IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
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隠れ工房

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研究所が活動を始めた95年から数えて、今年でちょうど10年が経つ。
最近その成果とでもゆえる布が出来始めてきた。一枚の素晴らしい布が出来るには、ほんとうにときには偶然とでもいえる、いくつかの要素が重なって初めて可能になる。糸、色、織、そして、そして、ほんとうにそれぞれの最高の状態が重なってはじめて生み出されるもの。
研究所のおばあたちや二代目たちは、そんな、ときにはため息が出るような布を作り始めてきた。脱帽である、そして感謝。
最近のその一枚は、ちょうどシエムリアップのお寺の敷地のなかにあるクメールスタディーセンターのギャラリーで開催していた古布の展示会場での実演を兼ねた作業の中で生まれた。最近の研究所は訪問者が増えたり、研修生が連れてくる子どもたちが走り回る、そんなにぎやかな日々が普通になってきた。それと対照的に、お寺の静かな環境のなかで約三ヶ月展示会は開催されていた。その結果なのかもしれない。
ちょうど研究所は、増加する研修生のなかで場所も手狭になり始めていた。そして、そんな静かな環境をそんなおばあたちに提供できないかと考え始めた。そして、偶然そんな研究所から遠く離れていない適当な場所が見つかった。隠れ工場?思い切ってそこに小さな工房を建てることにした。三番目の工房である。昨日、そこで祈祷師のおじさんを呼び、土地の霊にここで仕事をさせてもらうための挨拶の式をした。
にぎやかな、エネルギーのあふれた300数十人がいる現在のワークショップとは別に、30人ほどの小規模の静かな工房になる。ここで、研究所の最高の布が出来るようになればと願い、これもトライアルである。常に進化する、研究所の新しい試み。どんな結果が出るか、楽しみである。この欄で公開してしまったから、隠れ工場とはいえないが、とりあえずは隠しておこうと思っている?

更新日時 : 2004年1月15日 09:01

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