IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.130

2008/10/23___________________________________________________Vol.130 IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES] ______________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本喜久男です。

◎自然のコンビニエンスストアー
 カンボジアの伝統織物の復元に取り組むわたしたちIKTTは、絣糸を染
めるために、さまざまな染め材を使っている。
 たとえば、黄色の染め材となるプローフーという木。この木の皮は「山の
幸」を扱っている仲買人のおばちゃんに頼んで届けてもらっているのだが、
もし、「山にはそんな木はもうないよ」と言われたときどうするのかと考え
たことがある。
 ずいぶん前のことになるが、実際にタイ・カンボジアの国境沿いの地雷原
の山のなか、プローフーの木が自生している現場を見に行ったことがある。
それは、考えてみればとてもクレイジーなことで、プローフーが自然に生え
ている姿を見てみたいという気持ちから、兵隊とともに地雷原となった山の
なかを歩いていった。
 でも、あの山の中にあった美しいプローフーの林を、皆が切りすぎてなく
なってしまったら、と考えてみる。ただ切るだけであれば、いつかその時は
やってくる。であれば、自分でプローフーの木を育てなくてはいけない。
 たまたま、村の養蚕復活プロジェクトを始めた、カンポット州のタコー村
に通う道すがら、道沿いの家にプローフーの木があるのを見つけた。そして
小さな柿のようなそのオレンジ色の実がなるころに訪ね、実をひとかかえも
らってきた。
 芽が出てくるまでに半年、30センチほどの苗木になり、直植えできるよ
うになるまでに2年。そして、半日陰を好むその木は「伝統の森」の林の中
に植えて5年目を迎えた。が、まだやっと1メートルほどの小さな木。でも
しっかりと枝をのばしている。しかし、染めに使えるようになるのには20
年ほどかかるのではないだろうか。
 沖縄の伝統的な紅型染めの布の代表的な色のひとつは、このプローフーの
黄色。沖縄では、福木と呼ばれている。地元の織り手の間では「若い木から
ではいい色が出ない、だから木が大きく成長してから染めに使うのだ」と言
い伝えられていると聞いた。それは、この木のゆるやかに育つ性質にもよる
が、自然の中で染め材となる恵みへの沖縄の人たちの配慮が感じられる。
 この木の実をもらったカンポットの村でも、伝統的に染め材として使われ
てきた。村でまわりを見渡すと、赤い色を染めるためのラックカイガラムシ
の巣、藍、黒染めに使うマックルアーの木など、染め料となる素材には事欠
かない。そんな自然環境が豊かな織物の伝統を形作ってきた。
 織り手にとって、森は織りに必要なものをそろえたコンビニエンスストア
ーのようなものかもしれない。
 でも、その自然へのお返しも忘れてはならない。


(1)ロレックス賞のWebサイトが更新されています。
 まもなくのことですが、2008年11月18日、第13回ロレックス賞
の発表がドバイで行なわれる予定です。わたしが、第11回ロレックス賞を
授賞したのは、2004年9月のこと。早くも、4年が経ちました。この受
賞をきっかけにさまざまな動きが生まれました。とくに、日本以外からの訪
問者が増えたことは、まさにロレックス賞受賞がきっかけとなっていること
なのだと思っています。
 そのロレックス賞の詳細を告知するサイトのなかに、受賞者の活動を紹介
するコーナーがあります。そのなかで、わたしに関する部分の更新がなされ
ていましたので、ご案内いたします。
 以下のURLからロレックス賞の受賞者紹介のサイトに入ると、世界地図
が表示されます。画面右上の[YEAR]と表示されているボックスから[2004]を
選びます。世界地図の上にいくつかの黄色いポインターが表示されますので
カンボジアのところにあるポイントをクリックしてください。わたしのプロ
ジェクトに関する記事が表示されます。そして左側の[LATEST UPDATE] を選
ぶと、Morimoto's vision continues to grow in Cambodia といういちばん
新しいものが表示されるはずです。英文ですが、ご興味のある方はご覧にな
ってください。
 この記事の執筆者は、ロレックス賞ジャーナル誌の編集長のエドモンド・
ドゥーグ氏です。内容は、アジア・ボヤージ主催のギャラリーのオープニン
グに合わせて、わたしがパリに出かけた際に受けたインタビューがベースと
なっています。

▼ロレックス賞受賞者の紹介
http://rolexawards.com/en/the-laureates/index.jsp


(2)法然院での展示・販売ならびに報告会のご案内
 秋の恒例となっております京都の法然院での展示会・報告会のスケジュー
ルが決まりました。今回は11月の21日(金)から23日(日)の3日間
です。わたしの現地報告会は23日の午後2時半からを予定しております。

