IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

つながり

先日シンガポールでおこなわれた2006年度ロレックス賞の授賞式。あたらしい5人の受賞者のなかの一人、インドのチャンダさん。インドのグジャラート州で伝統の刺繍の仕事を村の女性の自立と生活に役立てながら活動しているひと。

わたしが前日の夜、10時30分、シンガポールのホテルに着いたとき、彼女はわたしを待っていてくれた。じつは3年前、チャンダさんはシエムリアップのIKTTをたずねてくれていた。そして、顔を見てわたしも彼女のことを記憶していた。ふつう、布好きの人の布の触り方のようなものがある。彼女もそんな人だった。そして、布を買うために持ち合わせのお金が無いので、銀行に走り換金して戻ってきた。そんな彼女と、シンガポールのラッフルズホテルで再会。

そして、久しぶりに布を見てぞくっとした。こまかい、手の込んだ刺繍が施された黒い布。作り手の気持ちが怖いほどにこもっている、そんな布だった。彼女が持参していた何枚かの布のなかでも、その一枚の黒い布は輝いていた。わたしがそのことを話すと、やはり彼女の仕事をしている多くの女性の中でも際立った才能を持った人であるようだった。そんな作り手たちと彼女は仕事をしている。

そんなチャンダさんが今回受賞したことがうれしかった。深夜のホテルのテラスで、ロレックスの担当の方と、そしてチャンダさんの旦那さん、娘さんと一緒にひとしきり布を囲んで話がつきなかった。白いインド風の布を身にまとった旦那さんが、わたしが蚕を飼っていることや、綿花を栽培し藍の木や染色に使う木も育てていること知りさかんに感心してくれた。


森本喜久男

更新日時 : 2006年11月06日 08:48

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