IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所] Vol.104

2008/03/25___________________________________________________Vol.104
IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES]
______________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本喜久男です。
 「伝統の森」の第5エリア、沼の対岸にある野菜畑では、これまでもトウ
モロコシやインゲン(長豆)、オクラなどの栽培を試みてきました。今回は
その野菜畑での、ある夜の出来事をご紹介します。
                 *
 これまでも「伝統の森」の野菜畑は、ほかから入ってくる水牛や牛に食べ
られたことがある。以前は、全体を囲う柵が不十分だったこともあり入られ
ていた。しかし、囲いも十分にしてもなおかつ、水牛は闇にまぎれて野菜畑
に。せっかく育ち始めていたトウモロコシの畑は全滅。隣の長豆の棚も少し
荒らされた。
 その被害に耐えかね、やってくる水牛を捕獲することにした。ロープを準
備、そして竹棒を手に、手に。夜の7時、野菜畑に集まった伝統の森の若い
衆、25人ほど。しばらくして、昨夜食べ残した長豆を狙い、水牛がふたた
びやってきた。「伝統の森」の畑はまだ1ヘクタール、残りの3ヘクタール
は森のような雑木林。そこに逃げ込む水牛たち。やっと、まだ生まれたばか
りの子どもの水牛を捕獲。それを林のそばに繋ぎ、また、待つこと30分、
お母さん水牛が子どもを捜してやってきた。
 これは大きい。若い衆それぞれが、水牛の逃げるほうに向かい、走る。逆
走、追い。その繰り返しの中で、最初のロープが足に。綱引き。5人ほどの
若者の力でも勝てない。林に逃げ込もうとする水牛。次のロープが首に。別
のグループは反対側に回り込み、水牛を森から畑のほうに。数十分のやり取
りの末に、角に最後のロープがかかり、押さえ込むことができた。その横に
子どもの水牛をつれてきてやると、お母さん水牛は突然、激しさをなくし、
子どもを見やる風に。そして、おとなしく工芸村地域に引かれていく親子の
水牛。
 翌日、村の駐在さんに、畑を荒らした水牛を捕獲したことを連絡。
 それから数日して、持ち主が姿を現した。彼いわく、水牛が逃げたので、
自分は知らないのだという。それはないよ。村の掟で、水牛の持ち主は畑の
損害分を支払わなければならないはず。
 しかし、彼は渋る。だが、わたしたちも譲るわけにはいかない。再発を防
ぐ意味もあるし、他の水牛の持ち主に対する警告の意味もある。
 村の駐在さんを挟んでしばらくのやり取りの末に持ち主は4万リエル(5
ドル)を、伝統の森の村長さんのトオルは20ドルを要求。しばらくのやり
取りの末、10ドルに話がつく。
 まだ、ほとんど野菜作りがされていない農村地帯で、野放し状態の水牛た
ち。とくに乾期には、えさを求めて他人の畑に平気で水牛を放す農民たち。
まだこれからも、この問題はつづく。
 幸い、水牛の捕獲の夜は十三夜。月夜の明かりがあり、捕獲もしやすかっ
た。伝統の森の夜中に、闇の中を走り、水牛と追いかけっこ。これも、森で
の一夜。


(1)カンボジア正月のお知らせ
 4月13日から16日の間は、カンボジアの正月休みにあたるため、ショ
ップのみの営業とさせていただきます。申し訳ございませんが、工房はお休
みです。


(2)「週刊朝日」3月28日増大号(18日発売)で紹介されました。
3月18日(火)発売の「週刊朝日」3月28日増大号の、ブックコーナー
(週刊図書館)の「ひと」欄で紹介されました。
▼「週刊朝日」3月28日増大号(の表紙と目次がご覧になれます)
http://opendoors.asahi.com/data/detail/9236.shtml


(3)3月4日の読売新聞朝刊「顔」欄で紹介されました
 3月4日の読売新聞(朝刊)の「顔」欄で紹介されました。「滅びかけた
クメールかすりを再生した西陣友禅職人」、もうひとつの見出しには「布が
私を呼んでいた」とあります。図書館等でご覧ください。


(4)『カンボジア絹絣の世界』発売中
 『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が、NHKブ
ックスから発売になりました。前著『メコンにまかせ』から10年、ようや
くかたちにすることができました。多くの方たちから、続編は出さないのか
とたずねられておりましたから、これでようやく肩の荷がひとつ下ろせたよ
うな気がしております。
 早いもので、IKTTを設立してから12年になります。この『カンボジ
ア絹絣の世界』には、これまでわたしたちが取り組んできたこと、現在のI
KTTの状況、そして「伝統の森」再生計画が目指していることなどについ
て、かなりくわしく書いたつもりです。染め織りに関する描写もできるだけ
書き込みました。巻末には「IKTTの絣布ができるまで」と題し、桑の苗
を育て、養蚕をし、生糸を引き、それを括り、染め、織り上げるまでの工程
を、写真とともに簡潔に説明したページもつきました。本文中には「伝統の
森」の位置をプロットした「シエムリアップ周辺図」と、現状でいちばん詳
細な「伝統の森」の見取図も掲載されています。
 前著『メコンにまかせ』は、わたしがタイを訪れ、黄金の生糸に出会い、
そして東北タイの村びとたちと試行錯誤しながら染め織りを手がけてきたこ
とと、カンボジアユネスコのコンサルタントとして「カンボジア絹織物の現
状調査」を担当したことで、カンボジアの伝統織物が置かれた現状を知り、
その結果としてタコー村で伝統的養蚕の復活プロジェクトに取り組み、そし
てIKTTを設立するに至るまでのことが記されています。いわば、IKT
T前史とでもいえる内容でした。
 今回の『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が出版
されたことで、IKTTは何をやっているところなのか、そして森本はこれ
から何をしようとしているのか、というみなさまの疑問に対する、ひとつの
回答とさせていただけるのではないかと思っております。
 お近くの書店でお求めになり、お読みいただければ、幸いです。
□ 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
□ 著 者:森本喜久男
□ 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
□ 価 格:970円(+税)
□ ISBN:978−4−14−091102−0 C1339


