を訪れた、でも、みんなの顔がいまひとつ明るくない。不思議に思ってたずねると、生糸がないという、エー、そんな。話を聞くと、今回は先月のカンボジアのお盆の直前に、生糸は出来あがっていた。そのときに、これなかったわたしたちも悪いのだが、お盆でお金が入りようだから、売ってしまったらしい。申し訳なさそうに、1キロほどの生糸が残されていた。しかし、考えてみればわたしたちは、外から村人の「村おこし」を手伝っている身。そして、すでに彼ら自身が市場を見出せられるようになったということは、よしなのである。研究所ではいま、これまでのタコ-村での経験をもとに、あらたにバッタンバン、シアムリアップなどでも養蚕プロジェクトを実施しようとしている。それは、あらたな5年をめざしてなのだろう。

<あたらしいパッチワークプロジェクト>

手縫いでパッチワークをはじめた。これまでは、生糸、染、織だった。いまは、簡単な製品、といってもちいさな袋物だけだが、作れるようになってきた。プノンペンにいたとき、仕事がない女性に、簡単な内職仕事でもと考えやろうとした、がうまくいかなかった。プノンペンの女性は、もう手縫いの世界にはいない。ミシンの世界のようだった。しかし、シアムリアップで、ふたたび、スタッフの女性たちに、針を渡してみた。それまで、生糸の糸車にむかって黙々と仕事をしていた手が、針に変わると、楽しそうにやっている。このシアムリアップには、そんな時間がまだ流れていたのだ。配色など考えたことがないから、ときたま、とんでもないのが出来てしまう。まあ、それはそれ。幸いなことに、草木の色は互いに合わせやすい。そして、あらためて手縫いのもつやさしさに気がつかされた。あらたなパッチワークプロジェクトのおかげで、研究所のスタッフが増え、総勢21名。大所帯になってしまった。

<変なお砂糖>

草木染で植物などを材料にして布や糸を染めたあと、必ず媒染剤といわれる液に浸す。これは、色の定着と発色を助けてくれる。時には、先に浸すこともある。ふつう、金属化合物の水溶液を使うのだが、わたしたちは基本的に、銅や鉛などの重金属系は環境汚染の原因になるから使わない。自然にやさしい、草木染と言いながら、重金属系を使うことは矛盾している。これまでおもに使ってきたものは、明礬、灰汁、石灰そして鉄である。鉄も、いわゆる「鉄漿(おはぐろ)」と呼ばれるものに近いものを作ってきた。日本だと、染色材料店に行けば、鉄媒染液が売られている。しかし、17年ほど前、タイで熱帯の染材を使い始めたとき、そんな染色材料店など、バンコクにあるべくもなく、自分で作ることを考えた。しかし、なかなか思うようにいかなかった。が、1年ほどの試行錯誤の末に現在のやり方にたどり着いた。いたって簡単なのだが、古釘などの鉄材に水を入れ、酸化させるために酸を使う、が、これも最初は市販のお酢を使ったが、不純物があるようで、染めると斑になる。それで行きついたのが、マナオとよばれる、レモンのようなもの。これは完璧。そして、酸化した鉄の液にお砂糖を入れてやる。そうすると、茶色い液が、黒い色に変化。これで、媒染液のできあがり。ほとんど毎日のように使うから、この状態を維持することが、日々のしごと。ほっておくと、もとの水に戻ってしまう。だから、鉄媒染液は生きている。日によって、その日の温度などにより変わってくる。タイ、そしてプノンペン。しかし、シアムリアップにきて、同じように作っていたのだが、どうも、染あがってくる布の色が違う。日本などの、市販の酢酸系の鉄媒染の色に近い、金属質の色がする。鉄漿の鉄の色は、もっとやさしい。不思議に思っていたが理由がつかめなかった。このシアムリアップの、水質の違いかと考えもした。ところが、3ヶ月ほど使っているうちに、白い不純物が蓄積され始めた。しょうがないから、もう一度、白くなった鉄を洗い、焼き、液を作り直した。しかし、色味はよくならなかった。そんなとき、バンコクに住む友人がたずねてきたときに、その話をした。流通が専門の彼は、砂糖の材料は自然100%じゃないと教えてくれた。そして、あらためて市場で量り売りしている砂糖を見なおすと、すこし変な透明感がある。友人曰く、これは合成甘味料が大量に入っているという。化学物質なのである。それが、白い不純物の原因であり、色味を変えていた。サトウキビや砂糖椰子のない国ならいざ知らず。こんな天然の砂糖があふれたところで販売されている精製糖。日常に使う、食料品にもそんな物質が混入されていることを知って、あらためて怖いと思った。天然染色をしているおかげで、だろうか、そんなことに気がつかされた。

<11月、秋の日本での展示会>

また、カンボジアの担ぎ屋おじさんが日本に行きます。今回は、沖縄の南風原での「絣ロードまつり」への参加。アジアの織り手たちと海のシルクロード、絣の道について話せることを楽しみにしております。そして、恒例の京都法然院。紅葉がすてきなお寺です。そのご、和歌山の田辺、勝浦へ足を伸ばします。どこかで、お会いできればいいですね。

<沖縄、南風原>
ことしは、不思議な縁で沖縄の南風原で開催される「南風原、アジア絣ロードまつり」に、11月3-5日参加いたします。詳しくは、絣ロードまつりのホームページを見てください。

http://www.gem.hi-ho.ne.jp/gonzui/

お問い合わせは:南風原文化センター
        Tel、Fax 098-889-7399

研究所から織り手をひとり、一緒に行き実演をと予定しておりました、が彼女が腸チフスにかかっていることがわかり、残念ながら取りやめました。お医者さんの話では、カンボジアの30%の人がチフスを持っていると言います。そのご、もうひとりサルモネラ菌の保持者が見つかりました。基本的な公衆衛生の普及がカンボジアでは本当に必要なのだとあらためて、考えさせられました。

<京都、法然院>
恒例の紅葉の京都、法然院での展示会は
11月24日AM12-PM6
  25-27日AM9-PM6
京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町
Tel 075-771-2420
報告会は、11月26日(日)午後4時半-6時です。
法然院のすてきなホームページがあります、
http://web.kyoto-inet.or.jp/org/artjapan/HONEN-IN-AN-J.html

<和歌山、田辺、勝浦>
和歌山の梅の里、田辺と鯨の里、勝浦にて、

12月1日(金)PM7-9時、
田辺市民総合センター内、青少年ホール2階
Tel 0739-26-4900

12月2日(土)PM1-7
 -3日(日)AM9:30-PM4
財団法人石垣記念館(勝浦)
Tel 07355-9-3223
報告会は、12月2日PM2-4(会費1000円)

お近くの方は、ぜひお寄りいただければ幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました

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