IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.119

2008/07/16___________________________________________________Vol.119 IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES] ______________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本喜久男です。

◎お絵描組予備軍
 2002年5月にスタートした、シエムリアップのお絵描き組。早いもの
で、もう6年目にはいる。
 6年といえば、日本の美術大学なら学部から修士にあたる。カンボジアで
は学校での美術教育などまだないから、彼女たちはIKTTに来て初めて、
水彩絵の具や筆を手にした。しかし、いまでは、模写からそれぞれの個性が
出てくるところまで進んでいる。
 これまで、彼女たちの描いた絵はファイルにすべて保存してきた。それは
自分で足跡を確かめられるように。彼女たちの絵を見た方から、譲って欲し
いといわれることも。でも、それはお断りしてきた。
 初めのころは、絵の具などの画材もシェムリアップでは手に入らなかった
から、わたしが日本やタイに行ったときに買い込んで持ってきていた。最近
では、絵の具をお土産として届けていただく方もいる。うれしいのは、日本
の学校でいらなくなった使いさしの絵の具を届けていただく美術の先生も。
 筆も最初はわたしが使っていたものを渡した。手描き友禅時代からの、彩
色筆や面相筆も、そんないいものを使い慣れてしまった彼女たちは、時に、
わたしが日本に行くときに、これを買ってきて欲しいと、短くなった面相筆
を差し出す。弘法筆を選ばず、というものの、やはりいい道具はいい仕事を
してくれる。そんな、ことも理解し始めた。
 仕事として、朝8時から夕方5時まで絵を描き続けるためには、大変な集
中力を要求される。給料を貰いながら絵が描けるのだから幸せなようだが、
それはそれで大変なこと。
 目的は美意識を磨くこと。物を見る眼、表現する技術、それを模写を基本
にしながら培う。伝統を守るものとしてとらえるのではなく、あらたな伝統
を創造していくこととして、そのための優れた美意識を持った人材を育てて
いくことを目的にしてきた。そして、画材の紙も桑の木から手漉きで自作。
 そんなお絵描き組のリーダー格のマリーが、4月から伝統の森に住み始め
た。それをきっかけに、彼女を先生に、森に新しいお絵描き組ができた。と
いっても、そのほとんどは半日は学校に通っている10歳から14歳。半日
だけのお絵描き組。だから、それはお絵描き組予備軍。
 今年の初めから、好きなときに来て本を読んだり絵を描く、オープンのラ
イブラリーを森に開設した。そんな環境を、森の子どもたちに提供したいと
考えてのこと。
 そのなかから、絵を描くのが好きな子どもたち8人ほどが、お絵描き組予
備軍に昇格。でも、なかなか集中力を維持することは大変なこと。おしゃべ
りや、ふざけたくなったら外に、そして、絵を描きたくなったら戻ってきな
さいといわれる。
 シェムリアップのお絵描き組の中には、将来カンボジアを代表するような
女流画家になってもいいような人もいる。彼女たち、そして、新しい予備軍
になった子どもたち。人生のある時期に、そんな時間を持てたことが、いろ
んなかたちで生かされるようになると思う。それは、物を見る眼や集中力、
そして何よりもすばらしい美意識。
 そして、そのなかから本当に新しい伝統を生み出すことができるようにな
れば、素晴らしいこと。


(1)伝統の森「蚕まつり」ツアーのご案内
 これまでに多くのエコツアー・スタディツアーを企画されてきた日本エコ
プランニングサービスが、9月に行なわれるIKTTの「蚕まつり」にあわ
せたツアーを企画されました。ツアーの詳細については、以下のサイトをご
覧いただくか、日本エコプランニングサービス(tel:03-5807-1691)にお問
い合わせください。

