素材を見直す
シンガポールで出会った、インドのチャンダさんの旦那さんとの話のなかでも、素材を見直すこと、それは伝統の知恵を見直すことに通じることが話題になった。
残念ながら、中国の雲南の山の中でも、南米のアンデスの山の中でも、手織りだけれども素材の糸は市場から買ってくる化繊や化学染料のものが当たり前になっている。そんな時代にもう一度素材から見直すこと、これは現在、IKTTが取り組んでいることでもある。その結果生み出される布の風合いの違いが確実にあることがわかっている。
半年ほど前にやはりラオスで伝統の織物の仕事をしている人たちのグループが訪ねてきた、そして最近はミャンマーからの人たちが再訪してくれた。研究所の作業場を行ったりきたり、仕事の様子を一日眺めてすごしていかれた。
ともにすでに自然の染料を使い伝統の布を作っている、が素材の生糸は、中国産の機械で引いた生糸を使っている。それがもつ、つるんとした無機質の風合いの限界があることは否めない。
しかし、ラオスやミヤンマーの人たちもともに伝統の布を作り出してきた伝統の知恵を生かす取り組みをされている。IKTTもそうだが、何百年、何千年のそんな伝統の知恵を取り戻すことが容易でないことを理解しながら。
身にまとうアジアの伝統の布を、このモンスーンアジアの自然のなかでそれが生まれ育った、それぞれの風土(環境)を生かしながら作る。そんな心を持つた人たちとの人たちとの新しいネットワークが生まれ育っている。チエンマイ、バンコック、シエムリアップ、そしてホーチミン、どこの市場でも売っている布は同じ、そんな時代のなかで。
超えていかなければ、もしくは取り戻さなければならない課題は山のようにあるけれども。
森本喜久男
更新日時 : 2006年11月 8日 12:49
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