IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
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消えてしまった藍染屋

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カンボジアの伝統の布を代表する色に、藍がある。タケオあたりの織の産地の村には、それぞれ藍染屋があったらしい。というのはもうその面影も、経験者も見つけ出すことは出来なくなっている。95年の織物調査の時に、そんな藍染の痕跡を探しまわったが、見つけ出せずにいた。そして、ある織物の村で偶然藍染に使われていた壷を見つけた。壷の内側にきれいな藍色が染まっていた。そのことがきっかけで、一人のおじいさんを見つけることが出来た。
彼から、むかしの染の話しを聞くことができた。しかし、その70を過ぎたじっちゃんも数年前に亡くなってしまった。カンボジアの藍は沖縄の泥藍と呼ばれるものと同じ様な染め方をしていた。できれば、沖縄からもう一度カンボジアに、その泥藍を里帰りさせることが出来ればいいなと、考えたりしている。
藍染は日本では難しい染色といわれてきた、それは藍の醗酵温度に関係する。32度がその温度、寒い日本でその温度を保つことが至難。ところが、カンボジアの平均気温は、その32度。藍の葉を壷に入れてその辺に置いとくだけで、とりあえずは醗酵する。
むかしの名残か、タケオなどで野生化した藍の木を見つけ出した。カンボジアの藍はキアイと呼ばれるマメ科の藍。プノンペンの頃に、試験的に栽培した。こんかい伝統の森の現場で、やっと本格的な藍畑を用意することが出来た。タケオ、そしてカンポットで見つけた種。そして現在研究所を手伝ってくれている、日本人の女性が以前、南米のグァテマラに青年海外協力隊で織物を教えていた。それが縁で、グァテマラのやはり同じ仲間の、南蛮こまつなぎ科の藍の種も植えてみた。それぞれ順調に、芽が出て育ち始めている。まだ10センチほどだけれども、あと数ヶ月すれば、一回目の試験染が出来るはず。どんな色が染められるだろうか。今から、あたらしい楽しみが出来たような気がする。

更新日時 : 2003年6月13日 12:38

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