IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

あたらしい課題に向けて

「伝統の森」で、あたらしい子牛が生まれた。

最初の6頭から4年。今では総数14頭になった。この生まれたばかりの子牛、少し小さくかわいい。元気にお母さん牛のまわりを飛び跳ねている。

肉牛だけれども、もとは牛の糞を堆肥に活用するために飼いはじめた。そして、その牛糞をバイオガスに、と考えている。もう12月、これは来年の仕事になるが、バイオガスのプラントを完成させたい。これも来年の新しい事業となる。

3年目になる堆肥による野菜作りも、何とか畑らしくなり始めてきた。川の中州のような砂地での野菜づくりは、決して恵まれた条件にあるとはいえない。唯一、沼のそばにあるおかげで潅水には恵まれている。しかしこれも今は動力ポンプに頼っている、それを来年には、小型のソーラーパネルと小型の12ボルト揚水ポンプでまかなえるようにしたいと思っている。そのための、テストはすでに始まった。

自然の素材と人の手で伝統の織物を作り出しながら、それを生み出す自然環境とともに、そこに暮らす人々の生活環境も自然と調和したものにすることができればと思う。が、それはなかなか簡単にはいかないことばかり。でも、それを少しづつ実現できるようになればそれに越したことはない。

最近気付いたことだが、「伝統の森」に訪ねてこられた方々が、工芸村エリアに建つ家々や森の木々を見て、ここは昔からあった村だと思われていることがある。でも本当は、わずか6年ほどの日々のなかで、何もなかった荒地を開墾しながら作りあげてきたのだと説明すると、驚かれる。当初、20数人の開墾組から始まったそれが、いまでは200人ほどの人々や子どもたちが暮らす村に成長した。

「伝統の森」の村に来られた方で、そのまま滞在を希望される方も出てきた。最近も、カナダ人の女性がふたり。小さな林にかけたハンモックに揺られながら、周りで遊ぶ子供たちといっしょに一週間ほど滞在された。織物を勉強したいというフランス人の女性、「伝統の森」のゲストハウスは有料なので、できればフランス人のお客さんが来られたら自分は案内役をするから宿泊費を安くしてほしいと、そんな相談を持ちかけられたりもしている。

そんな風景を見ながら、IKTTの活動と「伝統の森」の事業は、大きなサイクルでいえば、いろんな困難も抱えながらも、その一山を超えることができたのかもしれないと思う。それはちょうど基礎段階としての第一段階を終えたように思える。

そういう意味では、これから、その熟成期に入っていく。ちょうど今、その入り口にたどり着いたのかもしれない。

そのために今、より困難な課題をその布作りに課していきたいと思っている。百年前、カンボジアの織り手たちが生み出していた、すばらしい布の世界に一歩でも近づけるようになるために。

そして、来年こそは、「伝統の森」事業の象徴でもあるラックカイガラムシの生育を実現したい。そのことにより、いまよりももっと美しい赤い色を染められればと思う。

更新日時 : 2008年12月 9日 00:07

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