IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
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ハイデラバード

この時期、わたしはほんとうはインドのハイデラバードでおこなわれているユネスコ主催の「ナチュラルカラーシンポジウム」に参加しているはずだった。

このシンポジュウムは世界の各地から自然染料にかかわる仕事をされている方々が一堂に会して、多分始めての試みだと思うが、ユネスコの主催で実施されている。

わたしも、カンボジアの自然染料ととそれを支えてきた村人の精神世界について、報告をさせていただくつもりだった。が、この時期、カンボジアは水祭り、そのお休みを前に研究所の数百人のスタッフの給料を支払っていたら、わたしのハイデラバード行きの旅費も消えてしまった。それが、いまのわたしのリアルタイム。

参加できなかったが、いま自然の染料について、それを見直す、大きな時期がやってきていることを感じることができる。参加者や、主催者の方からハイデラバードで会えることを楽しみにしているというメイルをいただいていた。すみません。

この20年と少し、タイ、カンボジアとこの自然風土のなかで、そんな自然の染料の奥深い世界に触れてきた。よく他のNGOや関係の人たちから、そちらに研修生を送りたいのだが、どのくらいの期間で自然染料について学べますかと聞かれるが、わたしは20数年やってきたけれども、それでもまだ途中です、と答える。

いまは小さな子供でも、自然の染料のよさについて知っている、そんな時代になった。ヨーロッパでは毒性のある化学染料の使用が禁止されるようになった。でも、20年前には、エー、どうして自然の染料なの、そんな昔のやりかたでと聞かれたものだった。

自然染料のあたらしい時代がいま始まろうとしている。そんなことを、このハイデラバードのシンポジュームが開催されることを知ったとき感じた。数百年の伝統の知恵を取り戻しながら、自然染料がまちがいなく未来の技術であることを確信している。


森本喜久男

更新日時 : 2006年11月08日 13:26

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