IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.129

2008/10/20___________________________________________________Vol.129 IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES] ______________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本喜久男です。

◎自然との融合
 今年は、雨期明けが遅い。例年なら10月の半ばには雨も終わる。
 でも伝統の森で、農業に携わる身、やはり雨は天の恵み。そして、元気に
育つ森の木々。森の木々、最近改めてその成長の早さに驚かされることがあ
る。それも自然がもたらす、太陽や雨のおかげ。
 伝統の森で活動を始めた2003年ごろ、森の木々はまだ木といえるもの
ではなかった。それが、今では小さな林と呼べるところまで成長してきた。
そんな、育ち始めた森と沼のある環境で、エアコンや扇風機も必要としない
本当に自然のなかで、季節の風にあたりながら暮らしている。それは、とて
も贅沢なこと。自然は、そんな贅沢な気持ちを届けてくれる。
 もう種から植えて6年になるアーモンドの木。全部で十数本、その木の葉
からきれいな黒が染まる。いまでは、5メートルほどに育ち、伝統の森では
黒の染料は自給できるようになった。おなじ黒の染料で有名なマックルアー
の木。これは、柿の仲間。種を、トンレサップ湖に近い、遺跡のあるプノム
クラオムの山にある古木から採取、苗木を育てた。その木も、いまでは元気
に育ち、実もなり始めた。
 自然の恵みを生かして暮らす。桑の木があり、蚕を飼い、生糸を作る。そ
して、自然の植物で染めて織る。そんな昔ながらの暮らしが、伝統の森で蘇
り始めている。
 9月半ば、蚕祭りとその前夜祭を終え、9月末にはフランスのツールーズ
でのIKTTの布の展示会のオープニング・セレモニーに出かけてきた。ス
ペインに近いこの街は、これまでのパリやリヨンとは違う表情を持つ。この
街は、藍の交易でも栄えた街らしい。内陸部にありながら海上交易に深くか
かわっていた。ふと、シエムリアップのアンコールの時代のことを思ってい
た。やはり内陸にありながら海上交易の中心地として栄華を築いてきた街。
 ツールーズは、もうひとつ、レンガの街でも有名なところ。別名ピンクの
街というらしい。近くで取れる土を原料に焼かれたレンガ。そして、いまも
旧市街に残る、そんなレンガ造りの建物の色がこの由来。そのレンガも、カ
ンボジアでは、とても見慣れたレンガであり、アンコールの遺跡の中にも同
じようなレンガ造りの寺院が多く残されている。
 自然の恵みで作られる布。それは、その土地土地の風土の中で生み出され
てきた素材を生かすことでもある。ツールーズの街やアンコールの寺院もお
なじこと。
 IKTTの伝統の森では、そんな素材作りから取り組みはじめてきた。そ
れは、自然のなかで、植物や土を生かす先人の知恵を学ぶことでもある。
 今年は、例年より洪水ともよべる冠水の時期が長かった。長びく雨を見な
がら、これさえも自然の恵みとして、時に受け止めることが必要なのかもし
れないと、ふと思っていた。そして、それを生かす知恵がそのなかから生ま
れてくるもの。
 プレイベン州の僻地の村では、麻の栽培がいまも続けられている、そんな
村と村人に出会った。その村は、雨季の半年、畑は冠水している。そこに暮
らす人々の知恵、それがいまも続けられてきたゴザ作りであり、その素材と
しての茅や麻の栽培。ゴザ作りのための素材は、その厳しいとも言える自然
環境の中にあるもの。厳しい環境下におかれることで、ときに新しい発見や
知恵が生まれてくる。それは、自然との融合とでもいえる。混沌と融合。そ
れは、自然のなかで暮らす人々の知恵ともいえる。


(1)日本での11月の報告会・展示会のご案内
 最近の世界的な金融不安と、原油価格高騰による航空運賃(オイルサーチ
ャージ)の実質的な値上げによるものでしょうか、シエムリアップを訪れる
旅行者の数も思わしくない状態が続いています。観光客数の減少は、そのま
まIKTTを訪れるお客様の減少につながり、ショップでの売上げの伸び悩
み、そしてそれはIKTTで働くスタッフ全員の日々の生活に影響していき
ます。
 こうした状勢を踏まえ、11月に予定されている日本での報告会・展示会
の開催を、当初の20日(木)の福岡、21日(金)〜23日(日)の京都
法然院に加え、22日(土)には、東京で行なうことにいたします。
 なお、前回のメルマガで検討中としていた、松本での開催については、今
回は見送ることにします。万全を期したうえで、改めての開催をお願いする
所存です。突然のお願いに対しご尽力いただいた各方面の方々、ありがとう
ございました。


