IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
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カンボジアの諺

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カンボジアの諺に「金持ちになりたければバッタンバンへ、そして貧乏人になりたければ古い車を買え」と言うのがあるらしい。バッタンバンは昔は米の集積地として栄えた町であり、後背には宝石の産地パイリンの山並みが控えている、そこから来ているもの。そして、もうひとつの古い車のほうは、最近それを地で行ってしまった。

今年の初め、プノンペンで探していた四輪駆動の車を見つけた。といっても、概観はとても走る車とは言えそうにもない。それでも、それを見つけてくれた友人の話では、エンジンは大丈夫だと、その一言と値段の安さに、飛びついてしまった。1000ドル、安い。そして、概観を直すのに約2ヶ月を費やした。この車、トヨタのハイラックス、ダブルキャビンの4駆、もちろん新車で買えば2万ドルを越す。中古でも人気があるから1万ドルはくだらない。だから、値段に引かれたわけだが、それがことの始まり。最初の見積もりから、最終の仕上がりまでにプラス2千ドル。まあそこまでは廃車同然のスクラップ、許せるかな。車は友人の手で、シエムリアップまで届けられた。いまだにその時、プノンペンから走ってきたことが信じられないが。
そして新たな、悩みが始まった。いざ走らそうとすると、まずブレーキが効かない。直す。そして、エアコンをかけるとオーバーヒート。それからまた数ヶ月、数日使うと、また故障。研究所の足として使えるようになるまで、修理屋さんにいるときのほうが長いのでは、と思えてしまうようになった。とうぜん、修理費もかさむ。毎日出て行くそのお金を見ながら、研究所のゼネラルマネージャーのロタ君曰くのカンボジアの諺になってしまった。
この車、もとはカンボジアのベトナム国境沿いの道なき道で有名なラタナキリの山の中を93年から、国連の車として使われていたらしい。それが10年。まあ、車がここまで疲弊するのもうなずける。そして、じつはその前がある、やはり国連のタイ国境の難民キャンプでの活動に使われていたようで実際は80年ごろからの車、単純には20年を超えている。それも並みの環境ではない所で激しく使われてきた、歴戦の勇士。期待していた、4駆の前輪駆動はもちろん使えず、エンジンもだましだまし。何とか最近は走れるようになった。それでも、突然ブレーキがロックなんていうこともあるが、まあ車と呼べる。
最近は、研究所の研修生が伝統の森の現場に行くのに、活躍?してくれている。荷台あわせて約20人ほどが、毎回交替で乗っていく。それでも、みんなは楽しそう。普段は車に乗れる機会などないから、そして現場で楽しそうに、桑畑などの下草刈に励んでくれる。車が修理屋にいくと、残念そうに「明日は大丈夫か?」と聞かれてしまう。

更新日時 : 2003年7月15日 16:18

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