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IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

トンレサップ

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久しぶりにトンレサップ湖に行ってきた。

研究所の研修生の中には、陸に上がった漁師の娘、というのも何人かいる。家族は、湖で漁師。そのひとり、たまたま里帰りというか、実家に帰るというのでついて行った。日本のテレビのコーディネーターの仕事をしていた関係で、撮影がらみで一時はよく定番のようにトンレサップに行っていたが、ここしばらくそれもなく、だった。

ちょうど乾季、一番水位が下がっているときかもしれない。シエムリアップの街から約7キロ、プノムクラオムという小さな山があるところから湖は始まるが、いまはまたそこから6キロほど行かないと、湖の岸にたどり着けない。アンコール時代はこの小さな山が灯台のような役割を果たしていたのではないだろうか。

トンレサップ湖は湖というよりは、大きな溜池。最近は、石油が出るというので、いろんな思惑が入り組んでいるのではないだろうか。淡水漁業区では世界のトップレベルの漁獲を誇る。わたしもカンボジアに来たころ、大きな金魚すくいのような網で魚を取る漁師を見て驚いた記憶がある。そんなして魚が獲れてしまうほどに、魚影が濃い。今日も湖岸の市場では、陸揚げされた魚が、種類別に仕分けられ町に運ばれていく、久しぶりにそんなたくさんの魚を見かけた。

しかし、最近は乱獲がたたって、漁獲高も下降しているのではないだろうか。そして、シエムリアップやその他の下水が、もろに流れ込んでいるわけで、湖の水も汚染が心配されるようになった。研究所でも、湖の小さな魚を市場で買って食べている人たちの中に、原因不明の皮膚障害が出てきている人がいる。それが、湖の魚との因果関係とはいえないが、最近の下水の垂れ流しが原因と思える、色が変わるほどに異常に富栄養化してきたシエムリアップ川との自然連鎖を気にしないわけにいかない。

いま、世界中が異常気象などといわれているなか、この湖の水が干上がらないようにと願っている。訪ねた研究所の研修生のお父さんも、最近は魚の漁獲が落ちて食えなくなってきたと嘆いていた。そして、家族そろって近いうちに陸に上がる予定だと話していた。


森本喜久男

更新日時 : 2007年4月 8日 20:44

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