IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所] Vol.102

2008/03/09___________________________________________________Vol.102
IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES]
______________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本喜久男です。
 少々早いアナウンスになりますが、今年の「蚕まつり」についてお知らせ
しておこうと思います。
 わたしたちIKTTは、「伝統の森」で、9月の満月の日に「蚕まつり」
を行なってきました。ご存知のとおり、わたしたちは、カンボジア伝統の絹
織物を制作しています。そして、その絹織物を販売することで、わたしを含
め400人以上の研修生たちの生活が成り立っています。いわば、お蚕さん
に「食べさせて」もらっているのです。
 しかし、生糸を取るためには、お蚕さんを繭のまま釜茹でにします。つま
り殺生をすることになります。カンボジアでは多くの人たちが敬虔な仏教徒
です。仏教徒にとって、殺生はしてはならないことのひとつです。わたしが
13年前、カンポットのタコー村で伝統的養蚕を再開しようとしたときも、
村びとのなかから「殺生するのはいや」という声がありました。しかし、わ
たしは、これは無益な殺生ではないのだ、わたしたち自身がそれで生かされ
ているのだ、と村びとたちに説明したのです。
 2003年7月、「伝統の森」で養蚕が始まり、はじめて生糸ができたと
き、わたしはそのことを思い出しました。そして、わたしたちがこの地でア
ンコールの神がみに生かされていることに感謝し、さらにはお蚕さんに生か
されていることに感謝して、蚕供養をしようと思い立ちました。古い中国の
資料にも、蚕を祭る儀式があったことが記されています。ベトナムには、蚕
寺があるそうです。養蚕が盛んだったところでは、蚕を祭る習慣があっても
不思議ではありません。
 それ以来わたしたちは、9月の満月の日に「蚕まつり」を催すことにしま
した。午前中は、お蚕さんを供養する儀式を行ない、IKTTの研修生全員
で昼食をとります。食事の準備もみんなで分担して行ないます。食事のあと
は、青空ディスコで盛り上がるのが定番となりました。
 今年は、9月15日がその満月の日です。
                 *
 さらに今年は、その前夜祭として「伝統の森」でファッションショーを開
催しようと考えています。
 これまでカンボジアシルクフォーラムという団体の主催で、シエムリアッ
プのグランドホテルを会場にして、アンコールシルクフェアが開催されてき
ました。カンボジアシルクフォーラムというのは、カンボジア国内のシルク
に関係する団体(養蚕を支援するNGOから、絹織物を制作販売する会社、
テキスタイルデザイナー、そしてアンティークシルクを販売するショップな
ど)によって設立された、カンボジアシルクのプロモーションを行なう団体
です。そして、シルクフェアのメインイベントともいえるのがファッション
ショーでした。IKTTも、2回目以降、このファッションショーに参加し
てきました。その基本にあるのは「自分たちが織り上げた布を自分たちでま
とって、ステージに立つ」ということです。自分たちの作っているものは、
こんなにもすばらしいものなのだということを、IKTTのひとりひとりに
も理解してほしいからです。
 しかし、4回まで続いたアンコールシルクフェアのファッションショーも
今年の2008年は開催できずにいます。シルクフォーラムのメンバーの足
並みが乱れてきたことが原因です。そこで今年は、IKTTだけで独自にフ
ァッションショーを開催しようと考えているというわけです。
                 *
 この「蚕まつり」ならびにファッションショーについては、詳細が決まり
次第、このメールマガジンならびにWebサイトでお知らせする予定です。
 幸いなことに、この時期は日本では9月の連休にあたっているようです。
みまさま、「伝統の森」の蚕まつりに、そして「伝統の森」のファッション
ショーにぜひともお越しください。 お待ちしております。


(1)3月4日の読売新聞朝刊「顔」欄で紹介されました
 3月4日の読売新聞(朝刊)の「顔」欄で紹介されました。「滅びかけた
クメールかすりを再生した西陣友禅職人」、もうひとつの見出しには「布が
私を呼んでいた」とあります。図書館等でご覧ください。


(2)DCカード・UFJカード会員情報誌3月号で紹介されました
 DCカードの会員情報誌「GRAN」3月号、ならびにUFJカード会員
誌「UFJ Card magazine」3月号が「シェムリアップ、遺跡
の街へ」という特集を組んでいます(どちらも記事内容は同じとのこと)。
このなかで、IKTTについて見開きを使って取り上げられています。
 別のページでは、カンボジアのコショウを使った料理のレシピも載ってい
ました。かつてカンボジアのコショウは、香りの高い、たいへん質のよいも
のが生産されていました。それを復活すべく、日本人の倉田浩伸さんがプノ
ンペンで会社を立ち上げ、スラエアンバルでコショウ栽培に取り組んでいま
す。IKTTのショップにおいてある粒コショウが、このクラタペッパーの
コショウです。
 この「GRAN」は、東京三菱UFJ銀行各支店ロビーにも置かれている
そうなので、お近くの支店でご覧になってみてください。

▼DCカード会員情報誌「GRAN」(表紙のみ)
http://www.dccard.co.jp/useful/lifes/gran/magazine.shtml

▼UFJカード会員誌「UFJ Card magazine」(表紙とIKTTの布のカット)
http://ufjcard.com/service/magazine/content/index.html


