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IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】クメール伝統織物研究所 Vol.074

2007/6/24 _____________________________________________________Vol.074

INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES
________________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

 みなさま、クメール伝統織物研究所の森本喜久男です。
 カンボジアでは、本格的な雨季の到来を告げる雨が降り始めております。や
はり恵みの雨、お百姓さんになり始めたわたしとしては、感謝の気持ちを禁じ
得ません。
 そして、昨日の午後、「伝統の森」に行ってもっと驚くことがありました。
しばらく見かけなかった光景、じつはとても当たり前のことなのですがそれが
できていなかったというか……。全員、ええ森で働く全員がですね、野菜畑、
桑畑、藍畑、いくつかの現場に分かれて、雨に打たれながら仕事をしていると
いう、久しぶりに感激の場面に出くわしました。
 この数か月間、わたしが森のみんなに、木を切るな、仕事をしろ、とはげし
く迫ってきた、その結果なのですが。

         *       *       *

 「伝統の森」は、現在およそ23ヘクタール。桑畑、綿花畑、藍畑、ラック
カイガラムシを寄生させるためのグアバの林、そして生活用の野菜畑などもあ
るが、その敷地のほぼ半分は開墾せず自然のままに木々を育てている。「自然
の恵み」は、わたしたちの暮らしと、伝統織物の制作の根幹に必要不可欠なも
のだから。
 「伝統の森」の住人たちにも、枝などを拾い集めて薪にするのはいいが、立
ち木を伐ってはいけないと言ってきた。だが、その意図がなかなか理解されず
にいた。どうやらそれは、道端で目の前に落ちているお金を拾うな、というこ
とをわたしが言っているに等しいことであるようだった。
 半年ほど前、シエムリアップ近在の一家族が「伝統の森」に住み始めた。そ
の頃から、「伝統の森」の木が伐られるようになった。今から思えば、彼らが
IKTTで働き始めたいちばんの理由は、森に住んで「森」の木を売ることで
はなかったのか、とすら思えてくる。
 夕方、森の一角の彼らの家のそばで、森の若い男連中が車座になって地酒を
飲んでいる光景を見かることがあった。最初は、まあいいかと思っていたが、
頻繁に見かけるようになって不思議に思うようになっていた。なんてことはな
い、密伐採を手伝っていた連中に酒を振舞っていただけのこと。立ち木を売っ
た金で、毎日酒に浸り、挙句のはてには昼間の仕事に出てきても、酔っ払って
いる状態。普通に仕事をしている森の住人たちから見れば、異様なこと。
 もっと残念なのは、これまでの10年、わたしと一緒に仕事をしてきた“お
ばあ”であるオムソットの娘3人の旦那たちが、今回の密売に深く係わってい
たこと。その上、その罪を「伝統の森」のマネージャー役の男性になすりつけ
ようとし、さらにはわたしからの数百ドルの借金を棚に上げ、地元の警察に給
料が支払われないと駆け込む騒ぎまで起こした。が、逆に、彼自身が警察から
意図的に騒ぎを起こそうとしたことに対して始末書を取られ、けっきょく「伝
統の森」から出て行かざるを得ない状態に至った。オムソットは、そんな娘た
ち家族についていくという。どうするつもりなのか。だが、オムソットの身内
だからといって娘婿の悪行を許すわけにはいかない。
 けっきょく、伐採密売の首謀者とその家族、そしてオムソットの家族たちを
含め6家族が森を離れていった。自分たちの野菜畑ではなく、桑畑にキャッサ
バを植えていた者もいなくなった。

         *       *       *

 この2週間ほど、そんなパプニングとわたしが格闘してきた結果が、昨日み
んなが雨に打たれながら作業をしている中に現れていたと思います。うれしい
ですね。
 これで、落ち着きを取り戻した伝統の森の人たちと、ゆるやかに、次のステ
ージに向かうための陣容がそろい始めてきたことを実感することができるよう
になってきました。
 織りのグループも含め、絣の括り組、染め組などなど、来月の中ごろには、
わたしも含めて、約40人が森へあらたに移住していく予定です。
 そして2008年からはじまる、「伝統の森・再生計画」の第二期5か年計画に
備えながら、年内には新たな体制が構築されていくはずです。


(1)横浜タカシマヤ「アジアの絹展/アジアの手仕事展」

7月18日(水)から23日(月)まで、横浜タカシマヤ8階催事場で開催さ
れる「アジアの絹展/アジアの手仕事展」という催し物に、カンボジアの伝統
織物を代表してクメール伝統織物研究所が参加し、展示と販売を行なうことに
なりました。実際の運営は、IKTT Japanのメンバーに担っていただくことにな
ります。会場では、アジア各地の工房やショップによる出店がなされると聞い
ています。横浜ならびに東京近郊のみなさま、ぜひとも会場に足をお運びくだ
さい。

と き:7月18日(水)〜23日(月)
    午前10時から午後8時まで(最終日は午後5時閉会)
ところ:横浜タカシマヤ 8階催事場
    横浜市西区南幸1丁目6番31号(横浜駅西口)
    電話:(045)311−5111(代)

▼地図(横浜タカシマヤ)
http://www.takashimaya.co.jp/yokohama/access/index.html


(2)IKTT Germanyの発足

 報告が遅れましたが、先にドイツを訪れた際に、IKTT Germanyが発足しまし
た。これは2005年6月にドイツとフランスで放送されたドキュメンタリー
番組「GEO-Reportage」で、研究所の活動が取り上げられたのが発端でした。
この番組を見た視聴者のうちの何人かは、実際にシエムリアップの研究所を訪
ねてきてくれました。そして、そんな人たちのなかで誕生したのです。今回、
わずか二日間のハノーヴァー滞在でしたが、今回の報告会を引き受けていただ
いたMs.INGEさんのご好意と、現地でのいろんな人たちと出会いのなかでIKTT
Germanyが正式に結成されたことをここにご報告させていただきます。
 これによりドイツをはじめヨーロッパのミュージアムでの展示や販売会の企
画が実現できる体制ができてきたように思います。ありがとうございます。


2007年6月24日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男
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No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

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更新日時 : 2007年6月24日 23:57

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