IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

大工組み

dai1.jpgdai2.jpg
dai3.jpgdai4.jpg

研究所の男女構成は、ほとんどが女性である。
織物の仕事は、日本やインドのように専業化し職業化すると男性の仕事になっていく。料理と似ている。しかし、それが家庭内で副業的になされている段階では女性の仕事となる。カンボジアでも織りの仕事は村レベルで女性の仕事としておこなわれてきた。
現在、約400人になる研究所のスタッフのなかで男性は約50人ほど。そのうちの40人近くは森の現場にいる。開墾組みとでもいえる若い衆たち。桑畑の造成や管理に携わってくれている。
シエムリアップの研究所にいる、男性のほとんどは大工組。織機から糸車や竹ザルまで、必要な道具のほとんどは自前で彼らが作っている。そして、研究所にある作業所なども建ててしまう。さいきんではあたらしい第三の「隠れ工房」の建物をみんなで建ててくれている。
その中心はオムパット、70歳を超える。彼は80年代、戦争で荒廃した王宮を修復するために呼ばれたほどの腕のある大工さんでもある。そんな彼が若い衆に、道具の作り方から手ほどきしてくれている。そして、家具も作れてしまう、器用な大工さんである。研究所に竹と木で作られた素敵なイスがある、これも彼の作品。そのうち研究所でも家具部でも作って売り出そうかなと思えるほどの出来である。
伝統の森では、スタッフの居住用の藁葺きの簡易住宅から、瓦屋根のお蚕さんの飼育小屋まで現場のみんながやはり自前で作ってしまう。昨年の暮れから、森の現場でも伝統的な農家を再現するようなかたちで、あらたに家を建て始めようとしている。その中心のために大工の親方が、カンポットの村からさいきん来てくれた。そのぶん仕事がスマートになってきた。当面の予定は、まず瓦屋根の木造の家を建てるために準備をはじめた。周辺の農家から、建築用の木材を譲ってもらったりしながら。
これから、伝統の森では財政が許す範囲で、みんなが住むための伝統的な形の農家の再現を進めてゆく予定である。だから、森の現場でも大工組が出来つつある。約8人。やはり器用に現場あわせの大工さんをやっている。
森にしろ、シエムリアップにしろそれぞれ、大工組の仕事は新しい家が出来るたびに、立派な家が出来るようになってきた。これは、彼らの熟練度に比例しているのだろう。この立派なという意味は、豪華ということではない。ある手ごろな材料で、素敵な、しっかりした家を建ててしまうということである。これから、森の現場には、ほんとうにあたらしい村を作り出してゆこうとしている。そのために、大工組の仕事は忙しくなっていく。そして、それを手伝いながら、腕を上げてゆく若い衆たち。これも研究所の研修のひとつといえる。

更新日時 : 2004年1月28日 09:19

前後の記事:<< 手漉きの和紙 | 金貸し業? >>
関連記事