IKTT
IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

【メコンにまかせ】IKTT [クメール伝統織物研究所]Vol.141

2009/3/11____________________________________________________Vol.141 IKTT [INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES] ______________________________________ http://iktt.esprit-libre.org/

みなさま、ごぶさたしております。IKTT(クメール伝統織物研究所)の
森本喜久男です。

●夜に咲く花
 今年はマンゴーの実が、たわわ。
 2年生の苗木を植えて、はや4年。昨年の後半には、ちゃんと追肥も施し
た。その成果なのか、今年は「伝統の森」のマンゴーの木の多くがたわわに
実をつけている。
 昨年あたりから、ジャックフルーツの木にも実がたくさんなるようになっ
た。こちらは大きな実。ときには、40センチ以上にもなる。
 「伝統の森」では、これまでにもいろんな種類の果樹を植えてきた。が、
元気に育つのは、このマンゴーとジャックフルーツ。それ以外にも、マンゴ
スチンやランブータン、竜眼(リュウガン)やリンチーなど、いろいろ試し
てきたが、成長はいまいち。
 「伝統の森」で働き始めて5年・6年になる若い衆たちが結婚して、子ど
もができはじめた。これまでは長屋形式の宿舎だったが、彼らのために昨年
あたりから、そんな新婚さんのために独立家屋を建ててきた。いわば社宅。
簡単な木造高床式で、サイズは4×7.5メートル。そして土地には、間口10
メートル奥行15メートルの占有がつく。
 森に暮らす男連中が、手を合わせて自分たちの家を作る。いいよな、給料
をもらいながら、自分の家を材料費つきで建てられるのだから。
 家ができると、わたしは必ず、彼らにマンゴーとジャックフルーツの苗木
をプレゼントする。家の前に植えられた、その苗木が成長するするように、
彼らの家族が元気に暮らしていってくれればいいと思う。
 最近、ジャックフルーツの苗木を250本準備した。この苗木は「伝統の
森」で育った木から実がなり、その種からできたもの。だから第二世代にあ
たる。5年後には、この木から新しい実がなりはじめる。そのときには、そ
の実を乾燥させて、ドライジャックフルーツのお菓子を作り、売り出そうと
考えている。それを仕事にすることで、また何家族かが食えるようになる。
そんなスモールビジネスの準備の意味もある。
 この時期、「伝統の森」でいくつかの木の花が咲く。わたしが好きな、森
の花のベストスリーもこの時期に。
 真っ赤な、不思議な形の花を咲かせる、沖縄のデイゴーの花。そして、わ
たしが「山桜」と勝手に呼んでいる、その木もこの時期に花を咲かせる。さ
らにもうひとつ、別格の花が咲く木がある。和名はわからないが、ちょうど
合歓の木を一回り大きくしたような、そのピンクの花は、朝、木の下に散っ
て落ちている。
 初めのうち、そんなたくさんの花が散っている風景は見かけるけれども、
その花が木に咲いている光景を見かけることがなく、不思議に思っていた。
そして、偶然なのだけれども、わたしの家の前にもその木があり、今年から
花が咲き始めた。といっても、地面に落ちている花を見かけるだけだった。
 数日前、朝の5時、まだ薄暗いなかで、その木を見て驚いた。木に花が満
開に咲いているではないか。そして、それらの花は、朝方の陽光とともに落
下していく。その花の謎がとけた。夜光華なのである。
 毎年2月に、きれいな小さな花を満開に咲かせる山桜もそうだけれども、
わたしが植えた木ではない。もともと、この「伝統の森」の自然の中にあっ
た木たちである。
 自然の森を育てながら、住居に隣接した地域にある木は、実がなる、花が
咲く、そんな有用樹を残すようにしてきた。その結果、数年して木が育ち、
花が咲き、実がなるようになってきた。


(1)「伝統の森」が小学生向け読み物の一つとして取り上げられました
 学研から発売された『短編!ほんとうにあった感動物語』と題する小学生
向けの短編ノンフィクションシリーズ(第4巻)のなかの一編として、「伝
統の生まれる森」というタイトルで、わたしたちの活動を取り上げていただ
きました。執筆されたのは、高橋由美さんです。

□ 書 名:『短編!ほんとうにあった感動物語 4』
□ サブタイトル:自然保護・環境を考える感動物語
□ 著 者:和順高雄・高橋由美ほか
□ 発行元:学習研究社(学研)
□ 価 格:1365円(+税)
□ ISBN:978−4−05−500594−4 C1339

▼『短編!ほんとうにあった感動物語 4』(学研のサイト)
http://shop.gakken.co.jp/shop/order/k_ok/bookdisp.asp?code=1450059400

