IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
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金貸し業?

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研究所ではスタッフにお金を貸すことがある。基本的には給料の前払いなのだが。でもなかには、家族が病気で病院に入院したとか、事故で治療が必要だとか、そんなとき貸すことがある。もちろん無利息。雨季の時期に、雨漏りがひどいので、屋根を直したいから貸して欲しいと、いってくるものも。でもそのほとんどは、病気の薬代や病院の費用。4年ほど前、まだ研究所の研修生が少ない頃、スタッフの医療費の半分を研究所が負担することにしていたことがある。でも、少しづつ増えるに従って、偽の領収書を持ってくるものもいて、この制度は中止した。今でも先生格の古くからのスタッフには、個人的な判断で医療費の一部負担を実施している。
そして、お金を貸すようになったもとは、研究所に通ってくるために、自転車を持たない研修生に自転車を買うためにお金を貸すようになったのがはじまり。タイ製の高い自転車で、50ドル、日本製の中古の自転車で35ドルが相場。はじめのころは、みんな見え張りのところがあるから、お金がないのにやはり高いほうを買いたがっていた。でも最近は、そんな見栄を張ることもなく、丈夫な日本製の中古に人気がある、それになんといっても安い。給料から、毎月天引きで5ドル、というのが多いが。なかには、2,3ヶ月で返してしまう剛毅な者もいる。
それと、さいきんわかってきたのだが、金貸し銀行から借りているものが随分いることだ。この銀行は、もとはカンボジアのローカルの大手NGO。ユニセフなどと組んでプロジェクトを実施していた。もしかしたら、いまでもNGOかもしれない。
きっかけは、開発業界の人たちの中で人気のある、グラミーバンクとかいうシステムで、ほんとうは貧しい人たちを助ける目的で設立されたもの。たしか、バングラデッシュやスリランカなどで実績を上げているらしい。そのカンボジア版。元の資金は、だからアジア開発銀行などが支援していたはず。でも実際に今おこなわれていることは、高利の金貸し業。
利息は、約7ヶ月で倍返しになる。7ヶ月なんてあっという間であるから、担保の土地をなくす農民も多いと聞く。この金利、それでも町金融より安いらしい。研究所の研修生で、ここから借りているものが案外たくさんいることがわかってきた。困った時の、何とかで、他にすがるものもなければ、ノーチョイス。話しを聞いているとそのほとんどは、家族が病気になり病院の費用を作るために借りたケースだった。
しかし、なかには研究所からもらう給料のほとんどをその利息返しに当てている研修生もいる。子どもを小脇に抱えて、毎日研究所に通ってきている彼女を見ていて、そんなして働いても、その30ドルの給料のほとんど(約28ドル)は銀行の金利で消えてしまう。200ドルを銀行から借りた結果である。でも、元気に毎日やってくる彼女をみていて、できるものならば手助けが、なんて気になったのがきっかけ。でも、考えたらお人よしかもしれない。研究所だって余分のお金があるわけではないから、ケースバイケース、その時の気分で、かな。出来る範囲で銀行からの金を立替払いし。あとは研究所に、利息無しで、元金を返すようにする。そんなことをやり始めてしまった。それを聞きつけた、他の研修生も、わたしも、と言いながらやってくる。でも基本は日頃の、その研修生の仕事振りとわたしの一方的な判断で決めるようにしている。そのハードルは高い。

更新日時 : 2004年1月29日 09:21

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