ピアックスナエン「伝統の森」にて
じつは、大晦日より、わたしは「伝統の森」の住人になりました。
基本的に森に住み、必要があれば町に(シエムリアップに)出てくるという暮らしに移行しました。シエムリアップの工房とショップは、ナラン、リナ、ンガエットたちの手でしっかり運営されるようになりました。だから、わたしが目を光らせていなくても大丈夫でしょう。一方、森の現場は、いまが正念場といえます。
飲料用と畑の散水用の給水システム、そして排水の浄化処理、ソーラーとゼネレーターによる発電など。...... じつは夜の団らんの時間帯は、森の村の各戸に配電でき、夜9時30分までは、テレビやビデオを見ることができるようになりました。それまでランプだけの生活だったことからすれば、これは大きな進歩です。
こうしたシステムの施工とメンテナンスに加えて、今後は堆肥づくりを基にした桑畑や綿花畑の充実、そして野菜づくりの本格化に取り組んでいきます。これからは、農を基本に収穫の喜びを目指す森本です。
唯一の問題といえば、森ではインターネットが繋がらないことです。それゆえ、メールチェックは週に一度くらいしかできないこともあるかと思います。ただ、これも慣れかなと思っています。その点につきましては、みなさまご容赦ください。
森での暮らしのなかで、新たに取り組む予定でいるのは、わたし自身の創作の時間を作ることです。年に一回くらいだったローケツ染めを、コンスタントに描いていこうと思っています。じつは、シンガポールのある団体から個展の話をいただきました。そのとき、お絵描き組の絵も一緒に展示いたします。そして、作品をチャリティを兼ねたオークションで販売するという話です。IKTTの活動と「伝統の森」についてのPRを含め、これまでとはちょっと違ったかたちでの展示会というのもいいかな、と思っています。
『カンボジア絹絣の世界 〜 アンコールの森によみがえる村』の発行も本決まりになりました。みなさま、本書をお読みになり、進化を続ける「伝統の森」の現場にぜひともお越しください。お待ちしております。
ピアックスナエン「伝統の森」にて
2008年1月9日 森本喜久男
更新日時 : 2008年1月 9日 08:20