(5)『カンボジア絹絣の世界』をご紹介いただきました
 インターネット新聞JanJan2月4日付の編集便り(編集委員時評)
で、「カンボジアの手仕事の森をよみがえらせる」と題して『カンボジア絹
絣の世界』が紹介されています。編集委員の山本眞人さんには、以前にもイ
ンターネット新聞JanJanで「カンボジア染織の『復興支援』」と題す
る連載記事を掲載していただきました。山本さん、ありがとうございます。
▼インターネット新聞JanJan(2月4日付の編集便り)
http://www.news.janjan.jp/editor/0802/0802040157/1.php


(6)パリでのエキシビションのご案内
 フランスの旅行会社アジア・ボヤージが主催するギャラリー「エスパスア
ジア」で、エキシビジョンが行なわれています。会場は、ノートルダム寺院
のすぐそばで、会場からも寺院が望めます。会期は3月29日までの8週間
です。営業時間は、平日は9時から18時30分まで、土曜日は10時から
13時と、14時から17時までです。5月の後半からは、リヨンに会場を
移す予定です。ぜひ、皆様のお知り合いなどいらっしゃいましたら、ご案内
していただければ幸いです。
□ L'ESPACE ASIA / ASIA VOYAGES
□ address: 1, Rue Dante, 75005 Paris,
□ phone: 0033(0) 1 44 41 50 10
□ email: dante@asia.fr


(7)「IKTTカレンダー2008」ができました
 IKTT Japan制作の「カレンダー 2008」ができました。今回
は、写真家の大村次郷さんと石川武志さんのご協力も得て、蚕の繭が絣に織
り上げられるまでを紹介しています。価格1000円、A5判(上下に広げ
A4判サイズで使用)です。
▼IKTTカレンダー2008のご紹介、ならびに通販申込
http://www.iktt.org/calen08.html

東京都内では、神保町「アジア文庫」、高円寺「茶房・高円寺書林」、西荻
窪「信愛書店」でお取り扱いいただいています(数に限りがありますのでお
早めに)。新刊の『カンボジア絹絣の世界』とあわせてお求めいただければ
幸いです。
▼アジア文庫(千代田区神田神保町1−15内山ビル5階)
http://www.asiabunko.com/
▼茶房・高円寺書林(杉並区高円寺北3−34−2)
http://www.geocities.jp/fuzainoisu/shorin.top.html
▼信愛書店(杉並区西荻南2−24−15)
http://park12.wakwak.com/~tks/furhon.htm


(8)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー
番組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The
Silk Grandmothers 」というタイトルでまとめられています(英語版の番組
ですが、わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウ
ェブサイト上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧に
なれるはずです(再生にはQuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)
▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html


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★★ショップ&ギャラリーの営業時間のご案内★★
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から
夕方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝
9時から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)
の間にお越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

★★★シエムリアップ・IKTTまでの歩き方★★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテル
の玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に
沿って進みます。川岸には遊歩道が整備がされています。道なりに(つまり
川に沿って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」
と日本語と英語で書かれた看板が見えてきます。ここがIKTTです。(左
側にクロコダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。お戻
りください)

★★★★「伝統の森」への道のり★★★★
「伝統の森」は、シエムリアップの町から北へ約30キロ、車で約1時間の
ところにあります。アンコールワットを右に見て進み、アンコールトムの南
大門をくぐり四面仏の尊顔が微笑むバイヨン寺院を通り越し、さらに北へ。
プリアカン寺院の門前を過ぎて道路が大きく右にカーブした先に、左に折れ
る一本道が現われます。この道を約10キロ、途中何度か川を渡り、左手の
木立の間にお寺が見えたらすぐ先の道を右へ。曲がり角に設置してあるIK
TTとMORIMOTOの名前の入った緑色の看板を確認してください。こ
こから約4キロ、ふたたび川を渡り、しばらく行くと右手に「伝統の森」の
入口が現われます。シエムリアップの町から「伝統の森」まで、タクシーで
往復40〜50ドルが相場です(シエムリアップ基点で請求されるので片道
でも料金は同じです)。なお、『カンボジア絹絣の世界』p.116 にある「シ
エムリアップ周辺図」にも「伝統の森」の位置がプロットされております。
こちらも参考にしてください。

2008年3月25日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男


●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

※当メールに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
※このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
 を利用して発行されております。【 http://www.mag2.com/ 】
mag2 ID: 0000070073
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更新日時 : 2008年3月25日 10:58

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