2007年6月アーカイブ

森の木

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森の木

 左の写真は 2002 年、伝統の森の建設が始まった頃のもの。そして右は、最新の 2007 年 6 月。おなじ場所で撮った写真である。

 2002 年の伝統の森の土地を取得した頃、薪になる木までも切られてしまった、現場はごらんのように荒地といえるところ、道もわずか獣道とでもいえるものだった。この写真の、道は手をいれ両側をすこし広げて、歩き易くした後の 9 月ごろのもの。

IKTT Germany の発足

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IKTT Germany

報告が遅れましたが、6月21日ドイツを訪れ、多くの方々と出会いながらIKTT Germany が発足しました。

これは 2005 年 6 月にドイツとフランスで放送されたドキュメンタリー番組 「GEO-Reportage」 で、研究所の活動が取り上げられたのが発端でした。そして。今年の 2 月に再放送があり、この番組を見た視聴者の多くが、実際にシエムリアップの研究所を訪ねてきてくれました。そして、そんな人たちのなかで誕生したのです。

2007/6/24 _____________________________________________________Vol.074

INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES
________________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

 みなさま、クメール伝統織物研究所の森本喜久男です。
 カンボジアでは、本格的な雨季の到来を告げる雨が降り始めております。や
はり恵みの雨、お百姓さんになり始めたわたしとしては、感謝の気持ちを禁じ
得ません。
 そして、昨日の午後、「伝統の森」に行ってもっと驚くことがありました。
しばらく見かけなかった光景、じつはとても当たり前のことなのですがそれが
できていなかったというか……。全員、ええ森で働く全員がですね、野菜畑、
桑畑、藍畑、いくつかの現場に分かれて、雨に打たれながら仕事をしていると
いう、久しぶりに感激の場面に出くわしました。
 この数か月間、わたしが森のみんなに、木を切るな、仕事をしろ、とはげし
く迫ってきた、その結果なのですが。

         *       *       *

 「伝統の森」は、現在およそ23ヘクタール。桑畑、綿花畑、藍畑、ラック
カイガラムシを寄生させるためのグアバの林、そして生活用の野菜畑などもあ
るが、その敷地のほぼ半分は開墾せず自然のままに木々を育てている。「自然
の恵み」は、わたしたちの暮らしと、伝統織物の制作の根幹に必要不可欠なも
のだから。
 「伝統の森」の住人たちにも、枝などを拾い集めて薪にするのはいいが、立
ち木を伐ってはいけないと言ってきた。だが、その意図がなかなか理解されず
にいた。どうやらそれは、道端で目の前に落ちているお金を拾うな、というこ
とをわたしが言っているに等しいことであるようだった。
 半年ほど前、シエムリアップ近在の一家族が「伝統の森」に住み始めた。そ
の頃から、「伝統の森」の木が伐られるようになった。今から思えば、彼らが
IKTTで働き始めたいちばんの理由は、森に住んで「森」の木を売ることで
はなかったのか、とすら思えてくる。
 夕方、森の一角の彼らの家のそばで、森の若い男連中が車座になって地酒を
飲んでいる光景を見かることがあった。最初は、まあいいかと思っていたが、
頻繁に見かけるようになって不思議に思うようになっていた。なんてことはな
い、密伐採を手伝っていた連中に酒を振舞っていただけのこと。立ち木を売っ
た金で、毎日酒に浸り、挙句のはてには昼間の仕事に出てきても、酔っ払って
いる状態。普通に仕事をしている森の住人たちから見れば、異様なこと。
 もっと残念なのは、これまでの10年、わたしと一緒に仕事をしてきた“お
ばあ”であるオムソットの娘3人の旦那たちが、今回の密売に深く係わってい
たこと。その上、その罪を「伝統の森」のマネージャー役の男性になすりつけ
ようとし、さらにはわたしからの数百ドルの借金を棚に上げ、地元の警察に給
料が支払われないと駆け込む騒ぎまで起こした。が、逆に、彼自身が警察から
意図的に騒ぎを起こそうとしたことに対して始末書を取られ、けっきょく「伝
統の森」から出て行かざるを得ない状態に至った。オムソットは、そんな娘た
ち家族についていくという。どうするつもりなのか。だが、オムソットの身内
だからといって娘婿の悪行を許すわけにはいかない。
 けっきょく、伐採密売の首謀者とその家族、そしてオムソットの家族たちを
含め6家族が森を離れていった。自分たちの野菜畑ではなく、桑畑にキャッサ
バを植えていた者もいなくなった。