□と き:11月21日(金)から23日(日)まで(展示と販売)
     10時〜16時(ただし、初日の21日は12時から)
     ★現地報告会は、23日(日)の午後2時半より。
    (先日の「蚕まつり」前夜祭として開催された、伝統の森でのファ
     ッションショーの映像も上映する予定です)
□ところ:法然院
     京都市左京区鹿ヶ谷御所ノ段町(TEL:075-771-2420)
     (京都駅から市バス5番 錦林車庫行 浄土寺下車徒歩10分)
     ▼法然院ホームページ
     http://www.honen-in.jp/
★お詫びと訂正:これまで法然院へのアクセスのご案内では、市バスの最寄
り駅を「錦林車庫徒歩10分」とご案内しておりましたが、正しくは「錦林
車庫行 浄土寺下車徒歩10分」でした。お詫びして訂正いたします。


(3)11月の福岡での展示・販売ならびに報告会について
 福岡で活動しているNPO「明日のカンボジアを考える会」主催の報告会
の詳細が決まりました。「森本喜久男"森の恵み"を語る」と題して、すで
に4回目の開催となります。11月20日(木)の午後7時から、現地の方
々にはおなじみの、木香庵が会場となります。

□と き:11月20日(木)19時〜20時30分
□ところ:木香庵
    (福岡市中央区谷1-12-36、九州大学六本松キャンパス東隣り)
□参加費:一般500円、学生300円(事前申込み優先)
□申込み・問合せ先:Tel 090-4514-5079(西嶋)
          メール factjp2001@yahoo.co.jp
※詳細については、以下のURLをご覧ください。

▼明日のカンボジアを考える会
http://www.geocities.jp/factjp2001/info08_11_20.htm


(4)11月の東京での展示・販売ならびに報告会について
 東京での報告会の開催が決まりました。会場は、これまで何度もお世話
になっている青山の「環境パートナーシップオフィス」会議室です。

□と き:11月22日(土)/12時から16時まで(展示と販売)
□タイムテーブル:開場=12時
         VTR上映=13時から
         森本喜久男による現地報告=14時から
□ところ:青山「環境パートナーシップオフィス」
     渋谷区神宮前5-53-67コスモス青山B2(Tel:03-3406-5180)
     表参道駅B2出口より徒歩5分
□会場へのアクセス:青山学院大学の向かい、国連大学の裏手のビルに
          ある青山ブックセンターと同じフロアにあります。
 ※最寄駅:表参道駅からB2出口を出て、そのまま道沿いに直進し、
  約5分ほどで国連大学のビルが見えます。

▼会場(環境パートナーシップオフィス)へのアクセス
http://www.geic.or.jp/geic/intro/access.html


(5)フランス・トゥールーズでの展示会が始まりました
 パリ、リヨンに続き、アジア・ボヤージ主催するギャラリー「エスパスア
ジア」でのトゥールーズでの展覧会が始まりました。開催期間は9月12日
から2009年1月3日までです。ヨーロッパ在住の方、期間中に現地を訪
れる予定のある方、ぜひとも会場にお越しください。

□ L'ESPACE ASIA / ASIA VOYAGES
□ address: 1, rue Croix Baragnon, 31000 Toulouse
□ phone: 0033 (0) 5 61 14 51 50
□ email: toulouse@asia.fr


(6)「伝統の森」にショップがオープンしました
 新たに、「伝統の森」に、ショップがオープンしました(シエムリアップ
のショップ&ギャラリーが移転したわけではないので「伝統の森」にまで足
をのばす時間のない方は、これまでどおりシェムリアップのショップへお越
しください)。
 森のショップの営業時間は朝7時から夕方4時までです。お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。
 なお、「伝統の森」では農作業が中心となるため、全体の作業開始が朝7
時、作業終了を4時としています(昼休みは11時から1時まで。日曜日は
森の仕事も工房もお休みです)。
 なお、現在のところ、「伝統の森」のショップではクレジットカードはご
利用になれませんので、あらかじめご了承ください(シエムリアップのショ
ップでは、クレジットカードもご利用いただけます)。


