IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

復刻版 ニュートラル

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きょう研究所に香港からのお客さんがあった。9月15日から12月15日までシエムリアップで予定している、研究所主催の「カンボジアの絣」展示会開催のための予算支援を、香港にあるテキスタイルソサエティーという布好きの人たちの集まりに申請した。そのために、香港からイギリス人夫婦が研究所の様子を見に訪ねてきてくれた。

この展示会を主催する方向で考え始めたきっかけは、シエムリアップに事務所のある、センターフォークメールスタディーというフランス系の文化や学術調査などをすすめている団体の代表と、偶然行きつけの飯屋で顔を合わして、布の話にひとしきり花が咲いたあと、でもそれを展示会で出来ればいいなというところに、話が展開した、その結果であった。
話のなかで、1995年からの調査を皮切りに活動を始め、その調査はその後も継続してきた。その成果と集めてきたカンボジアの古布を展示することに意義を見出した、のである。シルクの布を織って、販売しているから、なんとなく研究所を普通のお土産もの屋さんと理解されているふしもある。だから、ときにはそうでない仕事も、ちゃんとやっていますということをアピールしたほうがいい、という意味もあった。それと、やはりわたしたちは英語であまり文章を書かないから、一般の英語圏の人たちに活動があまり知られていないこともある。そして、カンボジアで活動を始めて9年、対外的な催しをする余裕もなく、ここまできたというところも率直なとこ、それらをまとめて、展示会とセミナーをということになった。
今年の初めの頃は、まだ必要な経費も自前で何とかできるのではと思っていた。ところが、ご存知のようにイラク戦争、SARSとつづく衝撃に研究所の財政は爆破されてしまった。そして、クメールスタディーと準備の話を重ねるうちに、セミナーが徐々に膨らみ始めてきた。たしかに、この種の布に絡んだセミナーは開催されたことがない。カンボジアで初めてのものになる。プノンペンの芸術大学の先生や文化省の人たちが、話したいと、そしてオーストラリアの研究者が自費で来るから招待してくれ、となってきた。はじめはこじんまりとしたセミナーを予定していたが、なかなか立派なセミナーになってしまった。最近メイルで、アメリカやヨーロッパの研究者も参加したいといってきてくれるようになってきた。でも、予算がない、日本などあちらこちらに声をかけてみたが、なかなかそんな簡単にお金は出てくるはずもない。そんなときに香港から、場合によってはといい返事をいただいた。

わたしたちと他の組織との大きな違いは、そんな予算があるから何かをするという姿勢ではないところかもしれない。常に、なすべき課題は明確である。でも、それに対してできることを、できるかたちで実施する。それがわたしのいつものポジションといえる。だから、今回も出来る形でいい、というのが根底にある。その上でどこまで、膨らませるか、それに香港が手を貸してくれそうだ。嬉しいことである。わたしたちの活動は、こんな感じで進んできた。車のギィヤーでいえば、いつもニュートラルにある、そしてときには、オーバートップ、そしてときにはスロー。たまにはバックで走り始めたりもする。

更新日時 : 2003年7月31日 16:43

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