IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

冥福を祈る

もう一年ほど前に研究所をやめていた女性である、そしてその姪っ子に当たる10代の女性が二人、現在も研究所で働いている。昨日亡くなった、年齢は34歳、でも聞いてみるとねずみ年、わたしと同じだから32歳、こちらは数えでいくからそうなるのだろう。
少し複雑な家族関係であることは聞いていた、でもいざ死んで見るとわかるもので、亡くなった病院から家にではなくお寺に直接移されてきた。そして、よくあることなのだけれども、お葬式のお金がないという。身内といえるような人がわずか、数人、その研究所にいまもいる姪っ子二人を入れてであった。お葬式の準備がスムースにいかない、いつものように、研究所のおばあたちを呼んでと思ったが、とりあえずその場にわたしがいたので、遺影の手配や棺おけのこと、飾る花、そんなことをばたばたと。
そして、夜の9時を回っていたのかな数人の大工さんが作った簡単な棺おけに仏を移すための儀式を執り行い、身体を清める段になってそれを手伝う男衆がいない、本来なら身内の役割。そこまで手伝うことになった。
彼女はどんな経緯でそうなったのか知らないけれど、エイズで亡くなった。だからここ半年ほどはやせ細り、骸は60を過ぎた女性のようだった。1年半ほど前に、研究所に通っていたころの面影もない。身体を清めるのを手伝いながら、彼女の冥福を祈るしかなかった。

更新日時 : 2005年5月27日 13:54

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