IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

復刻版 養蚕事始

kai1.jpgkai2.jpg

ほんとうにお蚕さんがやってきた。
ちょうど選挙の投票のためにカンポットのタコー村へ帰っていた女性が、7月30日村から蚕の卵を持ち帰ってきた。約一万個はあるのではないだろうか。記念すべき日である。伝統の森のあたらしい村で養蚕が始まったのだ。
小屋の天井の梁から吊るされた、約1メートル20センチはある大きな竹のザルに入れられたお蚕さんの卵は、3日めの今日はすでに孵化が始まっていた。梁にはしっかり、伝統の魔よけの葉がくくりつけられている。2ミリほどの蚕の幼虫がザルの中で動いている。さっそく、小さく刻んだ桑の葉をもらって食べている。一週間もすれば、体長5ミリほどになる。そして、順調に育てば、9月の15日ごろには黄色い繭ができ、伝統の森の最初の黄色い生糸が出来上がるはずである。
その時はみんなでお祝いをしなくてはならない。研究所の、新しい事始。

ちょうど、伝統の森の土地が見つかり、開墾を始めてから1年になる。そして、桑の葉の苗木を準備し始めてから2年。やっとここまで辿り着くことが出来た。もちろん伝統的な繭の手引きの生糸だが、その質を上げていくこともこれからの課題。昔なりのやり方で、ほんとうにきれいな糸を引くためには、それなりの熟練が要る、その伝統の技術は途絶えかけている。それを継承し、なおかつ昔のような質を取り戻し、上げていくことはなかなか難しい。そのために、タイのスリンのクメール人の村からおばあちゃんを呼んでこなくてはならないかもしれない。みんなの知恵を持ち寄り、実現していくための、その第一歩がいま始まった。

更新日時 : 2003年8月 1日 16:45

前後の記事:<< 復刻版 ニュートラル | 復刻版 F4 >>
関連記事