         *       *       *

 この2週間ほど、そんなパプニングとわたしが格闘してきた結果が、昨日み
んなが雨に打たれながら作業をしている中に現れていたと思います。うれしい
ですね。
 これで、落ち着きを取り戻した伝統の森の人たちと、ゆるやかに、次のステ
ージに向かうための陣容がそろい始めてきたことを実感することができるよう
になってきました。
 織りのグループも含め、絣の括り組、染め組などなど、来月の中ごろには、
わたしも含めて、約40人が森へあらたに移住していく予定です。
 そして2008年からはじまる、「伝統の森・再生計画」の第二期5か年計画に
備えながら、年内には新たな体制が構築されていくはずです。


(1)横浜タカシマヤ「アジアの絹展/アジアの手仕事展」

7月18日(水)から23日(月)まで、横浜タカシマヤ8階催事場で開催さ
れる「アジアの絹展/アジアの手仕事展」という催し物に、カンボジアの伝統
織物を代表してクメール伝統織物研究所が参加し、展示と販売を行なうことに
なりました。実際の運営は、IKTT Japanのメンバーに担っていただくことにな
ります。会場では、アジア各地の工房やショップによる出店がなされると聞い
ています。横浜ならびに東京近郊のみなさま、ぜひとも会場に足をお運びくだ
さい。

と き:7月18日(水)〜23日(月)
    午前10時から午後8時まで(最終日は午後5時閉会)
ところ:横浜タカシマヤ 8階催事場
    横浜市西区南幸1丁目6番31号(横浜駅西口)
    電話:(045)311−5111(代)

▼地図(横浜タカシマヤ)
http://www.takashimaya.co.jp/yokohama/access/index.html


(2)IKTT Germanyの発足

 報告が遅れましたが、先にドイツを訪れた際に、IKTT Germanyが発足しまし
た。これは2005年6月にドイツとフランスで放送されたドキュメンタリー
番組「GEO-Reportage」で、研究所の活動が取り上げられたのが発端でした。
この番組を見た視聴者のうちの何人かは、実際にシエムリアップの研究所を訪
ねてきてくれました。そして、そんな人たちのなかで誕生したのです。今回、
わずか二日間のハノーヴァー滞在でしたが、今回の報告会を引き受けていただ
いたMs.INGEさんのご好意と、現地でのいろんな人たちと出会いのなかでIKTT
Germanyが正式に結成されたことをここにご報告させていただきます。
 これによりドイツをはじめヨーロッパのミュージアムでの展示や販売会の企
画が実現できる体制ができてきたように思います。ありがとうございます。


2007年6月24日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男
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桑の木とキャッサバ

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研究所の桑畑に、キャッサバを植える住人がいる。

キャッサバはでんぷんの原料となる芋。そのままでは食べられないが、焼くと甘みがあり美味である。生食すると、苦痛に耐えられないほどに苦しむのだが。

わたしの知り合いが、ポルポト時代に畑で作業をしていて、空腹のあまり、分かっていたけれども我慢できずに食べて苦しんだ話をする。

キャッサバ

木を食う男、その2

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mori0611001.jpg

木を食う男、確か2年ほど前に一度書いたことがある。

そして、再び。しかし、前回は建てている途中の家の木を食べていた。しかし、今回は「森」の木。誤解のないように、木をほんとうに食べているわけではなく、木を「売って」それを、遊行費や酒の飲み代にしていることなのだが。

薪などの生活に必要な木を切ることは問題がない。成長していく、木に適度な間伐が必要なわけだから、矛盾しない。しかし、酒のために木を切り売るようになるとそれは別の話。

シハモニ国王陛下のWEBサイトに掲載されました

シハモニ国王陛下との謁見の機会をいただくことができたということを、ご報告させていただきました。この謁見の際の写真が、シハモニ国王の公式ウェブサイトにも掲載されておりますので、ご案内させていただきます。

7 月 18 日(水)から 23 日(月)まで、横浜タカシマヤ 8 階催事場で開催される「アジアの絹展 / アジアの手仕事展」という催し物に、カンボジアの伝統織物を代表してクメール伝統織物研究所が参加し、展示と販売を行なうことになりました。

実際の運営は、IKTT Japan のメンバーに担っていただくことになります。会場では、アジア各地の工房やショップによる出店がなされると聞いています。

横浜ならびに東京近郊のみなさま、ぜひとも会場に足をお運びください。

2007/6/06 _____________________________________________________Vol.073

INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES
________________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

 みなさま、クメール伝統織物研究所の森本喜久男です。
 前回のメールマガジンで、シハモニ国王陛下との謁見の機会をいただくこと
ができたということを、ご報告させていただきました。
 この謁見の際の写真が、シハモニ国王の公式ウェブサイトにも掲載されてお
りますので、ご案内させていただきます。

