IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所] Vol.092

2007/12/24_____________________________________________________Vol.092
IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES]
________________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、クメール伝統織物研究所の森本喜久男です。

 今年の5月、プノンペンの王宮へシハモニ国王陛下をお訪ねし、布を献上す
る機会に恵まれた。
 そして、来年1月、シハモニ国王陛下が「伝統の森」においでいただくこと
を正式にご連絡いただいた。これは、IKTTにとってとても光栄なこと。長
い内戦のなかで失われかけていた、カンボジアの伝統の織物世界を取り戻し、
再生させることめざしてきた。それは、カンボジアの人々の誇りを取り戻すこ
とであると。そして、むかし、カンボジアの村に普通にあった、村にあるもの
だけで布が作れる環境の再生を目指して「伝統の森」再生計画は動き始めた。
 このあたらしい村に、国王陛下がおいでいただくことで、その、あらたな出
発点となる日を迎えることができる。
 その準備に追われながら、来る年は、ねずみ年。わたしも60歳へ。
 大台に突入、人生も半ばをすぎてしまうことになる。まだ、最後の秒読みに
入ったわけではないが、少しあせる気持ちがある。これからの後半戦、どこま
でたどり着けるか、いまだ未知である。もう一度、気を引き締めて、初陣にで
る気持ちで新年を迎える。
 これまでの、シアムリアップでの活動から「伝統の森」の現場に自分の活動
の本拠を移していく。カンボジアでは、プノンペンでの5年間、そしてこのシ
エムリアップでの8年間を終え、次のステージに。
 「伝統の森」の事業もすでに5年が経過、それは助走期間のようなもの。こ
れからが本番。事業的にはマイナス経費のみであったが、今後は「伝統の森」
からの生産物がプラスに転換、本来の意味での持続可能な体制を築いていける
ようになりたい。
 最近、その象徴のようなことも。森で種から育ててきた染色に使うベニノキ
の実がたくさんなり、研究所で使う以上の分が収穫でき、市場に出荷できるほ
どの量が採れるようになった。そして、マンゴーやジャックフルーツの実も、
来年にはたくさん収穫できるはず。これは5年間の成果。
 しかし、生糸の生産はまだまだこれから。そして綿花。土壌改善など、まだ
技術的に解決しなければならない問題がいくつか残されている。藍の生育と、
藍染めはほぼ技術的にも確立できるようになってきた。
 いちばんの難題、赤い染料となるラックカイガラムシの成育には、まだ手付
かず。課題を、来年に残している。来年の繁殖期には是非とも、移殖を成功さ
せたい。そして、鮮やかな赤い色を染めてみたい。
 そして、なによりもカンボジアの絣の布の世界へのさらなる切磋琢磨、ほん
とうに世界一の絣の布といえるような布を作れるようになりたい。
 しかし、それはそんなたやすいことではない。
 「伝統の森」での仕事は、それ自体が失われた伝統の知恵を取り戻すための
人を育てる、人材育成事業であり、雇用の創出事業であった。そのなかで、自
然の森を育てる環境育成事業、そして桑や綿の糸、そして藍などの染色植物を
育てることと有機野菜などの農業事業、そして基幹の染めと織りの事業に加え
て、来年度から教育事業が本格的に始動する。これまでも、小さなアートスク
ールや識字教育、そして森に住む子どもたちのための寺小屋を運営してきた。
来年度からは、伝統の森の周辺の地域の子どもたちに開かれた、ライブラリー
が併設されたアートスクールを開設していく予定でいる。そして、英語や日本
語の語学教室。そして、正式に認可を受けて、「私立伝統の森学園」の設立を
考えている。未来を担う子どもたちに、学ぶ環境を提供できればということが
基本。それは「森の知恵」を次の世代に伝えていくことにもつながる。
 そして、これはまだ夢に属するが、伝統の森ミュージアムを作りたいと思っ
ている。
 あと数日で2008年に。これまで、IKTTの活動を支えてきていただい
たみなさんへ、あらためて感謝の気持ちをこめて分かち合い、これからもこの
活動を温かく見守っていただけますよう、ここにお願い申し上げます。
                                 深謝


