IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.138

2009/1/04____________________________________________________Vol.138 IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES] ______________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、あけましておめでとうございます。
IKTT(クメール伝統織物研究所)の森本喜久男です。

 2009年、新しい年があけました。本年も旧年に変わらず、いやそれ以
上にどうかよろしくお願いいたします。そして、あたたかく見守っていただ
けますようお願いいたします。
 1995年に活動を始めてから、早いものでもう15年がたちます。最近
の「伝統の森」での日々を見ていて、その成果が確実に形になり始めている
ことを感じます。しかし、これも皆様の暖かい支援のおかげだと思います。
あらためて深謝、ありがとうございます。
 「伝統の森」プロジェクトを始めたころ、わたしが「村を作る」「森を再
生する」と話しても、誰にも信じてもらえなかったのではと。しかし、いま
は村ができ、森がその姿を見せはじめて、誰もが納得してもらえる状況が出
現し始めている。
 最近では、「伝統の森」に訪ねてこられた方から、IKTTは、もともと
そこにあった村(?)にやってきてプロジェクトを始めたのだと思われるこ
とがあるほどに、村に生活感があり、家も少し古びて景色になじんできた。
その結果かもしれない。そんな方がたに、わたしが4年、5年前に建てた家
ですよ、その前はここはすべて荒地だったのですよと説明すると、みな驚か
れる。
 そして、本当に日々進化しながらこの村で、わたし自身がときに驚くほど
すばらしい布が、村のおばあや住人たちの手で生み出されている。布は自然
の恵み、生モノである。そのときそのときの作り手たちの気持ち、心がそこ
に表現される。わたしは、わたし自身がそんなすばらしいカンボジアの人び
とと時を共有できる幸せに深く感謝の気持ちを抱いていることも、あわせて
理解していただけると思います。
 しかし、そのうえでわたしの夢(欲?)は、もっとすばらしい布を生み出
したいと思っている。糸、そして色や柄、まだまだ課題はたくさんある。そ
れがこれからの、IKTTのテーマでもある。IKTTの布を見た方が、手
にしたくなる、そして買いたくなる、そんな布を作りきりたい。
 もうひとつの今年の、というかこれからの課題は、村での自給率を上げて
いくこと。もちろん、それは養蚕による生糸もそうだし、染色の素材となる
植物を増やしていくこともだけれども、村の住人たちの生活のための自給率
をもう少し上げていければと思っている。
 稲作で米をというほどには土地がないので、米は外から買うにしても、野
菜作りや養殖による魚。それは、みんなの食生活を豊かにしていくことにも
つながるし、健康にもいい。そうすれば、みんなの給料は上げなくてもいい
かもしれないと、思ったりする。でも、生活は豊かになる。エネルギーもし
かり。自家発電をソーラーや水力発電にできれば。牛もいるから、もう少し
増えればバイオガスもと、夢は広がる。
 そんなあらたな目標をえがきながら新しい年を迎えた。世界が激しく揺れ
る中でもっと、自然とともに人がゆっくりと暮らしていく、そんなあたらし
い生活のかたちに、一歩づつ近づきはじめていくきっかけが生まれてきてい
るように思える。
 自然は宝庫、そんな豊かな自然の存在を、そして価値を、見直す時期に来
ているように思う。


(1)「桑の木基金」が10周年を迎えました
 多くのみなさまにご支援をいただいております「桑の木基金」も、10周
年を迎えることができました。当初は、その名のとおり、伝統的な絹織物の
復活のための、養蚕再開プロジェクトへの支援・協力の一助として、そして
「伝統の森」再生プロジェクトが始動してからは、伝統織物の制作に必要な
染め織りに必要なさまざまな植物(桑、綿花、藍、プロフー、ライチ、バナ
ナ、ベニノキ、ラックカイガラムシの寄生するグアバの木など)の栽培を主
体とした活動への支援・協力の一助として、一口3000円のご協力をいた
だいてまいりました。
 しかし、この「桑の木基金」の入金先とさせていただいている郵便貯金口
座の通帳記入は、年に何度かの一時帰国の際に限られることもあり、ご入金
していただいたかたがたにお礼を申し上げるタイミングをいつも逃している
ことを、心苦しく思っておりました。そこで、この場を借りて、改めてお礼
申し上げたいと思います。
 ご協力いただいたみなさま、本当にありがとうございます。
 シエムリアップに研究所を移転したときに階段脇に植えた桑の木は、日々
の水遣りの成果もあって樹高3メートルを超えるまでに育っております。そ
して、「伝統の森」に植えた桑の苗は、すでに数知れず。黄色い繭を作る蚕
たちの餌となっています。バナナはいうに及ばず、綿花や藍も順調に育ち、
ベニノキもたくさんの実をつけるようになりました。グアバへのラックカイ
ガラムシの寄生も、当初の予定よりは時間がかかってしまいましたが、今年
の冬には実現したいと思っています。
 これからも、みなさまの温かいご支援を桑の木基金にいただけることを、
ここにお礼とともにお願い申し上げます。

