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IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

木を食う男、その2

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木を食う男、確か2年ほど前に一度書いたことがある。

そして、再び。しかし、前回は建てている途中の家の木を食べていた。しかし、今回は「森」の木。誤解のないように、木をほんとうに食べているわけではなく、木を「売って」それを、遊行費や酒の飲み代にしていることなのだが。

薪などの生活に必要な木を切ることは問題がない。成長していく、木に適度な間伐が必要なわけだから、矛盾しない。しかし、酒のために木を切り売るようになるとそれは別の話。

2年前、当時の「森」の住人のリーダーが、副収入を得るために率先してやっていた。密売をしていた約10家族ほどが、そのとき森の現場から出ていった。そして、しばらく沈静化していた。しかし、新参者が来た半年ほど前から再び、目に見えるほどに、木を切り始めた。

彼らにすれば、道端で、目の前に落ちているお金を拾うな、ということをわたしが言っているに等しいことも理解した。

しかし、それでも、かれらの悪行はエンドレス。その金で、毎日酒に浸り、挙句は肝心の昼間の仕事に出てきても、酔っ払っている状態。他の、ふつうに仕事をしている森の住人たちから見れば、異様である。

もっと残念なことは、これまでわたしと10年いっしょに仕事をしてきたおばあ、オムソットの娘3人のそれぞれの旦那がじつは今回の密売の主犯格。ここ数日の、森での出来事を踏まえて、その3家族を含めた6家族が、森から出て行くことになった。

オムソットも、そんな娘たちについていくという。どうするつもりなのだろう。わたしは、彼女には、いつでも戻ってきたかったら、戻ってきてもいいのだから、ということしかできない。娘婿の悪行を許すわけにはいかないから。

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森本喜久男

更新日時 : 2007年6月10日 14:27

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