 この短編ノンフィクションシリーズは、図書館向けに企画されたものだそ
うです。学校図書館や市町村の図書館に備えられ、末永く多くの方々の目に
留まることを希望いたします。みなさま、ぜひとも地域の図書館へのリクエ
ストをお願いいたします。


(2)ロレックス賞のWebサイト(英語版)が更新されています。
 わたしが、第11回のロレックス賞を受賞したのは、2004年9月のこ
とでした。この受賞をきっかけにさまざまな展開が始まりました。副賞とし
ていただいた賞金は、当時、着手したばかりの「伝統の森」プロジェクトへ
の取り組みを、さらに一歩踏み出すことを可能にしました。また、日本以外
からの訪問者が現在のように増え、ドイツやフランスでの展示会の実現にま
で進展したのも、まさにロレックス賞の受賞がきっかけだったことは間違い
ありません。
 そのロレックス賞の詳細を紹介するサイトのなかに、これまでの受賞者た
ちの活動を紹介するコーナーがあります。そのなかで、わたしに関する部分
の更新がなされていましたので、ご案内いたします。
 以下のURLで、わたしのプロジェクトに関するサイトが表示されます。
画面を少し下へスクロールさせると、[LATEST UPDATE] という表示があり、
そのすぐ下の Europe impressed by Cambodian silk という文字列をクリッ
クすると、最新の記事が現れるはずです。英文ですが、ご興味のある方は、
ご覧になってください。

▼ロレックス賞(森本喜久男)の紹介サイト
http://rolexawards.com/en/the-laureates/kikuomorimoto-home.jsp


(3)「IKTTカレンダー2009」発売中
 今年もIKTTジャパンのみなさんの協力で、IKTTの2009年のカ
レンダーができ上がりました。染師としてのわたしの本来の仕事でもある、
ローケツ染めの布の写真も入れていただきました。IKTTの活動を紹介す
るカレンダー、ぜひ皆様のそばにおいていただければ幸いです。
 価格は1000円、A5判(上下に広げ、A4判サイズで使用)という仕
様はこれまでと変わりません。
 なお、昨年と同様、東京都内では神保町「アジア文庫」、高円寺「茶房・
高円寺書林」そして西荻窪「信愛書店」でも取り扱っていただいています。

▼アジア文庫(千代田区神田神保町1−15内山ビル5階)
http://www.asiabunko.com/
▼茶房・高円寺書林(杉並区高円寺北3−34−2)
http://www.geocities.jp/fuzainoisu/shorin.top.html
▼信愛書店(杉並区西荻南2−24−15)
http://park12.wakwak.com/~tks/furhon.htm


(4)「伝統の森」にショップがオープン
 「伝統の森」に、ショップがオープンしました(シエムリアップのショッ
プ&ギャラリーが移転したわけではないので「伝統の森」にまで足をのばす
時間のない方は、これまでどおりシエムリアップのショップへお越しくださ
い)。
 森のショップの営業時間は朝7時から夕方4時までです。お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。
 なお、「伝統の森」では農作業が中心となるため、全体の作業開始が朝7
時、作業終了を4時としています(昼休みは11時から1時まで。日曜日は
森の仕事も工房もお休みです)。


(5)『カンボジア絹絣の世界』発売中
 『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が、NHKブ
ックスから発売中です。
 前著『メコンにまかせ』から10年、ようやくかたちにすることができま
した。多くの方たちから、続編は出さないのかとたずねられておりましたか
ら、これでようやく肩の荷がひとつ下ろせたような気がしております。
 この『カンボジア絹絣の世界』には、これまでわたしたちが取り組んでき
たこと、現在のIKTTの状況、そして「伝統の森」再生計画が目指してい
ることなどについて、かなりていねいに書いたつもりです。染め織りに関す
る描写もできるだけ書き込みました。巻末には「IKTTの絣布ができるま
で」と題し、桑の苗を育て、養蚕をし、生糸を引き、それを括り、染め、織
り上げるまでの工程を、写真とともに簡潔に説明したページもつきました。
本文中には「伝統の森」の位置をプロットした「シエムリアップ周辺図」と
現状でいちばん詳細な「伝統の森」の見取図も掲載されています。
 前著『メコンにまかせ』は、わたしがタイを訪れ、黄金の生糸に出会い、
そして東北タイの村びとたちと試行錯誤しながら染め織りを手がけてきたこ
とと、カンボジアユネスコのコンサルタントとして「カンボジア絹織物の現
状調査」を担当したことで、カンボジアの伝統織物が置かれた現状を知り、
その結果としてタコー村で伝統的養蚕の復活プロジェクトに取り組み、そし
てIKTTを設立するに至るまでのことが記されています。いわば、IKT
T前史とでもいえる内容でした。
 今回の『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』が出版
されたことで、IKTTは何をやっているところなのか、そして森本はこれ
から何をしようとしているのか、というみなさまの疑問に対する、ひとつの
回答とさせていただけるのではないかと思っております。
 お近くの書店でお求めになり、お読みいただければ、幸いです。
□ 書 名:『カンボジア絹絣の世界〜アンコールの森によみがえる村』
□ 著 者:森本喜久男
□ 発行元:NHK出版(NHKブックス1102)
□ 価 格:970円(+税)
□ ISBN:978−4−14−091102−0 C1339