▼カンボジア IKTT伝統の森「蚕まつり」ツアー
http://www.jeps.co.jp/cambodia/IKTT_08sep.html


(2)『カンボジア絹絣の世界』発売中
 『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が、NHKブ
ックスから発売になりました。前著『メコンにまかせ』から10年、ようや
くかたちにすることができました。多くの方たちから、続編は出さないのか
とたずねられておりましたから、これでようやく肩の荷がひとつ下ろせたよ
うな気がしております。
 早いもので、IKTTを設立してから12年になります。この『カンボジ
ア絹絣の世界』には、これまでわたしたちが取り組んできたこと、現在のI
KTTの状況、そして「伝統の森」再生計画が目指していることなどについ
て、かなりくわしく書いたつもりです。染め織りに関する描写もできるだけ
書き込みました。巻末には「IKTTの絣布ができるまで」と題し、桑の苗
を育て、養蚕をし、生糸を引き、それを括り、染め、織り上げるまでの工程
を、写真とともに簡潔に説明したページもつきました。本文中には「伝統の
森」の位置をプロットした「シエムリアップ周辺図」と、現状でいちばん詳
細な「伝統の森」の見取図も掲載されています。
 前著『メコンにまかせ』は、わたしがタイを訪れ、黄金の生糸に出会い、
そして東北タイの村びとたちと試行錯誤しながら染め織りを手がけてきたこ
とと、カンボジアユネスコのコンサルタントとして「カンボジア絹織物の現
状調査」を担当したことで、カンボジアの伝統織物が置かれた現状を知り、
その結果としてタコー村で伝統的養蚕の復活プロジェクトに取り組み、そし
てIKTTを設立するに至るまでのことが記されています。いわば、IKT
T前史とでもいえる内容でした。
 今回の『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が出版
されたことで、IKTTは何をやっているところなのか、そして森本はこれ
から何をしようとしているのか、というみなさまの疑問に対する、ひとつの
回答とさせていただけるのではないかと思っております。
 お近くの書店でお求めになり、お読みいただければ、幸いです。
□ 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
□ 著 者:森本喜久男
□ 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
□ 価 格:970円(+税)
□ ISBN:978−4−14−091102−0 C1339


(3)リヨンでのエキシビションが始まりました
 フランスの旅行会社アジア・ボヤージが主催するギャラリー「エスパスア
ジア」での、IKTTの絣布を中心としたエキシビジョンがリヨンで始まり
ました。会期は5月21日から7月15日までの8週間です。皆様のお知り
合いなどいらっしゃいましたら、ご案内していただければ幸いです。
□ L'ESPACE ASIA / ASIA VOYAGES
□ address: 46, rue du President Edouard Herriot, 69002 Lyon
□ phone: 0033(0) 4 78 38 30 40
□ email: lyon@asia.fr


(4)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー
番組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The
Silk Grandmothers 」というタイトルでまとめられています(英語版の番組
ですが、わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウ
ェブサイト上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧に
なれるはずです(再生にはQuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)
▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html


____________________ I N F O R M A T I O N _________________________

★ショップ&ギャラリーの営業時間のご案内★
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から
夕方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝
9時から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)
の間にお越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

★★シエムリアップ・IKTTまでの歩き方★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテル
の玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に
沿って進みます。川岸には遊歩道が整備がされています。道なりに(つまり
川に沿って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」
と日本語と英語で書かれた看板が見えてきます。ここがIKTTです。(左
側にクロコダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。お戻
りください)

★★★ピアックスナエン・「伝統の森」への道のり★★★
「伝統の森」は、シエムリアップの町から北へ約30キロ、車で約1時間の
ところにあります。アンコールワットを右に見て進み、アンコールトムの南
大門をくぐり四面仏の尊顔が微笑むバイヨン寺院を通り越し、さらに北へ。
プリアカン寺院の門前を過ぎて道路が大きく右にカーブした先に、左に折れ
る一本道が現われます。この道を約10キロ、途中何度か川を渡り、左手の
木立の間にお寺が見えたらすぐ先の道を右へ。曲がり角に設置してあるIK
TTとMORIMOTOの名前の入った緑色の看板を確認してください。こ
こから約4キロ、ふたたび川を渡り、しばらく行くと右手に「伝統の森」の
入口が現われます。シエムリアップの町から「伝統の森」まで、タクシーで
往復40〜50ドルが相場です(シエムリアップ基点で請求されるので片道
でも料金は同じです)。なお、『カンボジア絹絣の世界』p.116 にある「シ
エムリアップ周辺図」にも「伝統の森」の位置がプロットされております。
こちらも参考にしてください。

2008年7月16日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男

●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

※当メールに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
※このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
 を利用して発行されております。【 http://www.mag2.com/ 】
mag2 ID: 0000070073
Copyright (c) 2008 IKTT All rights reserved.

◎メコンにまかせ
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更新日時 : 2008年7月16日 00:26

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