IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.126

2008/09/20___________________________________________________Vol.126 IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES] ______________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本喜久男です。
 在カンボジアの日本人NGOワーカーズ・ネットワーク(JNNC)のメ
ンバーである「るしな・こみゅにけーしょん・やぽねしあ」の松本清嗣さん
が、JNNC会員向けのメールマガジンに「すばらしかったので、来年は絶
対、みなさんでいきましょう」とのコメントつきで、前夜祭の様子のルポを
掲載されました。松本さんの承諾を得て、ここに転載させていただきます。

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■伝統の森・蚕祭り前夜祭印象記■
       by 松本清嗣(るしな・こみゅにけーしょん・やぽねしあ)

 伝統の森へは午後3時過ぎに出発した。プノンペンからのJNNCメンバ
ー8名と大隅さんと僕。そして、ニームの会のクメール人スタッフ1名。以
前と比べると道は格段によくなり、約1時間で到着できる、と言う。カンボ
ジア人としてはめずらしく慎重な運転をするドライバーは、バンテアイ・ス
レイへのルートではなく、アンコールトム・バイヨンを抜けるルートをとっ
た。最近よく降る雨で道は傷んではいたが、以前と比べると格段によくなっ
ているのだろう。結局、1時間半で到着。
 伝統の森は広い(約24ha)。大きな木は切られてしまい、潅木しか生えて
いない土地に桑を植えた。道も自分たちで切り開いた。小さな集落(家が数
軒)が二つ、恐らく桑葉の収穫、桑の植樹等の作業者の集落なのだろう。ま
がった道を越えた奥が工房のエリア。いくつかの建物が立ち並んでいるが、
クメール農村でよく見られる高床型の木造家屋群であり、小洒落たペンショ
ンが立ち並ぶ、といったイメージとは違う。
 森本さんのお話を聞き、「宇宙船地球号」のヴィデオを見る。失われてか
けていた伝統的な蚕、そして、染色、織物技法を、それを伝えていたおばあ
ちゃんを見つけ出し、様々な技法を思い出してもらい、再興する。「森本さ
んがいい人だから手伝ってあげよう、と思った」とおばあちゃんは素朴に言
う。
 夕食を頂いている最中にかなり激しい雨が降り、雷が鳴る。夕食はテント
張りの丸テーブル。これは、近くの村から調達しているのか、それとも自前
で持っておられるのか? 他の集落からそこそこ離れているので、いちいち
物資調達のことが気になる。例えば、前夜祭のためのPAとか。
 前夜祭は、ステージの上でたくさんの子どもたちが団子状態になってのダ
ンスで始まる。ラップで子どもたちが思い思いに踊る。見事に、かわいい。
堂に入っている子もいれば、恥ずかしくて内側ばかり向いている子もいる。
ここが人里離れた農村であることを思うと、微笑ましい。子どもたち・若者
たちにとって、都市・農村の違いという地域性より、同時性が圧倒的に強い
ことを感じさせる。多少の余裕さえあれば、都会と同じ踊りを踊り、歌を歌
う。子どもたちのテンポの速い三曲。
 そして、スタッフ&ヴォランティアの人々の合奏。クメールの伝統的なマ
リンバ。フルート、キーボード、そして、缶やフライ用の中華なべなどで作
った手作りのパーカッションセット。譜面立ても段ポールで作り、椅子を逆
さにして、その足に差し込んで作られている。何でも買わないといけない、
という風潮とは距離を置く誇りをそこに感じる。
 演奏はパッフェルベルのカノンから。マイクで音を拾えなかったので、ト
タン屋根に当る激しい雨音にかなり打ち消される。集まったクメール人たち
も容赦なくおしゃべりをするので、演奏の効果はかなり消されてしまうが、
それでもよい演奏だった。途中、パーカッションは、レゲエのような、「お
っとっと」リズムで、脱構築する。ひょうきんで、でも、それは、紛いもな
く、パッフェルベルのカノン。クメール・マリンバの少々音程の外れたとこ
ろも、ピタッと音を決めてしまわないポスト・モダンか。ベリー・ナイスで
した。
 スタディツアー参加者(30名程度)のコーラス「旅立ちの日に」。これ
も、いい歌で、彼らにとってかけがえのないすばらしい思い出の一齣。青春
やってるな、という感じ。男女比率は圧倒的に女の子が多く、もちろんこれ
がシルクのプロジェクトであることも関係しているだろうが、昨今の日本の
状況を反映している。
 いよいよ、ファッション・ショーの始まり。まず、和服の二人。伝統の森
で織り上げた布を日本で仕立てたとのこと。渋く美しい色合い。そして、内
側にはクメールの伝統の色柄のアプサラが天上を遊泳する姿があしらってあ
る。すばらしい遊び心。
 織りの美しさ、しぶい光沢、精緻な文様の多様さ、クメール彫刻のすばら
しさとシンクロする色彩の文様。
 そして、誇りに輝く村の女性たち。自分たちで織った布をまとい、お化粧
をし、堂々と、時にはにかみ、ときに茶目っ気たっぷりにポーズを決める。
普段、慎ましい身なりをして、決して楽とは言えない作業に従事し、普通の
村の暮らしをしている女性たちのハレの場。女性たちは自らの内側から光を
放っているように感じた。そして、普段、織り機の置いてある広場に仕立て
られた極めてシンプルなT字型木製ステージと天井には複数の白い布をピン
と張った空間が、シルクとともに、全体が金色に輝くステージに思えてくる
黄金色の幻視。金色の繭と金色のアンコールワットのイメージが脳裏で重な
る。渋く、でも多彩な色彩と多様な文様、内側から輝く黄金色の誇り。涙が
こぼれそうになった。
 最後の曲は「We are the Champions」、ツボを心得た分かりやすい演出と
遊び心。すばらしいステージだった。
 世界で様々なファッションショーが開かれているが、これ以上のファッシ
ョンショーがありえるだろうか? 僕の価値観に過ぎないが、これは、世界
最高のファッションショーのように思える。(終)
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(1)法然院での展示・販売ならびに報告会の日程が決まりました
 秋の恒例となっております京都の法然院での展示会・報告会のスケジュー
ルが決まりました。今回は11月の21日(金)から23日(日)の3日間
です。わたしの現地報告会は23日の午後2時半からを予定しております。