(2)11月の福岡での展示・販売ならびに報告会について
 福岡で活動しているNPO「明日のカンボジアを考える会」主催の報告会
の詳細が決まりました。「森本喜久男"森の恵み"を語る」と題して、すで
に4回目の開催となります。11月20日(木)の午後7時から、現地の方
々にはおなじみの、木香庵が会場となります。

□と き:11月20日(木)19時〜20時30分
□ところ:木香庵
    (福岡市中央区谷1-12-36、九州大学六本松キャンパス東隣り)
□参加費:一般500円、学生300円(事前申込み優先)
□申込み・問合せ先:Tel 090-4514-5079(西嶋)
          メール factjp2001@yahoo.co.jp
※詳細については、以下のURLをご覧ください。

▼明日のカンボジアを考える会
http://www.geocities.jp/factjp2001/info08_11_20.htm


(3)11月の東京での展示・販売ならびに報告会について
 東京での報告会の開催が決まりました。会場は、これまで何度もお世話
になっている青山の「環境パートナーシップオフィス」会議室です。

□と き:11月22日(土)/12時から16時まで(展示と販売)
□タイムテーブル:開場=12時
         VTR上映=13時から
         森本喜久男による現地報告=14時から
□ところ:青山「環境パートナーシップオフィス」
     渋谷区神宮前5-53-67コスモス青山B2(Tel:03-3406-5180)
     表参道駅B2出口より徒歩5分
□会場へのアクセス:青山学院大学の向かい、国連大学の裏手のビルに
          ある青山ブックセンターと同じフロアにあります。
 ※最寄駅:表参道駅からB2出口を出て、そのまま道沿いに直進し、
  約5分ほどで国連大学のビルが見えます。

▼会場(環境パートナーシップオフィス)へのアクセス
http://www.geic.or.jp/geic/intro/access.html


(4)法然院での展示・販売ならびに報告会のご案内
 秋の恒例となっております京都の法然院での展示会・報告会のスケジュー
ルが決まりました。今回は11月の21日(金)から23日(日)の3日間
です。わたしの現地報告会は23日の午後2時半からを予定しております。

□と き:11月21日(金)から23日(日)まで(展示と販売)
     10時〜16時(ただし、初日の21日は12時から)
     ★現地報告会は、23日(日)の午後2時半より。
    (先日の「蚕まつり」前夜祭として開催された、伝統の森でのファ
     ッションショーの映像も上映する予定です)
□ところ:法然院
     京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町(TEL:075-771-2420)
     (京都駅から市バス5番、錦林車庫前下車徒歩10分)
     ▼法然院ホームページ
     http://www.honen-in.jp/


(5)フランス・トゥールーズでの展示会が始まりました
 パリ、リヨンに続き、アジア・ボヤージ主催するギャラリー「エスパスア
ジア」でのトゥールーズでの展覧会が始まりました。開催期間は9月12日
から2009年1月3日までです。ヨーロッパ在住の方、期間中に現地を訪
れる予定のある方、ぜひとも会場にお越しください。

□ L'ESPACE ASIA / ASIA VOYAGES
□ address: 1, rue Croix Baragnon, 31000 Toulouse
□ phone: 0033 (0) 5 61 14 51 50
□ email: toulouse@asia.fr


(6)「伝統の森」にショップがオープンしました
 新たに、「伝統の森」に、ショップがオープンしました(シエムリアップ
のショップ&ギャラリーが移転したわけではないので「伝統の森」にまで足
をのばす時間のない方は、これまでどおりシェムリアップのショップへお越
しください)。
 森のショップの営業時間は朝7時から夕方4時までです。お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。
 なお、「伝統の森」では農作業が中心となるため、全体の作業開始が朝7
時、作業終了を4時としています(昼休みは11時から1時まで。日曜日は
森の仕事も工房もお休みです)。
 なお、現在のところ、「伝統の森」のショップではクレジットカードはご
利用になれませんので、あらかじめご了承ください(シエムリアップのショ
ップでは、クレジットカードもご利用いただけます)。