▼シハモニ国王の公式ウェブサイト(クメール語、英語、フランス語)
http://www.norodomsihamoni.org/

 なかほどの国旗(カンボジア、イギリス、フランスのいずれか)のところを
クリックして言語を選びます。英語版であれば、その右のnewsのところをクリ
ックして表示されるMay-2007のリストに、Audience of the Director of the
Khmer Traditional textilesと記載されているので、そこをクリックしてご覧
ください(操作はクメール語、フランス語でも同様です)。


(1)横浜タカシマヤ「アジアの絹展/アジアの手仕事展」

7月18日(水)から23日(月)まで、横浜タカシマヤ8階催事場で開催さ
れる「アジアの絹展/アジアの手仕事展」という催し物に、カンボジアの伝統
織物を代表してクメール伝統織物研究所が参加し、展示と販売を行なうことに
なりました。実際の運営は、IKTT Japanのメンバーに担っていただくことにな
ります。会場では、アジア各地の工房やショップによる出店がなされると聞い
ています。横浜ならびに東京近郊のみなさま、ぜひとも会場に足をお運びくだ
さい。

と き:7月18日(水)〜23日(月)
    午前10時から午後8時まで(最終日は午後5時閉会)
ところ:横浜タカシマヤ 8階催事場
    横浜市西区南幸1丁目6番31号(横浜駅西口)
    電話:(045)311−5111(代)

▼地図(横浜タカシマヤ)
http://www.takashimaya.co.jp/yokohama/access/index.html


(2)新刊書籍のご案内『水うちわをめぐる旅』

 IKTTでのフィールドワークをもとに、卒業論文の執筆などを行った水野
馨生里さんが、このたび書籍を出版されましたので紹介させていただきます。

書名:『水うちわをめぐる旅 〜長良川でつながる地域デザイン』
著者:水野馨生里
発行:新評論
発行:2007年5月24日
価格:1995円(税込)
ISBN:978-4-7948-0739-7

▼『水うちわをめぐる旅』(新評論のサイト)
http://www.shinhyoron.co.jp/cgi-db/s_db/kensakutan.cgi?j1=978-4-7948-0739-7

以下は、著者の水野馨生里さんからのコメントです。

《IKTTにヒントを得て活動をはじめ、執筆に至りました》
 私は、大学生のときにIKTTにフィールドワークにお邪魔しました。
 年に1度、3〜4回のステイは私にとって大変重要なものとなりました。ワ
ークでは、主に、織り手への聞き取り調査や、大御所のオム・ソットへのライ
フヒストリー調査を行い、森本さんには多大なるアドバイスをいただいたこと
を覚えています。
 この調査を通して私が認識したことは「IKTTの織物は、彼女らにとっての生
業だ」ということでした。
 生業……実はこの言葉は、今の私たちが行う「仕事」とはかけ離れたものの
ように感じます。そう、生活のわざ、それが生業だと思うのです。オム・ソッ
トにとっての織物は「近くにあって当たり前のもの」「ないほうがおかしい」
くらい自分と同一視できるものです。織物が、彼女のアイデンティティを形成
している……そんなこと、当たり前すぎて言葉にする必要のないくらい、大き
な部分を占めているのです。そして彼女はまっすぐ前を見て言いました。
「織物は、IKTTは誇り」だと。
 このインタビューを終えて、私は故郷の岐阜を省みたのです。なぜなら……
私には、自分の大切なふるさとには、自分が胸をはって誇れるものがあるのだ
ろうか……経済破綻など、様々な問題が浮上している地方都市で、その地域出
身者が故郷を誇れないで、何が残るというのか……。
 このような認識を抱くきっかけをIKTTにもらい、故郷で出会ったすばらしい
岐阜の伝統工芸「水うちわ」。私は水うちわ自体の復活だけではなくて、地域
の伝統を、文化を愛する心をはぐくむこと、そして、誇るべき地域の醸成を目
指しています。これも、IKTTが教えてくれたことのひとつだと思っています。
 ただ単純な、貨幣に代わる労働を提供するのではなく、地の誇りになるもの
を創造する。古く歴史長いものだが、新たに“創る”。
 私はIKTTのような活動は、カンボジアだけではなく世界各国で求められうる
ものであると確信しています。そして、先進国で、GDP世界2位という地位
を築きながらも迷走を続ける日本にこそ必要な活動だと思っています。
 これからもIKTTを応援させていただきたいですし、地域での活動の参考にさ
せていただきたいと思います。 水野馨生里

2007年6月6日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男
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インタビュー

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伝統の森

 日本の農学系の大学生の女性が、日本語ガイドのクメール人を通訳に森の住人のアンケートを実施した。

 その結果、もっといろんな要望や不満がたくさん出てくると思っていたようだが、あるにはあるがそんなに、どっと、という感じではなかった。

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