□と き:11月21日(金)から23日(日)まで(展示と販売)
     10時〜16時(ただし、初日の21日は12時から)
     ★現地報告会は、23日(日)の午後2時半より。(先日の「蚕
     まつり」前夜祭として開催された、伝統の森でのファッションシ
     ョーの映像も上映する予定です)
□ところ:法然院
     京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町(TEL:075-771-2420)
     (京都駅から市バス5番、錦林車庫前下車徒歩10分)
     ▼法然院ホームページ
     http://www.honen-in.jp/


(2)「加古川平和のつどい」での講演会のお知らせ
 きたる10月13日(体育の日)に、兵庫県加古川市で講演をすることに
なりました。「加古川市世界連邦都市宣言50周年記念 加古川平和のつど
い」という行事において、記念講演を依頼されたのです。
 当日の式次第としては、14時に式典が始まり、何人かの挨拶・祝辞の後
わたしの講演になります。演題は「カンボジアの女性の自立を支援する」を
予定しています。その後、姜暁艶というかたの二胡の演奏もあります。会場
エントランスでは、IKTTで織り上げたシルクの展示も行ないます。関西
方面のみなさま、ぜひとも会場にお越しください。

□と き:2008年10月13日(祝)
□ところ:加古川市民会館 中ホール
     加古川市加古川町北在家2000(TEL:079-424-5381)
□行き方:JR山陽本線加古川駅よりバスで約5分
     (南側バス停3番のりばから「市役所前」下車)
     あるいはJR加古川駅より徒歩で約15分。
□問い合わせ先:世界連邦運動協会・加古川支部(TEL:079-424-3469)

▼加古川市民会館へのアクセス
http://www.city.kakogawa.hyogo.jp/index.cfm/11,4988,55,html


(3)フランス・ツールーズでの展示会が始まりました
 パリ、リヨンに続き、アジア・ボヤージ主催するギャラリー「エスパスア
ジア」での、ツールーズでの展覧会が始まりました。開催期間は9月12日
から2009年1月3日までです。ヨーロッパ在住の方、期間中に現地を訪
れる予定のある方、ぜひとも会場にお越しください。
 なお、9月30日にオープニング・パーティが予定されており、わたしも
とんぼ返りで現地に駆けつける予定です。

□ L'ESPACE ASIA / ASIA VOYAGES
□ address: 1, rue Croix Baragnon, 31000 Toulouse
□ phone: 0033 (0) 5 61 14 51 50
□ email: toulouse@asia.fr


(4)「伝統の森」にショップがオープンしました
 新たに、「伝統の森」に、ショップがオープンしました(シエムリアップ
のショップ&ギャラリーが移転したわけではないので「伝統の森」にまで足
をのばす時間のない方は、これまでどおりシェムリアップのショップへお越
しください)。
 森のショップの営業時間は朝7時から夕方4時までです。お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。
 なお、「伝統の森」では農作業が中心となるため、全体の作業開始が朝7
時、作業終了を4時としています(昼休みは11時から1時まで。日曜日は
森の仕事も工房もお休みです)。
 なお、現在のところ、「伝統の森」のショップではクレジットカードはご
利用になれませんので、あらかじめご了承ください(シエムリアップのショ
ップでは、クレジットカードもご利用いただけます)。