▼「桑の木基金」についてのご案内
http://iktt.esprit-libre.org/2004/01/post-90.html


(2)大阪「ギャラリーゆう」での展示・販売のご案内
 大阪のドーンセンター1階の「ギャラリーゆう」において、IKTTの布
の展示と販売が行なわれることになりました。期間は1月14日(水)から
2月8日(日)までです(月曜日は休館)。1月31日(土)には、IKT
Tジャパンのメンバーによるギャラリートークも予定されています。
 このギャラリートークに併せ、会場では9月に「伝統の森」で行なわれた
ファッションショーのDVD(完成版)のお披露目上映も行なう予定です。

【展示と販売】
□と き:1月14日(水)〜2月8日(日)[月曜美は休館]
【ギャラリートーク】
□と き:1月31日(日)15時から(14時からビデオ上映を予定)
□ところ:ドーンセンター(大阪府立女性総合センター)
     大阪市中央区大手前1−3−49
□会場へのアクセス:
天満橋駅(京阪/地下鉄谷町線)1番出口より東へ約350m、または大阪
城北詰駅(JR東西線)2番出口より、土佐堀通り沿いに西へ約550m。

▼会場(ドーンセンター)へのアクセス
http://www.dawncenter.or.jp/shisetsu/map.html


(3)ララチッタ『アンコールワット・ホーチミン』で紹介されています
 ご紹介が遅くなってしまいましたが、JTBパブリッシング発行の旅行ガ
イド、『ララチッタ(アジア9) アンコールワット・ホーチミン』で「ク
メールシルクの魅力」と題して紹介されています。これからカンボジアにお
越しになる際には、ご参考にいかがでしょうか?


(4)「IKTTカレンダー2009」できました
 今年もIKTTジャパンのみなさんの協力で、IKTTの2009年のカ
レンダーができ上がりました。染師としてのわたしの本来の仕事でもある、
ローケツ染めの布の写真も入れていただきました。IKTTの活動を紹介す
るカレンダー、ぜひ皆様のそばにおいていただければ幸いです。
 価格は1000円、A5判(上下に広げ、A4判サイズで使用)という仕
様はこれまでと変わりません。
 なお、昨年と同様、東京都内では神保町「アジア文庫」、高円寺「茶房・
高円寺書林」そして西荻窪「信愛書店」でも取り扱っていただいています。

▼アジア文庫(千代田区神田神保町1−15内山ビル5階)
http://www.asiabunko.com/
▼茶房・高円寺書林(杉並区高円寺北3−34−2)
http://www.geocities.jp/fuzainoisu/shorin.top.html
▼信愛書店(杉並区西荻南2−24−15)
http://park12.wakwak.com/~tks/furhon.htm


(5)「伝統の森」の現在(いま)を伝えるDVD制作中
 2008年の9月14日と15日の2日間にわたって「伝統の森」で開催
した、蚕まつりとその前夜祭のファッションショーなどの映像を含む、「伝
統の森」の現在(いま)を紹介するDVDを制作中です。
 DVDには、「伝統の森」での日々の暮らしの様子に加え、IKTTのス
タッフたちがIKTTのシルクを身にまとって舞台に上がったファッション
ショーのステージ、僧侶を招いての蚕供養の儀式などの映像が収録されてい
ます。みなさま、ご期待ください。


(6)「伝統の森」にショップがオープンしました
 「伝統の森」に、ショップがオープンしました(シエムリアップのショッ
プ&ギャラリーが移転したわけではないので「伝統の森」にまで足をのばす
時間のない方は、これまでどおりシエムリアップのショップへお越しくださ
い)。
 森のショップの営業時間は朝7時から夕方4時までです。お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。
 なお、「伝統の森」では農作業が中心となるため、全体の作業開始が朝7
時、作業終了を4時としています(昼休みは11時から1時まで。日曜日は
森の仕事も工房もお休みです)。


