IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

伝統の再生と活性化

 1994年に何度かタケオの村々を訪ねたことがきっかけで村の熟練の織り手であるおばあたちと知り合い、そのすばらしい仕事に驚かされながら、わたしのカンボジアでの活動は始まった。その端緒となったのは、ユネスコからの委託による、95年1月に始まったカンボジアの絹織物に関する現状調査であった。その後、日本の友人たちに支えられながら、カンポット県のタコー村での伝統養蚕の再開プロジェクトを単独で開始。

 そして96年1月からは、カンボジア政府から正式にNPO認可を受けた「クメール伝統織物研究所」として、プノンペンを基点にかつて伝統織物の産地であった村をまわり、経験と技術を持った織り手を探しながら、伝統を掘り起こす作業を行なった。これらの活動を中心にした99年までの5年間は、研究所の活動の第1期と位置づけられる。

 研究所の拠点をシェムリアップに移した2000年からは、織物の伝統の活性化を願い、若い世代への技術の継承を重視した展開に移行。結果として、研修生となった貧しい家庭環境に暮らす女性たちの自立を支援することになり、これは研究所の第2期の活動において大きな比重を占めている。

  1、桑の木基金の創設と養蚕プロジェクトのシェムリアップでの展開
  2、自然素材による染色技術の伝統からの発掘
  3、伝統的絹織物の活性化のために、新たな製品の製作
  4、伝統的織物技術の若い世代への伝承
  5、伝統的織物にかんする資料の発行
  6、研究所の公開と展示設備の充実

 以上は、2000年度に立てた研究所の事業計画の概要である。この3年の間に、これらの基本的な部分を達成するか、もしくはその目鼻をつけるところにまで到達できた。

 そして2003年からは、これまでの活動を継続しつつ、伝統を支える自然環境の再生を軸に、新たな地平ともいえる「伝統の再生と活性化」に取り組もうと考えている。研究所にとっては、第3期の活動の始まりである。その基幹となるのが「伝統の森」再生計画である。

更新日時 : 2003年3月 3日 10:18

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