(5)『カンボジア絹絣の世界』発売中
 『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が、NHKブ
ックスから発売になりました。前著『メコンにまかせ』から10年、ようや
くかたちにすることができました。多くの方たちから、続編は出さないのか
とたずねられておりましたから、これでようやく肩の荷がひとつ下ろせたよ
うな気がしております。
 早いもので、IKTTを設立してから12年になります。この『カンボジ
ア絹絣の世界』には、これまでわたしたちが取り組んできたこと、現在のI
KTTの状況、そして「伝統の森」再生計画が目指していることなどについ
て、かなりくわしく書いたつもりです。染め織りに関する描写もできるだけ
書き込みました。巻末には「IKTTの絣布ができるまで」と題し、桑の苗
を育て、養蚕をし、生糸を引き、それを括り、染め、織り上げるまでの工程
を、写真とともに簡潔に説明したページもつきました。本文中には「伝統の
森」の位置をプロットした「シエムリアップ周辺図」と、現状でいちばん詳
細な「伝統の森」の見取図も掲載されています。
 前著『メコンにまかせ』は、わたしがタイを訪れ、黄金の生糸に出会い、
そして東北タイの村びとたちと試行錯誤しながら染め織りを手がけてきたこ
とと、カンボジアユネスコのコンサルタントとして「カンボジア絹織物の現
状調査」を担当したことで、カンボジアの伝統織物が置かれた現状を知り、
その結果としてタコー村で伝統的養蚕の復活プロジェクトに取り組み、そし
てIKTTを設立するに至るまでのことが記されています。いわば、IKT
T前史とでもいえる内容でした。
 今回の『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が出版
されたことで、IKTTは何をやっているところなのか、そして森本はこれ
から何をしようとしているのか、というみなさまの疑問に対する、ひとつの
回答とさせていただけるのではないかと思っております。
 お近くの書店でお求めになり、お読みいただければ、幸いです。
□ 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
□ 著 者:森本喜久男
□ 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
□ 価 格:970円(+税)
□ ISBN:978−4−14−091102−0 C1339


(6)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー
番組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The
Silk Grandmothers 」というタイトルでまとめられています(英語版の番組
ですが、わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウ
ェブサイト上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧に
なれるはずです(再生にはQuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)
▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html


____________________ I N F O R M A T I O N _________________________

★ショップ&ギャラリーの営業時間のご案内★
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から
夕方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝
9時から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)
の間にお越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

★★シエムリアップIKTTまでの歩き方★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテル
の玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に
沿って進みます。川岸には遊歩道が整備がされています。道なりに(つまり
川に沿って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」
と日本語と英語で書かれた看板が見えてきます。ここがIKTTです。(左
側にクロコダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。お戻
りください)

★★★「伝統の森」ショップの営業時間のご案内★★★
新たに、「伝統の森」に、ショップがオープンしました。森のショップの営
業時間は、朝7時から夕方4時までです。年中無休ですが、お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。(アクセス方法につい
ては、以下の「伝統の森」への道のりをご覧ください)
 なお、現在のところ、「伝統の森」のショップではクレジットカードはご
利用になれませんので、あらかじめご了承ください(シエムリアップのショ
ップでは、クレジットカードもご利用いただけます)。

★★★★ピアックスナエン・「伝統の森」への道のり★★★★
「伝統の森」は、シエムリアップの町から北へ約30キロ、車で約1時間の
ところにあります。アンコールワットを右に見て進み、アンコールトムの南
大門をくぐり四面仏の尊顔が微笑むバイヨン寺院を通り越し、さらに北へ。
プリアカン寺院の門前を過ぎて道路が大きく右にカーブした先に、左に折れ
る一本道が現われます。この道を約10キロ、途中何度か川を渡り、左手の
木立の間にお寺が見えたらすぐ先の道を右へ。曲がり角に設置してあるIK
TTとMORIMOTOの名前の入った緑色の看板を確認してください。こ
こから約4キロ、ふたたび川を渡り、しばらく行くと右手に「伝統の森」の
入口が現われます。
※2008年7月現在、シエムリアップの町から「伝統の森」までタクシー
で往復40〜50ドルが相場です(郊外に向かうタクシー料金は、シエムリ
アップ基点での往復運賃を請求されるので、片道でも料金は同じです)。な
お、シエムリアップからアンコール遺跡群へ向かう途中で立ち寄る通行証の
チェックゲートで「ピアックスナエンの養蚕の村へ行く」と説明すれば、通
行証を購入しなくてもゲートを通過できるはずです。
※『カンボジア絹絣の世界』p.116 の「シエムリアップ周辺図」にも、「伝
統の森」の位置がプロットされております。こちらも参考にしてください。

2008年9月20日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男

●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

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更新日時 : 2008年9月20日 01:10

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