(1)IKTTの年末年始の営業について
IKTTの2階のショップ&ギャラリーは、通常どおり朝8時から夕方6時ま
で(年中無休)で開けております。安心してお越しください。なお、1階の工
房については、31日の大晦日は午後から大掃除の予定、正月の1日はお休み
になります。2日からは、平常どおりになります。


(2)『カンボジア絹絣の世界』が発売になります
『メコンにまかせ』の刊行から10年、ようやくわたしのあたらしい著書が世
に出ます。『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』という
タイトルです。1月30日発売、本体価格980円です。今回はなんとカラー
口絵もあります。本文写真も含め、これまで足しげくIKTTに通っていただ
いた写真家の大村次郷さんのカメラによるものです。お近くの書店でお求めい
ただければ、さいわいです。
 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
 著 者:森本喜久男
 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
 価 格:980円(+税)
 発 売:1月30日


(3)季刊『森発見(しんはっけん)』が発行になりました
12月15日発行の、季刊『森発見(しんはっけん)』(No.8)の巻頭エッセ
イに、「伝統織物の復元から、村の再生へ」という文章を寄せました。
季刊『森発見(しんはっけん)』は、独立行政法人・日本万国博覧会記念機構
広報誌です。広報誌という性格上、一般の書店には並んでいないということで
すが、万博記念公園内の売店のほか、大阪と京都のジュンク堂書店で、部数は
限られていますが取り扱いがあるそうです(定価200円)。
あるいは、以下までお問い合わせをお願いいたします。
 日本万国博覧会記念機構「自立した森再生センター」
 緑地管理係(ご担当:千原さま)
 TEL:06-6877-3349/FAX:06-6877-8459
 ※代金200円/1冊を先払いでの発送となるとのことです


(4)「IKTTカレンダー2008」できました
IKTT Japan制作の「カレンダー 2008」ができあがりました。今
回は、写真家の大村次郷さんと石川武志さんのご協力も得て、蚕の繭が絣に織
り上げられるまでを紹介しています。価格1000円、A5判(上下に広げ、
A4判サイズで使用)です。

▼IKTTカレンダー2008のご紹介、ならびに通販申込
http://www.iktt.org/calen08.html

昨年と同様に、東京都内では、神保町「アジア文庫」、高円寺「茶房・高円寺
書林」、西荻窪「信愛書店」でのお取り扱いも始まりました(数に限りがあり
ますのでお早めに)。『カンボジア絹絣の世界』とあわせてお求めいただけれ
ば、幸いです。

▼アジア文庫(千代田区神田神保町1−15内山ビル5階)
http://www.asiabunko.com/
▼茶房・高円寺書林(杉並区高円寺北3−34−2)
http://www.geocities.jp/fuzainoisu/shorin.top.html
▼信愛書店(杉並区西荻南2−24−15)
http://park12.wakwak.com/~tks/furhon.htm


(5)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー番
組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The Silk
Grandmothers」というタイトルでまとめられています(英語版の番組ですが、
わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウェブサイト
上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧になれるはずで
す(再生には、QuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)。
▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html


★★シエムリアップ・IKTTまでの歩き方★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテルの
玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に沿っ
て進みます。川岸には遊歩道が整備がされています。道なりに(つまり川に沿
って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」と日本語
と英語で書かれた看板が見えてきます。ここがIKTTです。(左側にクロコ
ダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。お戻りください)

_____________________ I N F O R M A T I O N __________________________
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から夕
方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝9時
から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)の間に
お越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

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※このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
 を利用して発行されております。【 http://www.mag2.com/ 】
mag2 ID: 0000070073
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2007年12月24日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男
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ッセージを読むことができません。お問い合わせは以下のURLよりお願いいたします。
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更新日時 : 2007年12月24日 11:32

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