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IKTT :(クメール伝統織物研究所)森本喜久男

森の出勤時間

森の朝、「伝統の森」の村に暮らす人たちがまず、それぞれの仕事場にやってくる。そして、自転車通勤の近くの村の女性たち。最近は、子連れのお母さんが、本当に多くなった。そして、森での朝の仕事が始まる。

それは7時。男たちの多くは、建設途中の、伝統の森学園「飯田学校」の現場へ。コンクリートの柱が立ち、レンガが積み終え、壁塗りや屋根へと、その作業は進んでいく。

でも、実はこの朝7時。なかなか時間どおりには始まらない。この時期だと、みんなの作業が本格的に開始するのは、7時半。それは、周辺の村からやってくる織り手たちも同じ。

今は2月。でも8月ごろだと7時にはみな動き始めている。じつはこれ、冬至と夏至。そう、太陽の日の出の時間に関係している。カンボジアの日の出の時間は、今ごろだと6時を少し回ったころ。一年で、約30分の開きがある。8月ごろであれば、5時半を過ぎたごろから夜が明け始める。

そう、「伝統の森」のみんなは、時計の7時ではなく、太陽の日の出とともに7時ごろに仕事を始めていくのである。それを知らないころは、時計を見ながら、もう出勤時間なのに遅刻をしているな、と思ったりしていた。そして、彼女たちに聞くと、いや、いつも同じだよという答えが返ってくる。

そんな変化する自然の中で、太陽や月、そして潮の満ち引きに従いながら生きている人たちなのである。

それは昔、日本の農家の壁に365日、一年カレンダーというのが架けられているのを発見したときの気持ちに似ている。

でも、退社時間は時計の4時きっかり。ものの5分もすると、みんないなくなる。まあ、それもよし。

更新日時 : 2009年3月 7日 14:55

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