IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

染色体験

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最近増えつつあるのが研究所での染色体験。

ひとつは、地元の織物プロジェクトを実施するNGOやショップのカンボジアの織手を対象に自然染色のワークショップ。一週間を単位に研究所の染め場の仕事を手伝いながら、化学染料しか使ったことがない織手に、自然染色の入門編を身に着けてもらうためのもの。

先日もシルクフォーラムのフェアーの一環で実施、好評だった。シエムリアップでシルクのショップを経営するフランス人のデザイナー氏、彼のスタッフが参加。講習を終えて、突然「すべての植物や木には色がある」と、言い始めたと笑っていた。

そして、もうひとつは日本からのスタディーツアーの参加者が研究所で自然染料の染色を体験。これは、ハンカチの布に絞り染をするもの。これも好評、予期しなかった色の変化や模様が出来上がってくる。糸を括り柄を作れば、絣。布を括り柄を作れば、絞りになる。これは基本的にはおなじ技術、糸か布の違いだけである。

絞りは、日本では名古屋の有松絞りが有名だが、これはもとは豊後からのもの。名古屋城の石垣を作る石工が豊後から、そしてその奥さんが「三浦さん」、豊後絞りの名手だった。旦那さんが、名古屋城の建設に携わり、その傍らで絞りが名古屋の有松に伝えられた。

この豊後絞りは、大分では残念だが幻になってしまった。江戸のはじめ、キリシタン大名のころ豊後には、イエズズ会の宣教師が教会を建て布教活動を進めていた。そのかたわら、金鉱があり、金を掘るために石工が東南アジアから連れてきていた。そのなかに、カンボジアの地から来ていた石工もいたのではないかと。

これは、わたしの推測だが、そしてカンボジアにある絞りとおなじ絞りの柄が有松絞りのなかに「三浦絞り」という名で残っている。絞りは、豊後経由で名古屋にカンボジアから伝わったのではないかと。そうすると、名古屋城を作った石工とアンコールワットを作った石工は、おなじ人たちの流れになる可能性が出てくることになる。

研究所で、染色体験をしながら、そんな話も交えて自然の染料のすばらしい世界の少しでも知っていただければと思っている。


森本喜久男

更新日時 : 2007年02月26日 00:12

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