お絵かき組


研究所のいくつかのグループの中で、わたしから見れば一番幸せな組は彼女たちではないかと思うお絵描き組、またはペイント組。じつは、わたしも10代のころ油絵描きを目指していたころがあった、そのころ食事代を削って絵の具を買っていた記憶があるから、なおさらである。朝8時から夕方5時まで、絵を描くことが仕事。主に植物本の模写をしている。時には外で写生もする。そして20代のはじめ京都で手描き友禅の親方の下で修行していたころ、そこに在った江戸時代の木版の花鳥画の原本を写生させてもらっていたこともある。それが自分の絵を描くということのなかで、どれほど役に立っていったか、いまも思う。その分、彼女たちにそんな環境を提供できたらと思っている。しかし、わたしは、当時親方からたばこ銭程度しか貰えなかった。でも研究所の絵描き組の彼女たちは他の研修生と同じ給料をもらっている。いいですよね。
現在は10人。もう描き始めて1年ほどになる。最初は子どもが描く落書きのようだった、がいまではなかなか素敵な絵を描けるようになってきた。最近、研究所を訪ねてこられたかたが、ポストカードに花の絵を描いて売りませんか、と声をかけていただけるほどに、彼女たちの腕は上達してきた。
シエムリアップの町には、絵の具が売っていない筆も。ここには、まだ絵を描く環境がない。タイや日本に行ったときに買ってくる。最近では、画材を寄付していただけることもある、嬉しいことだ。描き始めたころは、黄色と青の絵の具を混ぜて緑になることも知らなかった。そんな彼女たちが、いまでは淡い中間色も使いこなせるようになってきた。ゆくゆくかな、このなかからシエムリアップを代表するような女流画家が育っていくようになってくれれば嬉しい。
更新日時 : 2003年3月 2日 11:29



