IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

死者の門

縁があってプノンペンのカルメット病院にしばらく、研究所のスタッフの入院の付き添いで滞在した。

家族がついているからといえばそうなのだが、病院の医師や職員とドル紙幣を片手にやり取りをしなければならない、コレは、彼女の家族ではやりきれない、でもその流れで人の命が左右されてしまう、そんな現場だった。

「滞在」といえばいいが、じつは病院の庭で野宿。植え込みの隅にコンロを置き食事を作る、そして、病院のトイレで水浴び。まったくの、そして久しぶりのアウトドアーライフ。

夜になると、芝生にゴザが並び、木にはハンモック。にぎやかである。緊急治療室にいて待機する家族、手術室に運び込まれていく交通事故の被災者。それを取り巻く家族や身内。いくつかの家族が、身内の回復を待ちながらそんな風に。病院の庭で野宿している。

病院には患者への食事の世話は無いから、患者の食事も外で買うか、作るしかない。保険制度が無いから、毎日、ニコニコ現金払い。治療費、部屋代、薬代。お金が尽きると、家に帰っていく。行かざるを得ない。コレはどこでも同じかもしれない。

救急車で、本当に毎日たくさんの人が担ぎこまれてくる。中には、治療途中で力尽き亡くなる人も。そんな人が車に乗せられていく場所があり、涙にぬれた家族が後に。そんな光景を毎日見ていて、気がついたのは、アンコールワットやアンコールトムにある「死者の門」と同じ門が、現代のカルメット病院にもあることだった。

更新日時 : 2006年08月24日 18:43

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