(7)『カンボジア絹絣の世界』発売中
 『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が、NHKブ
ックスから発売中です。
 前著『メコンにまかせ』から10年、ようやくかたちにすることができま
した。多くの方たちから、続編は出さないのかとたずねられておりましたか
ら、これでようやく肩の荷がひとつ下ろせたような気がしております。
 この『カンボジア絹絣の世界』には、これまでわたしたちが取り組んでき
たこと、現在のIKTTの状況、そして「伝統の森」再生計画が目指してい
ることなどについて、かなりていねいに書いたつもりです。染め織りに関す
る描写もできるだけ書き込みました。巻末には「IKTTの絣布ができるま
で」と題し、桑の苗を育て、養蚕をし、生糸を引き、それを括り、染め、織
り上げるまでの工程を、写真とともに簡潔に説明したページもつきました。
本文中には「伝統の森」の位置をプロットした「シエムリアップ周辺図」と
現状でいちばん詳細な「伝統の森」の見取図も掲載されています。
 前著『メコンにまかせ』は、わたしがタイを訪れ、黄金の生糸に出会い、
そして東北タイの村びとたちと試行錯誤しながら染め織りを手がけてきたこ
とと、カンボジアユネスコのコンサルタントとして「カンボジア絹織物の現
状調査」を担当したことで、カンボジアの伝統織物が置かれた現状を知り、
その結果としてタコー村で伝統的養蚕の復活プロジェクトに取り組み、そし
てIKTTを設立するに至るまでのことが記されています。いわば、IKT
T前史とでもいえる内容でした。
 今回の『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が出版
されたことで、IKTTは何をやっているところなのか、そして森本はこれ
から何をしようとしているのか、というみなさまの疑問に対する、ひとつの
回答とさせていただけるのではないかと思っております。
 お近くの書店でお求めになり、お読みいただければ、幸いです。
□ 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
□ 著 者:森本喜久男
□ 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
□ 価 格:970円(+税)
□ ISBN:978−4−14−091102−0 C1339


(8)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー
番組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The
Silk Grandmothers 」というタイトルでまとめられています(英語版の番組
ですが、わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウ
ェブサイト上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧に
なれるはずです(再生にはQuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)
▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html

____________________ I N F O R M A T I O N _________________________

★ショップ&ギャラリーの営業時間のご案内★
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から
夕方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝
9時から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)
の間にお越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

★★シエムリアップIKTTまでの歩き方★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテル
の玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に
沿って進みます。川岸には遊歩道が整備されています。道なりに(つまり川
に沿って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」と
日本語と英語で書かれた緑色の看板が見えてきます。ここがIKTTです。
(左側にクロコダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。
お戻りください)

★★★「伝統の森」ショップの営業時間のご案内★★★
新たに、「伝統の森」に、ショップがオープンしました。森のショップの営
業時間は、朝7時から夕方4時までです。年中無休ですが、お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。(アクセス方法につい
ては、以下のピアックスナエン・「伝統の森」への道のりをご覧ください)

★★★★ピアックスナエン・「伝統の森」への道のり★★★★
「伝統の森」は、シエムリアップの町から北へ約30キロ、車で約1時間の
ところにあります。アンコールワットを右に見て進み、アンコールトムの南
大門をくぐり四面仏の尊顔が微笑むバイヨン寺院を通り越し、さらに北へ。
プリアカン寺院の門前を過ぎて道路が大きく右にカーブした先に、左に折れ
る一本道が現われます。この道を約10キロ、途中何度か川を渡り、左手の
木立の間にお寺が見えたらすぐ先の道を右へ。曲がり角に設置してあるIK
TTとMORIMOTOの名前の入った緑色の看板を確認してください。こ
こから約4キロ、ふたたび川を渡り、しばらく行くと右手に「伝統の森」の
入口が現われます。
※2009年1月現在、シエムリアップの町から「伝統の森」までタクシー
で往復40〜50ドルが相場です(郊外に向かうタクシー料金は、シエムリ
アップ基点での往復運賃を請求されるので、片道でも料金は同じです)。な
お、シエムリアップからアンコール遺跡群へ向かう途中で立ち寄る通行証の
チェックゲートで「ピアックスナエンの養蚕の村へ行く」と説明すれば、通
行証を購入しなくてもゲートを通過できるはずです。
※『カンボジア絹絣の世界』p.116 の「シエムリアップ周辺図」にも、「伝
統の森」の位置がプロットされております。こちらも参考にしてください。

2009年1月4日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男

●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

※当メールに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
※このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
 を利用して発行されております。【 http://www.mag2.com/ 】
mag2 ID: 0000070073
Copyright (c) 2009 IKTT All rights reserved.
◎メコンにまかせ
のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000070073/index.html
このメールに返信すれば、発行者さんへ感想を送れます

更新日時 : 2009年1月 4日 12:10

前後の記事:<< 【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.137 | 【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.139 >>
関連記事
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.141(2009年3月11日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.140(2009年2月 6日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.139(2009年1月25日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.137(2008年12月21日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.136(2008年12月15日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.135(2008年12月 9日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.134(2008年11月30日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.133(2008年11月22日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.132(2008年11月13日)
【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.131(2008年10月27日)