(3)『カンボジア絹絣の世界』発売中
 『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が、NHKブ
ックスから発売になりました。前著『メコンにまかせ』から10年、ようや
くかたちにすることができました。多くの方たちから、続編は出さないのか
とたずねられておりましたから、これでようやく肩の荷がひとつ下ろせたよ
うな気がしております。
 早いもので、IKTTを設立してから12年になります。この『カンボジ
ア絹絣の世界』には、これまでわたしたちが取り組んできたこと、現在のI
KTTの状況、そして「伝統の森」再生計画が目指していることなどについ
て、かなりくわしく書いたつもりです。染め織りに関する描写もできるだけ
書き込みました。巻末には「IKTTの絣布ができるまで」と題し、桑の苗
を育て、養蚕をし、生糸を引き、それを括り、染め、織り上げるまでの工程
を、写真とともに簡潔に説明したページもつきました。本文中には「伝統の
森」の位置をプロットした「シエムリアップ周辺図」と、現状でいちばん詳
細な「伝統の森」の見取図も掲載されています。
 前著『メコンにまかせ』は、わたしがタイを訪れ、黄金の生糸に出会い、
そして東北タイの村びとたちと試行錯誤しながら染め織りを手がけてきたこ
とと、カンボジアユネスコのコンサルタントとして「カンボジア絹織物の現
状調査」を担当したことで、カンボジアの伝統織物が置かれた現状を知り、
その結果としてタコー村で伝統的養蚕の復活プロジェクトに取り組み、そし
てIKTTを設立するに至るまでのことが記されています。いわば、IKT
T前史とでもいえる内容でした。
 今回の『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が出版
されたことで、IKTTは何をやっているところなのか、そして森本はこれ
から何をしようとしているのか、というみなさまの疑問に対する、ひとつの
回答とさせていただけるのではないかと思っております。
 お近くの書店でお求めになり、お読みいただければ、幸いです。
□ 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
□ 著 者:森本喜久男
□ 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
□ 価 格:970円(+税)
□ ISBN:978−4−14−091102−0 C1339


(4)『カンボジア絹絣の世界』をご紹介いただきました
 インターネット新聞JanJan2月4日付の編集便り(編集委員時評)
で、「カンボジアの手仕事の森をよみがえらせる」と題して『カンボジア絹
絣の世界』が紹介されています。編集委員の山本眞人さんには、以前にもイ
ンターネット新聞JanJanで「カンボジア染織の『復興支援』」と題す
る連載記事を掲載していただきました。山本さん、ありがとうございます。
▼インターネット新聞JanJan(2月4日付の編集便り)
http://www.news.janjan.jp/editor/0802/0802040157/1.php


(5)パリでのエキシビションのご案内
 フランスの旅行会社アジア・ボヤージが主催するギャラリー「エスパスア
ジア」で、エキシビジョンが行なわれています。会場は、ノートルダム寺院
のすぐそばで、会場からも寺院が望めます。会期は3月29日までの8週間
です。営業時間は、平日は9時から18時30分まで、土曜日は10時から
13時と、14時から17時までです。5月の後半からは、リヨンに会場を
移す予定です。ぜひ、皆様のお知り合いなどいらっしゃいましたら、ご案内
していただければ幸いです。
□ L'ESPACE ASIA / ASIA VOYAGES
□ address: 1, Rue Dante, 75005 Paris,
□ phone: 0033(0) 1 44 41 50 10
□ email: dante@asia.fr


(6)「IKTTカレンダー2008」ができました
 IKTT Japan制作の「カレンダー 2008」ができました。今回
は、写真家の大村次郷さんと石川武志さんのご協力も得て、蚕の繭が絣に織
り上げられるまでを紹介しています。価格1000円、A5判(上下に広げ
A4判サイズで使用)です。
▼IKTTカレンダー2008のご紹介、ならびに通販申込
http://www.iktt.org/calen08.html
東京都内では、神保町「アジア文庫」、高円寺「茶房・高円寺書林」、西荻
窪「信愛書店」でお取り扱いいただいています(数に限りがありますのでお
早めに)。新刊の『カンボジア絹絣の世界』とあわせてお求めいただければ
幸いです。
▼アジア文庫(千代田区神田神保町1−15内山ビル5階)
http://www.asiabunko.com/
▼茶房・高円寺書林(杉並区高円寺北3−34−2)
http://www.geocities.jp/fuzainoisu/shorin.top.html
▼信愛書店(杉並区西荻南2−24−15)
http://park12.wakwak.com/~tks/furhon.htm


(7)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー
番組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The
Silk Grandmothers 」というタイトルでまとめられています(英語版の番組
ですが、わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウ
ェブサイト上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧に
なれるはずです(再生にはQuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)
▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html


★★シエムリアップ・IKTTまでの歩き方★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテル
の玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に
沿って進みます。川岸には遊歩道が整備がされています。道なりに(つまり
川に沿って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」
と日本語と英語で書かれた看板が見えてきます。ここがIKTTです。(左
側にクロコダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。お戻
りください)

★★★★「伝統の森」への道のり★★★★
「伝統の森」は、シエムリアップの町から北へ約30キロ、車で約1時間の
ところにあります。アンコールワットを右に見て進み、アンコールトムの南
大門をくぐり四面仏の尊顔が微笑むバイヨン寺院を通り越し、さらに北へ。
プリヤカン寺院の門前を過ぎて道路が大きく右にカーブした先に、左に折れ
る一本道が現われます。この道を約10キロ、途中何度か川を渡り、左手の
木立の間にお寺が見えたらすぐ先の道を右へ。IKTTとMORIMOTO
の名前の入った緑色の看板を確認してください。ここから約4キロ、ふたた
び川を渡り、しばらく行くと右手に「伝統の森」の入口が現われます。シエ
ムリアップの町から「伝統の森」まで、タクシーで往復40〜50ドルが相
場です(シエムリアップ基点で請求されるので片道でも料金は同じです)。

____________________ I N F O R M A T I O N _________________________
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から
夕方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝
9時から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)
の間にお越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

※当メールに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
※このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
 を利用して発行されております。【 http://www.mag2.com/ 】
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2008年3月9日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男

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更新日時 : 2008年3月 9日 00:06

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