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IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

誇りを取り戻すこと

誇りを取り戻すこと研修生を受け入れるとき、働くことへの強い意思のある、本当に仕事がお金が必要な人々に、働く場所を提供するようにしてきた。結果的には、貧しくて学校に行けずに読み書きができないでいた人。両親や父親のいない人、障害を持っている人などが中心となっている。子どもを抱えたお母さんたちにも、赤ん坊や子どもを抱えて仕事に来ることができる環境を提供してきた。

それは、貧しい人々に仕事を提供するということ。そのことでみんなが、その家族が食べていける。そして、それだけではなく、自らの文化と伝統の経験を学びながら、人としての誇りを取り戻すことでもある。

貧しさのなかでなお、お金のことをときに忘れて、自分の手で働き、生きていく。そんな人生を歩むために、数百年、数千年の人々の豊かな知恵をとりもどすことができればと思う。

染めや織り、そして織りの道具を作るにとどまらず、蚕を飼う養蚕、綿花の栽培や藍染。そして、家を建てる大工や左官、畑仕事に精を出す男たち。

彼らや彼女たちは、村の専門化された職能集団でもある。それらはすべて、伝統の知恵の中にあったもの。

ただ食うために技術を身につけるのではなく、さらに磨かれ高度化することで価値ある物を生み出していく。「伝統の森」の日々の生活のなかで生み出される布は、100年前のカンボジアの人たちの叡智の復元でもあり、その復権とも言える。ぜひ、その布を手にとり、まとってみてください。

ほんとうに心のこもった手の仕事がもたらす、確かなぬくもりが、そこには宿っている。

更新日時 : 2008年8月11日 21:22

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