IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

蚕供養

k1.jpgk2.jpg
k3.jpgk4.jpg

8月の末に伝統の森ではじめての生糸が出来た。
95年にカンポット州のタコー村で、伝統的に行われていた養蚕を村人の協力で復活。そのタコー村から、2003年1月には伝統の森の現場に村人が移住してきてくれた。そして、昨年から研究所で準備してきた桑の苗木を現場に植え、その苗木は順調に育ちはじめた。そして、7月の末にはタコー村から蚕の卵が伝統の森に届けられた。わたしが、95年にタコー村に卵を届けたように。

カンボジアの伝統的な黄色い生糸。その生糸から伝統の技術と経験を生かしながら、伝統の布を研究所では織っている。そして、その布を販売しながら研究所の活動は継続することが出来てきた。現在、300名を越える研修生とスタッフがその布の販売で生活できている。家族も入れれば、優に1000人を超える人々が日々、この絹糸のおかげで生きることが出来ている。その感謝の気持ちをお蚕さんに、そんなことから今日、伝統の森で「蚕供養」の式を行った。そして、伝統の森の近くのその名も奇遇だろうか、「森の寺」と呼ばれるお寺からお坊さんたちをお呼びした。これも不思議な縁。そして、近在の年長の村人も来てくれた。嬉しいことである。こんなことが縁で、周辺の村人との関係が形作れて行けばそれもよしである。

できれば、これから毎年9月の満月の日を研究所の、そして伝統の森の「蚕供養」の日にしていければと思っている。それは、生糸への、その糸から織られた布への思いやりに通じることでもある。伝統とは経験と技術、そして大切なことはそんな素材を思いやる心である。心の失われた伝統は、抜け殻のようなもの。わたしたちは、カンボジアのそんな受け継がれてきた心=精神世界を大切にしてゆきたいと考えている。そんな気持ちをこの「蚕供養」の日に託してゆければ幸せである。

更新日時 : 2003年9月11日 17:08

前後の記事:<< チモールからの訪問者 | 研究所のこどもたち >>
関連記事