シエムリアップ時代
2000年1月、プノンペンから6人の織手とトラックに織機や道具を積みシエムリアップにやってきた。伝統の織物を次の世代に伝えながら、あわせて、貧しい生活の中で暮らす人たちに仕事を提供することを主題に、この7年間の活動をすすめてきた。昨年は、総勢500人を超える大所帯になった。
復元の仕事も、過去のすばらしい絣の世界に少し近づくことができ、7分の出来といえるところまできた。500人の大所帯になったことで、こなせるようになった仕事がたくさんある。生糸の精錬用のバナナの灰も自前、それにより自然染料の染まりが良くなった。絣の括りの紐も、バナナの繊維、芭蕉でするようになった。その一つ一つが、布のクオリティーを高める要素になってきた。
それらはすべて、伝統の知恵。自然の恵みなのである。そして、2003年から取り組み始めた、「伝統の森」再生の仕事も5年目に入る。むかし村にあった豊かな自然環境を再生することなくして、豊かな織物の世界を復元することが出来ない、その地点にたどり着いたから。
2004年スイスの時計メーカー、ロレックス社から賞を頂いた。そのことがきっかけで研究所の活動は世界中で知られてゆくようになってきた。先日も、フランスやアラブのテレビの取材、日本のNHKに続いてカナダのラジオ局からもロングインタビューを受けた。
自然の素材だけで、ほんとうに手で布を作ると、実はこんな布が出来るのだという、その極にいる。ヒューマンメイド シルク。そのやさしい風合いは、何物にも変えがたい。そんな、布が作れるようになってきた。
更新日時 : 2006年12月30日 09:40
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