(7)『カンボジア絹絣の世界』発売中
 『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が、NHKブ
ックスから発売になりました。前著『メコンにまかせ』から10年、ようや
くかたちにすることができました。多くの方たちから、続編は出さないのか
とたずねられておりましたから、これでようやく肩の荷がひとつ下ろせたよ
うな気がしております。
 早いもので、IKTTを設立してから12年になります。この『カンボジ
ア絹絣の世界』には、これまでわたしたちが取り組んできたこと、現在のI
KTTの状況、そして「伝統の森」再生計画が目指していることなどについ
て、かなりくわしく書いたつもりです。染め織りに関する描写もできるだけ
書き込みました。巻末には「IKTTの絣布ができるまで」と題し、桑の苗
を育て、養蚕をし、生糸を引き、それを括り、染め、織り上げるまでの工程
を、写真とともに簡潔に説明したページもつきました。本文中には「伝統の
森」の位置をプロットした「シエムリアップ周辺図」と、現状でいちばん詳
細な「伝統の森」の見取図も掲載されています。
 前著『メコンにまかせ』は、わたしがタイを訪れ、黄金の生糸に出会い、
そして東北タイの村びとたちと試行錯誤しながら染め織りを手がけてきたこ
とと、カンボジアユネスコのコンサルタントとして「カンボジア絹織物の現
状調査」を担当したことで、カンボジアの伝統織物が置かれた現状を知り、
その結果としてタコー村で伝統的養蚕の復活プロジェクトに取り組み、そし
てIKTTを設立するに至るまでのことが記されています。いわば、IKT
T前史とでもいえる内容でした。
 今回の『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が出版
されたことで、IKTTは何をやっているところなのか、そして森本はこれ
から何をしようとしているのか、というみなさまの疑問に対する、ひとつの
回答とさせていただけるのではないかと思っております。
 お近くの書店でお求めになり、お読みいただければ、幸いです。
□ 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
□ 著 者:森本喜久男
□ 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
□ 価 格:970円(+税)
□ ISBN:978−4−14−091102−0 C1339


(8)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー
番組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The
Silk Grandmothers 」というタイトルでまとめられています(英語版の番組
ですが、わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウ
ェブサイト上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧に
なれるはずです(再生にはQuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)
▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html

____________________ I N F O R M A T I O N _________________________

★ショップ&ギャラリーの営業時間のご案内★
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から
夕方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝
9時から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)
の間にお越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

★★シエムリアップIKTTまでの歩き方★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテル
の玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に
沿って進みます。川岸には遊歩道が整備がされています。道なりに(つまり
川に沿って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」
と日本語と英語で書かれた看板が見えてきます。ここがIKTTです。(左
側にクロコダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。お戻
りください)

★★★「伝統の森」ショップの営業時間のご案内★★★
新たに、「伝統の森」に、ショップがオープンしました。森のショップの営
業時間は、朝7時から夕方4時までです。年中無休ですが、お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。(アクセス方法につい
ては、以下の「伝統の森」への道のりをご覧ください)
 なお、現在のところ、「伝統の森」のショップではクレジットカードはご
利用になれませんので、あらかじめご了承ください(シエムリアップのショ
ップでは、クレジットカードもご利用いただけます)。

★★★★ピアックスナエン・「伝統の森」への道のり★★★★
「伝統の森」は、シエムリアップの町から北へ約30キロ、車で約1時間の
ところにあります。アンコールワットを右に見て進み、アンコールトムの南
大門をくぐり四面仏の尊顔が微笑むバイヨン寺院を通り越し、さらに北へ。
プリアカン寺院の門前を過ぎて道路が大きく右にカーブした先に、左に折れ
る一本道が現われます。この道を約10キロ、途中何度か川を渡り、左手の
木立の間にお寺が見えたらすぐ先の道を右へ。曲がり角に設置してあるIK
TTとMORIMOTOの名前の入った緑色の看板を確認してください。こ
こから約4キロ、ふたたび川を渡り、しばらく行くと右手に「伝統の森」の
入口が現われます。
※2008年7月現在、シエムリアップの町から「伝統の森」までタクシー
で往復40〜50ドルが相場です(郊外に向かうタクシー料金は、シエムリ
アップ基点での往復運賃を請求されるので、片道でも料金は同じです)。な
お、シエムリアップからアンコール遺跡群へ向かう途中で立ち寄る通行証の
チェックゲートで「ピアックスナエンの養蚕の村へ行く」と説明すれば、通
行証を購入しなくてもゲートを通過できるはずです。
※『カンボジア絹絣の世界』p.116 の「シエムリアップ周辺図」にも、「伝
統の森」の位置がプロットされております。こちらも参考にしてください。

2008年10月20日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男

●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

※当メールに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
※このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
 を利用して発行されております。【 http://www.mag2.com/ 】
mag2 ID: 0000070073
Copyright (c) 2008 IKTT All rights reserved.

◎メコンにまかせ
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更新日時 : 2008年10月20日 14:20

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