(7)『カンボジア絹絣の世界』発売中
 『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が、NHKブ
ックスから発売になりました。前著『メコンにまかせ』から10年、ようや
くかたちにすることができました。多くの方たちから、続編は出さないのか
とたずねられておりましたから、これでようやく肩の荷がひとつ下ろせたよ
うな気がしております。
 早いもので、IKTTを設立してから12年になります。この『カンボジ
ア絹絣の世界』には、これまでわたしたちが取り組んできたこと、現在のI
KTTの状況、そして「伝統の森」再生計画が目指していることなどについ
て、かなりくわしく書いたつもりです。染め織りに関する描写もできるだけ
書き込みました。巻末には「IKTTの絣布ができるまで」と題し、桑の苗
を育て、養蚕をし、生糸を引き、それを括り、染め、織り上げるまでの工程
を、写真とともに簡潔に説明したページもつきました。本文中には「伝統の
森」の位置をプロットした「シエムリアップ周辺図」と、現状でいちばん詳
細な「伝統の森」の見取図も掲載されています。
 前著『メコンにまかせ』は、わたしがタイを訪れ、黄金の生糸に出会い、
そして東北タイの村びとたちと試行錯誤しながら染め織りを手がけてきたこ
とと、カンボジアユネスコのコンサルタントとして「カンボジア絹織物の現
状調査」を担当したことで、カンボジアの伝統織物が置かれた現状を知り、
その結果としてタコー村で伝統的養蚕の復活プロジェクトに取り組み、そし
てIKTTを設立するに至るまでのことが記されています。いわば、IKT
T前史とでもいえる内容でした。
 今回の『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が出版
されたことで、IKTTは何をやっているところなのか、そして森本はこれ
から何をしようとしているのか、というみなさまの疑問に対する、ひとつの
回答とさせていただけるのではないかと思っております。
 お近くの書店でお求めになり、お読みいただければ、幸いです。
□ 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
□ 著 者:森本喜久男
□ 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
□ 価 格:970円(+税)
□ ISBN:978−4−14−091102−0 C1339


(8)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー
番組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The
Silk Grandmothers 」というタイトルでまとめられています(英語版の番組
ですが、わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウ
ェブサイト上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧に
なれるはずです(再生にはQuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)
▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html

____________________ I N F O R M A T I O N _________________________

★ショップ&ギャラリーの営業時間のご案内★
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から
夕方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝
9時から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)
の間にお越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

★★シエムリアップIKTTまでの歩き方★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテル
の玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に
沿って進みます。川岸には遊歩道が整備がされています。道なりに(つまり
川に沿って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」
と日本語と英語で書かれた看板が見えてきます。ここがIKTTです。(左
側にクロコダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。お戻
りください)

★★★「伝統の森」ショップの営業時間のご案内★★★
新たに、「伝統の森」に、ショップがオープンしました。森のショップの営
業時間は、朝7時から夕方4時までです。年中無休ですが、お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。(アクセス方法につい
ては、以下の「伝統の森」への道のりをご覧ください)
 なお、現在のところ、「伝統の森」のショップではクレジットカードはご
利用になれませんので、あらかじめご了承ください(シエムリアップのショ
ップでは、クレジットカードもご利用いただけます)。

★★★★ピアックスナエン・「伝統の森」への道のり★★★★
「伝統の森」は、シエムリアップの町から北へ約30キロ、車で約1時間の
ところにあります。アンコールワットを右に見て進み、アンコールトムの南
大門をくぐり四面仏の尊顔が微笑むバイヨン寺院を通り越し、さらに北へ。
プリアカン寺院の門前を過ぎて道路が大きく右にカーブした先に、左に折れ
る一本道が現われます。この道を約10キロ、途中何度か川を渡り、左手の
木立の間にお寺が見えたらすぐ先の道を右へ。曲がり角に設置してあるIK
TTとMORIMOTOの名前の入った緑色の看板を確認してください。こ
こから約4キロ、ふたたび川を渡り、しばらく行くと右手に「伝統の森」の
入口が現われます。
※2008年7月現在、シエムリアップの町から「伝統の森」までタクシー
で往復40〜50ドルが相場です(郊外に向かうタクシー料金は、シエムリ
アップ基点での往復運賃を請求されるので、片道でも料金は同じです)。な
お、シエムリアップからアンコール遺跡群へ向かう途中で立ち寄る通行証の
チェックゲートで「ピアックスナエンの養蚕の村へ行く」と説明すれば、通
行証を購入しなくてもゲートを通過できるはずです。
※『カンボジア絹絣の世界』p.116 の「シエムリアップ周辺図」にも、「伝
統の森」の位置がプロットされております。こちらも参考にしてください。

2008年10月23日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男

●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

※当メールに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
※このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
 を利用して発行されております。【 http://www.mag2.com/ 】
mag2 ID: 0000070073
Copyright (c) 2008 IKTT All rights reserved.

◎メコンにまかせ
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⇒ http://archive.mag2.com/0000070073/index.html
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更新日時 : 2008年10月23日 22:11

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