IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

カンボジアのシルクについて

 数ヶ月前から、何度か西アジアあたりのカーペット屋さんから、生糸がほしいとメイルが入っていた。そしてしばらくすると、その本人が研究所にあらわれた。機械織りのために品種改良された中国の生糸では、土足で踏んで 100 年もつようなカーペットは作れない。

 しかし、カンボジアのこの黄色い生糸はそれに耐えられるだけのシルク本来の強度を持っているから、彼らがカンボジアのシルクに目をつけたのは当然かもしれない。でも、その結果、生糸がこれまでのように入らなくなってきた。

 研究所では、これまでシエムリアップの西80キロほどのプノムスロックの村から生糸を買っていた。生糸を買うことで、村の伝統的な養蚕業を支えるという意味合いもあった。

 それゆえ「伝統の森」では、養蚕よりも綿花栽培に力を入れようと考えていた。だが、今のような状況が続くのであれば、生糸の生産も、すべて自前で行なえるように次のステージを考え直す必要がある。

 カンボジアの生糸が、世界の中で見直されるときが来るとは予想していたが、思っていたよりもそれが早くやってきたような気がする。結果として、新しい養蚕農家が増えていくことになれば、それはそれでいいことではあるのだが。

更新日時 : 2005年6月11日 11:18

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