あたらしいトイレ
作りたいと思いながら、なかなか手がつけられずにいたトイレをやっと森につくることができた。それは車椅子の人が利用できるトイレ。少し大きめの、日本など海外では、当たり前なのだろうが、このカンボジアではまだ見かけることは少ない。
それを作ってくれている大工の棟梁は、チャム人の大工さん。彼は、プノンペンの北、ウドンに近い川沿いの村から来てくれている。江戸のころ、日本人村があったかもしれないといわれているところ。
研究所のチャム人の研修生がぐうぜんその村の出身で、何度か訪ねたことがあり、大工さんとも知り合うようになった。
もう1年近く、森に滞在して次から次に、わたしの無理難題に答えながらみんなの家や、作業小屋を作ってくれている。手伝いの手元は、タケオ州から来てくれて、熟練の織手の旦那さんたち。彼らも、プノンペンで建設現場で働いた経験があり、手際がいい。
高床式の家、2棟。新しい研修生の集合住宅。共同トイレをいくつか。4部屋のゲストルームも。牛小屋、そしておおきな堆肥小屋。最近では、工芸村エリアの最初のわらぶきの家、アシヤハウスを屋根の葺き替えをかねて、模様替え、雑貨屋に。150人もいる村の住人で毎日繁盛している。そしてその雑貨屋のよこに、車椅子可のトイレができた。
その最後の仕上げ、きょうも半日はその仕事を見ながら過ごした。図面などないわけで、基本は簡単なレイアウトをわたしが書き、それにしたがって、家ができていく。水周りの細かい仕様もそばで見ながら説明していく。気を抜くと、柱がいがんでいたりするから、気が抜けない。
そんな、人のいい棟梁、この間のお盆休みに村に帰り、奥さんと二人の子供をつれてきた。本格的に、彼も、森の住人になる覚悟ができたようだ。きょうは、奥さんも、なれない手つきで生糸の精練を手伝っていた。
まだ5年目、もう2、3年で森の村は形になるかと思っているけれども、あと5年ほどはかかるかもしれない。伝統の森学園や、ミュージアムなどと、その予定は、広がり始めているから。高床の家もあと何軒か、まあそれで、しめて10年、そのくらいはかかるような。でもほんとうに、それであたらしい村ができれば、良し、である。だから、いまは半ば。
森本喜久男
更新日時 : 2007年10月24日 22:47