(6)"FRONTLINE/WORLD"ウェブサイト公開のご案内
アメリカの公共テレビ局PBSの「FRONTLINE/WORLD」というドキュメンタリー
番組で私たちクメール伝統織物研究所が紹介されました。「Cambodia: The
Silk Grandmothers 」というタイトルでまとめられています(英語版の番組
ですが、わたしはインタビューに日本語で答えています)。この番組は、ウ
ェブサイト上でも公開されています(約13分)。以下のURLから、ご覧に
なれるはずです(再生にはQuicktimeあるいはRealplayerが必要とのこと)

▼「Cambodia: The Silk Grandmothers」
http://www.pbs.org/frontlineworld/rough/2007/06/cambodia_the_si.html

____________________ I N F O R M A T I O N _________________________

★ショップ&ギャラリーの営業時間のご案内★
シエムリアップのIKTTのショップ&ギャラリーの営業時間は朝8時から
夕方6時まで(年中無休)です。工房の見学を希望されるかたは、平日の朝
9時から夕方5時まで(正午から午後2時までは昼休み、日曜日はお休み)
の間にお越しください(できるだけ事前にご予約をお願いします)。

★★シエムリアップIKTTまでの歩き方★★
オールドマーケット(プサー・チャー)の南側にあるタ・プローム・ホテル
の玄関前に立ち、右斜め前の方向に、道路を挟んで流れるトンレサップ川に
沿って進みます。川岸には遊歩道が整備されています。道なりに(つまり川
に沿って)歩くこと5〜6分で、右手前方に「クメール伝統織物研究所」と
日本語と英語で書かれた緑色の看板が見えてきます。ここがIKTTです。
(左側にクロコダイルファームの看板が見えたら行き過ぎてしまいました。
お戻りください)

★★★「伝統の森」ショップの営業時間のご案内★★★
新たに、「伝統の森」に、ショップがオープンしました。森のショップの営
業時間は、朝7時から夕方4時までです。年中無休ですが、お越しになる場
合は、できるだけ事前にご連絡をお願いいたします。(アクセス方法につい
ては、以下のピアックスナエン・「伝統の森」への道のりをご覧ください)

★★★★ピアックスナエン・「伝統の森」への道のり★★★★
「伝統の森」は、シエムリアップの町から北へ約30キロ、車で約1時間の
ところにあります。アンコールワットを右に見て進み、アンコールトムの南
大門をくぐり四面仏の尊顔が微笑むバイヨン寺院を通り越し、さらに北へ。
プリアカン寺院の門前を過ぎて道路が大きく右にカーブした先に、左に折れ
る一本道が現われます。この道を約10キロ、途中何度か川を渡り、左手の
木立の間にお寺が見えたらすぐ先の道を右へ。曲がり角に設置してあるIK
TTとMORIMOTOの名前の入った緑色の看板を確認してください。こ
こから約4キロ、ふたたび川を渡り、しばらく行くと右手に「伝統の森」の
入口が現われます。
※2009年1月現在、シエムリアップの町から「伝統の森」までタクシー
で往復40〜50ドルが相場です(郊外に向かうタクシー料金は、シエムリ
アップ基点での往復運賃を請求されるので、片道でも料金は同じです)。な
お、シエムリアップからアンコール遺跡群へ向かう途中で立ち寄る通行証の
チェックゲートで「ピアックスナエンの養蚕の村へ行く」と説明すれば、通
行証を購入しなくてもゲートを通過できるはずです。
※『カンボジア絹絣の世界』p.116 の「シエムリアップ周辺図」にも、「伝
統の森」の位置がプロットされております。こちらも参考にしてください。

2009年3月11日
クメール伝統織物研究所 森本喜久男

●発行
IKTT (INSTITUTE FOR KHMER TRADITIONAL TEXTILES)
No. 472, Viheachen Village, Svaydongkum Commune,
(Road to lake, near the crocodile farm)
P.O. Box 9349, Siem Reap Angkor, Kingdom of Cambodia

※当メールに掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。
※このメールマガジンは、インターネットの本屋さん『まぐまぐ』
 を利用して発行されております。【 http://www.mag2.com/ 】
mag2 ID: 0000070073
Copyright (c) 2009 IKTT All rights reserved.
◎メコンにまかせ
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⇒ http://archive.mag2.com/0000070073/index.html
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更新日時 : 2009年3月11日 09:25

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