IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

森の近況

ここ二日間ほど森に泊まっていました。カンボジアで秋の気配というと変ですが、随分と涼しくなりました。夜には毛布がいります。

お盆を終えて、タケオ州の村から、5人の若い織り手と、熟練組の織り手の女性たちの旦那さん2人がやってきてくれました。新しいメンバーを加え、森の新しい体制づくり、作業グループごとの人員の再配置とその確認のための全体ミーティングを久しぶりにしました。IKTTでは、ふだんはあまりミーティングをやりません。それに時間を使うなら、そのぶん仕事をというのが私の心です。

森の作業グループは、大きくは3つにわかれます。開墾や野菜畑そして桑の木や藍、綿の木などの世話をする「森組」と、生糸の整理から、染め、括り、織りなどの「織物組」、そして「事務所組」に分かれます。今回新しく、発電機やそれぞれの家の電気配線などのメンテナンスを担当する「電気組」が発足し、全部で24の作業グループになりました。120人以上の大所帯です。それらが有効に、有機的に連動するように再編成しました。

ミーティングで、みんなの顔を見ていて思ったのは、みんな若いのです。ほとんどが10代から20代。木を切って売るなど悪いことをしていた、年配の連中がいなくなった、そんな感じです。いいことですね。みんな元気です。わたしは、そんな彼らに「仕事をしないやつには給料を払わないから」と、激をとばしました。

そして、昨日はカンボジア政府の商業省の副大臣が視察に来てくれました。UNDPという国連機関の代表と、テレビ局や地元の新聞記者も同行して。感心しながら、そして彼らのプロジェクトへの協力を依頼されました。とりあえずはOKしましたが、伝統の森の仕事や問題もいつも山のようにあるわけですから、余裕があるわけではありません。

でも、彼らがIKTTのプロジェクトに注目していることがわかりました。桑の木は、蚕は、織りは誰が指導しているのかと、具体的な活動への矢継ぎ早やの質問が飛び出しました。

商業省が、地域の産業振興のためにIKTTの伝統の森プロジェクトを参考にしてゆきたい、とも説明されました。「伝統の森」を地域のパイロットファームとして機能させ、周辺の村へも養蚕や綿花栽培、野菜作りなどを普及させていこうということは、じつは2008年からの「伝統の森」の第二期計画のプログラムのひとつにあることなのですが、それを前倒しにするかたちで政府から声がかかりました。

最近、フランスの雑誌に紹介されたことと、IKTTのウェブサイトを、彼らが見たうえでのことだと思います。英語サイト・クメール語サイトを充実させてくれた草野さん、わたしの日本語の翻訳を手伝ってくれる松岡さんにあらためて感謝です。

そんな森に滞在して、いちばん困るのはインターネットができないことですね。森への道路も含めて、インフラをもう少し整備してほしいところです。


森本喜久男

更新日時 : 2007年10月22日 07:06

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