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IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

「森」での流行

ここしばらく、森に来られる方が増えてきている。以前は、こんな辺ぴなところに来てもらえるか、という心配をしていただくことが多かった。

道も悪い、大型トラックが走り道路はでこぼこになる。雨季には、あちらこちらに水溜りができ、時にはドライバー泣かせのダンシングロードに。でも、それにもめげずにたずねて来ていただくようになった。シエムリアップからの30キロ、悪路にもめげず、自転車でこられたドイツ人のご夫婦もいる。感謝。うれしいこと、ほんとうにありがとうございます。

個人でこられる方が多いなか、グループでの訪問者も増えてきている。日本の大学生協を通じての、森でシルクのハンカチの絞り染色体験も人気がある。そして実際に染めや織り、畑仕事や蚕の世話など、いろんな仕事が待っている。なかには、男連中にまじり、セメンをこねたりする作業に汗を流す人や、炎天下で汗を拭き拭き、野菜畑で作業をされる方も。

日本からだけではなく、最近もアメリカのジョージア州アトランタの芸術大学の学生さんたちが。森で一日を過ごしながら、エクセレントやアメージングの言葉が飛び交っている。こんなカンボジアの片田舎で、世界に誇れる布が、人の手で自然の素材だけで作られていることに、そしてそこに暮らす人々を見ながら、つい出てくる言葉。お絵かき組の女性をアトランタに研修生として呼びたいという話まで出てきた。誰かな、最初に絵筆を持ってアメリカに渡るのは。

そして、森で過ごすいちばんの人気は、森に暮らす、そしてお母さんと一緒に来ている子どもたちと遊ぶこと。森の子どもたちは元気、一緒に自然の中を走り回るひととき。

でも最近の、もうひとつの流行は、何もしない時間をすごすことかもしれない。走り回る子どもたちを横目で見ながら、ハンモックに揺られながらすごす。森や沼を抜けてくる風が気持ちいい。

そして、伝統の森の沼に浮かぶ、トンレサップ湖の陸に揚がった漁師から譲ってもらった小船でぷかぷか。わたしのお気に入りはこれ。

荒地の中から育ったさまざまな種類の自然の木々。桑の木だけではなく、アーモンドやマックルアーの染めに使う木も、今では大きく育っている。マンゴーやジャックフルーツの木もたくさんの実をつけ始めている。ちょうどこの時期、マンゴーの花が咲くころ、たわわな花を咲かせている木もある。

その下で、子どもたちは実がなるときを思いながら、うれしそうな顔でその小さな花を見上げている。

アヒルやニワトリの数も、確実に増えている。最近、森の住人たちは自分の家の横でまめに家庭菜園に精をだし、猫や犬などの小さな動物も飼うようになった。これが、最近の森での流行。赤ん坊もたくさん、本当にたくさん生まれ、家族も増えながら、にぎやかな森での毎日がすぎていく。

更新日時 : 2008年12月16日 14:40

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