IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

おとうさん

これはたいへんなことなのかもしれないが、最近カンボジアのシルク協会など織物関係者から、とても光栄なニックネームのようなものを、わたしは頂いている。

それは「カンボジアシルクのおとうさん」。

じつは、これまでカンボジアのシルクは、残念ながら世界で一般的にはあまり知られてこなかった。いまでは日本で知られるようになったタイシルク。その本家はカンボジアなのである。これはタイで村の織物と10年ほどかかわってきたわたしの結論のようなもの。しかし、過去にすばらしい織物の世界がありながら、長い内戦のなかで消えかけようとしていたわけだから、知られていないのはやむおえないことなのだが。

それが、わたしがロレックス賞をいただき、クメール伝統織物研究所のカンボジア伝統シルク織物復興の活動が、世界のテレビや雑誌、新聞、そしてインターネットで紹介されるようになってきた。それと、平行して世界からカンボジアのシルクへの関心と需要が生まれてきた。

そして、結果、NGOやショップへの引き合いが目に見えて増え始めてきたことにも起因する。

そして、ほんとうに研究所は、カンボジアの伝統の織物を商売っ気抜きで、織っているからか、研究所の仕事の内容を評価していただくようになった、文化省のかたがたなどだけではなく、カンボジアのシルクに関係するなかで、現在は広く認めていただいている。

そのことが、「おとうさん」と呼ばれるようになったきっかけである。とても光栄なことであるとともに、やはりそのきっかけを作っていただいた、ロレックス社とそのロレックス賞を選ばれる選考委員の方々にあらためて、深謝、深謝。

でも責任も重大、あいかわらず、気の抜けない日々なのだが。よく、冗談のように、「カンボジアのジムトンプソン」といっていただくが、わたしは彼のように山の中で失踪はしたくないし、と思ってしまう。


森本喜久男

更新日時 : 2006年10月23日 19:48

前後の記事:<< シンガポールへ | 復帰 >>
関連記事