IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

藤黄

b01.jpgb03.jpg

クメール語でブロフーと呼ぶ、黄色染料となる木の樹皮。藤黄とも書いて、シオウと読む。中国語である、中国では古くから黄色絵の具として珍重されてきた。日本では、塗りの春慶塗りの透明感はこの色から来ている。日本にも中国を経由して送られていたようだ。じつはこの木の英語名はガンボジ、かぼちゃと同じようにカンボジアから来ている。
インドシナの中でもカンボジアはその産地であった。しかし、現在では目にすることは少なくなった。わたしも、10年ほど前にその自生地を見たくて、地雷原でもあったタイ-カンボジアの国境の山の中の獣道をかきわけ兵隊と一緒に訪ねたことがある。その木を見たくて、地雷原まで来たわたしを兵隊は不思議そうな顔をしてみていた、気がする。遠くにまだ大砲の音が聞こえる頃だった。
赤のラックと共にカンボジアを代表する染材である。研究所にはときどき、仲買人のおばさんが届けて来てくれる。最近も200キロもの樹皮が届けられた。でも、わたしたち研究所ではその木を、もう一度苗木から育て始めた。自然の恵みだと言って貰ってくるだけでは、いつかは途絶えるもの、再生産するために、それは自然の循環。
沖縄の黄色を染める有名な福木、それとおなじオトギリソウ科に属する、マンゴースチンと同じ仲間でもある。沖縄ではこの福木は樹齢が若い物は使わないという。古い木ほど色が綺麗だとも。それをを聞いて思ったことは、沖縄の人たちは、そういう風にこの美しい黄色を出す木をいたわっているのだと。自然を染める、それはそんな自然へのいたわりの気持ちがないと出来ないもの。
写真の花はブロフーのもの、この花を見つけて初めてこの木が英語名のガンボジであることを確認できた、そんな記念の花である。それは、使い始めて10年は経っていた。素敵なこのブロフーで染めた黄色は、研究所でも最近人気の色、自然な鮮やかな落ち着きのある黄色。

更新日時 : 2003年3月31日 11:42

前後の記事:<< 養蚕の村 | 物売り、じつは研修生 >>
関連記事