王宮からの手紙
先週、ドイツ行きの準備をばたばたとしているころ、最初は電話で、そしてすぐ手紙が届けられた。
それは、カンボジアのシハモニ国王陛下からのもので、王宮に招聘していただき、謁見の機会をというものだった。
その日は、ドイツの小さな美術館で展示会を予定していた日だった。しかし、急遽予定を変更して、王宮への準備をした。献上させていただく布は、現在の研究所の最高の仕事といえる絵絣のもの。
カンボジアでも、ベトナムなどからの機械でできた輸入生糸を使いながらカンボジアの生糸を使っているというのが当たり前のいま、研究所はほんとうにカンボジアの手引き生糸で布を織り、自然の染料だけで染めている。本当に昔のままの仕事。
IKTTの藍染めの木綿の布とともに絵絣の布を手にされた国王陛下は、自然の素材で人の手で作り出された布のやさしさを感じていただき、ほんとうに、カンボジアの心がこの布にこもっている、とお褒めの言葉をいただいた。
当日は400人の研究所のみんなを代表して、オムソット、ナランなど研究所の中心の5人も同行、国王陛下にお会いした。王宮に着いてからも、緊張していたようだが、それいじょうに国王陛下から感謝の気持ちのお言葉をいただけたことで、本当に嬉しかったのではないだろうか。
復元と活性化の仕事に10年とすこし、先日はサンフランシスコのミュージアムから研究所の布がお買い上げられるという、記念の日があったが、再びここに、記念すべき日を持つことができたように思う。
そして、これを機会に研究所の仕事をさらに進化させていくことが出来ればと、いま思っている。そして、これまで研究所の仕事を応援してきていただいた、日本のみなさまにも、あらためてお礼と感謝の気持ちをここに記させて頂きたいとおもいます。深謝。
※このときの様子はシハモニー国王のWEBサイトでも紹介されています。詳しくはこちら。
更新日時 : 2007年05月27日 15:05