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IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

太陽が二つ

伝統の森での早朝のこと。

朝7時からの作業開始時間が過ぎて間がない頃。工芸村エリアの一番大きな建物である、二階に新たにショップがオープンしたナランの家のあたりが騒がしい。

そこに働く、3-40人の織り手たちが東の空を見上げて、指を指したりしながら何かを盛んに、言っている。

わたしが住んでいる事務所のある家から真向かい、でも約40メートルほどは離れている。何事かと思いながら出て行くと、太陽が二つあるという。

確かに、東の空に昇りかけの朝日が輝いている。そして、そこには二つの太陽が見える。しばらく、目を疑いながら、皆と、その二つの太陽を見上げていた。

ちょうど、昨夜は雨で空気は澄んでいる。東の方向には沼があり、その向こうには、桑畑や綿畑がある、その向こうは森があり、森までの距離は約500メートル。空は、ほぼ快晴、しかし、青々とした空の一角、ちょうどその二つの太陽のあるあたりには、低く白い雲がかぶさっている。

見ていると、右側の太陽が気持ち小さく見えた。ちょうど、太陽に薄く雲のフィルターがかかっているような状態。

しばらくして、謎は解けた。左側の太陽は、本物。そして、気持ち小さく見えた左側はダミー。かかった雲の切れ目から、強い朝日の輝きがもれ、もうひとつの太陽があるように見えているのだった。

そして、しばらくすると左側にもうひとつ、三つ目の太陽が見えはじめた。ほんとうに、それは不思議な光景。やがて、太陽は雲の集団から抜け、いつもの一つの太陽に戻った。
それは、不思議な体験のように思えた。東の空に、二つの輝く朝日。何か、いい出来事の前触れのような気がした。

伝統の森での朝の出来事。

更新日時 : 2008年7月13日 10:05

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