IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
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復刻版 F4

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F4、エフフォーウと読む、ご存知だろうか。
研究所の研修生の三分の二は20歳前後の女性。流行の服や音楽に敏感なはず。彼女たちのなかで、最近の流行はこのエフフォーウ。香港発の4人組のシンガーたち。小さなプロマイドの入ったプラスチックの小さなケースがとくに人気。カバンにぶら下げたり、キーホルダーにくっけたリと。あたらしいプロマイドが手に入ると、みんなで取り合いになるほどの人気。シエムリアップの町を歩いていても、そんなF4のTシャツを着た若い女性を最近よく見かける。当然研究所の研修生の中でも毎日誰かが、その流行のTシャツを着てやってくる。

テレビの歌番組でも、土曜や日曜日などは必ず、そんなF4のライブが流れていたりする。わたしもこれでカンボジアに暮らすようになって9年。これまでいろんなその時々の流行のグループが登場してきたけれども、こんな香港のスターが流行りになったことはなかったのではないだろうか。じつは、これまでのカンボジアの若者の人気のスターやシンガーは圧倒的にタイ発だった。だからテレビでもそんな番組が良く流れていた。タイ語の歌を歌えてしまう若者も多かった、それほどの流行りようだった。その流れが変わった。ごぞんじの、今年の1月末のタイ大使館焼き討ちにまで発展した、反タイ感情。これは歴史の中の流れにその背景を負うところが多いのだろうが、その根の深さをあらためて垣間見た気がした。カンボジアのテレビのドラマはタイの番組の翻訳物が主流だった。逆にそれしかなかったのではないかと思えるほどだった。それが、ぷっりと消えた。

シエムリアップでも、タイ人経営のホテルやレストランの多くは撤退した。わたしも、以前は定宿にしていたバイヨンホテル。ここもタイ人がオーナーだった。現在は休業中、カンボジア人に売り渡されたらしい。そんな時代の変化に対応するように、テレビのドラマは中国製のドラマが主流になってきた、そして完全にタイ製のドラマはテレビから消えた。そして、今まであまり目立たなかった、カンボジア製のテレビドラマが見かけられるようになってきた。これは、災い転じて福となる、だろうか。こんなことが切っ掛けとなって、カンボジアのテレビ番組制作業界が豊かになればいい。そんな楽しみもこれからのもの。その象徴がこのF4かもしれない。

更新日時 : 2003年8月 1日 16:50

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